Album Cover
FEBRUARY 27 2020
Written by Sora Imaizumi
Edited by SUBLYRICS
BIMによる待望の新EP『NOT BUSY』が2020年2月12日にリリースされた。前作収録の” BUDDY feat. PUNPEE “や星野源” さらしもの “などを手がけ、SUMMIT界隈とも親交の深いドイツ人プロデューサーのRascalが全面プロデュース。kZmやSIRUPと言った以前より強力な楽曲を生み出してきた盟友とともに作り上げた” Runnin’ “やスチャダラパー・BOSEとの” Be “など全6曲によって構成されている。
2018年にリリースされた『The Beam』というデビューアルバムは、ラッパー・BIMの印象を決定づけたと言っても過言ではない。小学生の頃、夏休みにプールから帰った午後に漂う気だるさを、忙しい現代人は度々忘れがちになってしまう。その声色やビートを持って抽象的に描く“郷愁”は決してストレートな言葉でないからこそ、余韻を伴って我々を懐かしさの果てに連れていく。
誰もが幼い記憶や、恋人との過去がどれも良いものであったと形容できるわけではない。しかし、BIMの楽曲がバックで流れていると仮想することで「不思議とそのどれもが許せてしまうこと」こそ彼の曲が広く聞かれている要因だろう。” Wink “はまさにその代表と言える。
” 今も明日に期待はしているのに
転んだ拍子に何故か吹っ切れたよ “
Wink
多くの人が彼の作品を何気なく”チル”という言葉で片付けてしまうだろう。もちろん「BIM=”チル”」と表記することは、共通言語として我々は同じ景色を共有することができる。
それでいい。“チル”で言い表して、その音に身を委ねるだけでいい。
こんな風にBIMの楽曲について深く考察することほど無粋なこともないように思う。体をくゆらせるうちに、どんな過去だろうと、どんな今日の自分だろうと許せてはこないだろうか。
なんの曲だったか、BIMのMVのYouTubeコメント欄にこんな文言を見たことを強く覚えている。
こちらは”郷愁”どころか先を見る一文である。
“郷愁”がもたらすものとはなんだろう。辞書には「他郷にあって故郷を懐かしく思う気持ち」「過去のものや遠い昔などに惹かれる気持ち」とある。”郷愁”が当てはまる回想はきっと、口角が上がっているように私は思う。過去を懐かしむことは、「こんな過去を愛せるなら先も見れる」ということにつながる。BIMの持つ”気だるさ”こそ力まず生きる日常が漂っているのだ。こんな現代だからこそ必要とされる音楽とはこういうことだろう。
「明日もヒマではないけど忙しくは無さそう。」
上記はBIMが今作に寄せたステイトメント(いやもっと柔い言い方をするべきか)。力まず、焦らず、余裕を持ちながら、でも生活はある。そんな『NOT BUSY』な日常は眩しい。
『Not Busy』- BIM
1993年生まれ、東京と神奈川の間出身、THE OTOGIBANASHI’S、CreativeDrugStoreの中心人物として活動するラッパーBIMが2020年2月にリリースしたEP。3月には同タイトルのワンマンツアーを開催する。– SUMMIT
BIM 全国ワンマンツアー “NOT BUSY 2020” – SUMMIT東京 3/3(火) マイナビBLITZ 赤坂
福岡 3/7(土)BEAT STATION
札幌 3/16(月)Sound Lab mole
名古屋 3/19(木)CLUB QUATTRO
大阪 3/21(土)BIGCAT
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