Audio Mack
August 31, 2020
Curren$y(カレンシー)ほど継続的に、かつコンスタントに質の高い作品を届け続けることのできるアーティストはそう多くない。ジョイント・アルバム含め、ここ10年で20以上もの作品を届けているベテランMCはクラシックなサウンドを貫き続け、世界中に強固なファンベースを築き上げている。ウィードの香りが漂う太いビートとラフなラップはNYのプロデューサーHarry Fraudとの最新作『The OutRunners』でもそれはもちろん健在だ。だが、約20年もの間、スタイルを貫き続け、クリエイティビティを発揮し続ける(かつ支持され続ける)ことは簡単ではない。シーンにとってインディペンデントなアーティストのロールモデルでもあるCurren$yは何を自身の美学とし、何にインスピレーションを受け続けて音楽を産み出し続けているのだろうか。Audio Mackのインタビューで彼は自身の作品を生み出す原動力、なぜ十年単位でサポートしてくれるファンがついてきてくれるのかなど、長く活躍するからこその教訓を綴ってくれたので、紹介していこうと思う。
Audiomack
Source : Audiomack
ー君のサウンドやスタイルはずっとクラシックだね。
C:俺自身や今まで築き上げてきたことに自信を持ってるからね。俺は自分が本当に感じたことしか歌わないから、リスナーの心にも響いてるんだと思うよ。でも迷った時でもファンは絶対に俺を支えてくれる。俺のハードワークが報われた証拠だな。俺はいつも俺の人生を楽曲に表現してる。俺がいつも話してることだからね。クソ野郎はいつもくだらないことばかり話してるから、作詞の壁にぶち当たったりするんだ。
ーいつもリアルでいるから、皆君のことを好きなんだね。
C:そうだったら最高だな!俺が惹かれた人は皆その人自身のリアルをラップしてたから。その人の言うことを信じることができて初めて、そいつの音楽を聞く。
N.W.Aとかが流行ってた80年代後半は皆がその波に乗ってたけど、ただレコードと契約したかっただけだった。だから俺はその波に乗らなかったし、自分の信じるものに夢中になってた。これが皆に伝えたいことだって。自分に正直であれば何曲だって音楽を作れるね。
ーここ20年間はどうやってインスピレーションを得てきたんだい?
C:友人からだ。俺とHarry Fraudは時代遅れに感じられたかもしれないけど、だからこそ新しかったんだと思う。 『Cigarette Boats』をリリースした時期はちょうど俺の『The Stoned Immaculate』のプレスツアーの最中だったんだ。だからアルバム製作の時間があんまりなかったのを覚えてる。1日で全部終わらせたね。
ークリエイティビティを維持するためにスタジオでやってるルーティーンはある?
C:誰とセッションするかには注意してるかな。個人的な関係性をスタジオに持ち込んでほしくないんだ。クソ野郎達は女を連れ込んでスタジオで問題を起こしたりして、俺は関わりたくないからその場から立ち去らないといけなくなる。ちゃんとした人とスタジオにいればずっと居たいって思うのに。こういう奴らとアルバムを作ろうと思えば1日では絶対終わらないね。
ルーティーンは特にないね。大きいスタジオをいつも使えたわけじゃなかったし。音楽を始めた頃はシャワーを浴びながらレコーディングした。マイクがシャワーの中に、ベビーベッドがバスタブにあったな。これがその時の俺にとって一番良いブースだったよ。それかクローゼットの中。「部屋は63℉にして緑のM&M’Sを用意しなきゃ」みたいなルーティーンはない。俺は自分のアートを表現するだけだから。
ー燃え尽きないように何かしてることはあるかい?
C:音楽は俺の人生だから、何も難しいと感じたことはないね。でも俺はスタジオに行ったら全部終わらさなきゃって思うから、毎日はいかない。週に1回くらいだね。毎日何時間も居座ってインスタばっか上げて、それで結局レコーディングが終わらないような奴もいるけど!そういう奴はレーベルからの請求書をみてやっと時間の無駄に気づくんだ。
ーヒップホップのトレンドは変わり続けてるけど、ファンがずっとついてきてくれるのはどうしてだと思ってる?
C:俺たちは人生の色んなステージにいるけど、皆前を向いて成長しようとしてる。言い換えれば、皆お互いの成長を目の当たりにしてるんだ。ロックダウンが始まる前はよくツアーをやってて、何年もツアーに来てくれてるリスナーもいた。そうると人生の変化が分かるんだ。ガールフレンドやボーイフレンドができたり、赤ちゃんを産んだり、その赤ちゃんや結婚式の写真を見せ合ったり。みんな一緒になって成長するんだ。
ーずっと一貫性を持ち続けられてる秘訣は何かあるかい?
C:本当に知ってることを伝え続けてれば、ブレることはないね。路線を変えようとして誰か他の人と被ったり、迷ったりするから問題は生まれるんだ。もしくは先を行き過ぎて皆がついてこれないかね。
ー君はCDの時代に音楽を始めたけど、今はストリーミングの時代だね。何か変化はあった?
C:俺のスタンスは全く変わってないね。俺がやってきてることは、次に何が起こるかアンテナを張ってそれを仲間に表現する。友達の何人かは時代が変わって色々と大変みたいだけど。手段が変わるだけで、目標は変わらないから。自分らしく居続けることだ。
ー何を残していきたい?
C:皆の心の中に残り続ける作品だ。
Writer : Shinya Yamazaki
Translator : Mizuki Yoshida
Edited by : SUBLYRICS
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