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November 09, 2020
シカゴのドリル・シーンは切っても切れないギャングのしがらみから、多くの才能を失ってきた。2020年11月7日、また新たな悲劇は起こってしまった。
26歳という若さで亡くなった Dayvon Bennett(King Von) は 現シーンの中心人物の一人である Lil Durk と共にシカゴのサウスサイドで生まれ育ってきた。
彼は Twin(双子)と呼び合う仲の Durk の設立したレーベル Only the Family(OTF) に所属し、2枚のミックステープ『Grandson, Vol. 1』『Levon James』、さらに先月デビュー・アルバム『Welcome to O’Block』をリリースしたばかり。Durk と Drake のコラボレーションが記憶に新しいが、彼とそのレーベル OTF はまさにかつてない勢いで突き進んでいた。そんな最中で銃撃事件は起こった。
“ アトランタは好きだ。だってここには何のしがらみもないから。”
憎しみから距離を置き、音楽に集中するためにやってきたアトランタという土地で、このような事件に巻き込まれてしまった事実は本当に居た堪れない。仲間への愛情、複数の逮捕経験と刑務所で過ごした長い時間、距離を置いた地元シカゴ。Dayvon が6月に回答した生前最後のテキスト形式でのインタビューを抜粋し、リスペクトを込めて紹介していこうと思う。R.I.P. King 安らかに。
Interviewer :最近はシカゴにいるの?
King Von: いや、今はアトランタだね。
シカゴとアトランタでいうと、どちらが居心地がいい?
King Von: シカゴの方が人は好きだね。住む場所に関して、今はただ「賢い」選択をしてる。アトランタは好きだよ。だってここには何のしがらみもないから。そしてより多くのラッパーたちがいるし。シカゴが好きなのは、そこに仲間がいるから。でも警察にもよく顔が知られているし、俺のことを嫌ってる奴らもいる。仕事をする場所は、生活が普通にできて、毎日を楽しむことができないとな。面倒事とは距離を置かないと。
あなたは類稀なストーリーテリングのスタイルを持っているよね。どうやってスキルを磨いたの?どんな音楽を聴いて育った?
King Von: 俺はストリートの人間だからずっとラップ・ミュージックが好きなんだ。ラップなくしてストリートはないだろ。それに読書も好きだね。収監中はたくさん本を読んだし。小説とかそういうの。それが理由かも。でもそのスタイルは考えて行ってるわけじゃなくて、流れに任せてる。
どのくらいの期間、収監されていたんだい?
King Von: 何度も捕まったね。一番最近は暴行罪で収監された。その前にも3年半入っていたし。裁判に片をつけて、そこから出て。その前には15カ月間。その前にも14カ月間。人生を通して、色々な理由で逮捕され続けてる。16歳の頃からだ。それが刑務所での生活の始まり。最初は14カ月の判決で。釈放されて8ヶ月でまた捕まって。3年半を刑務所の中で過ごして、1年間を外で過ごした。今も自宅拘留中さ。
最近はそんな生活にも変化があると思う?
King Von: 俺も良い歳だし、もう疲れたんだ。トラブルには関われない。俺は25、金も沢山あるし、もう昔の話。あらゆる理由でブチこまれてきた。シカゴのサウスサイドで生まれ育ったから。わかるだろ。
ラッパーとしてキャリアを形成できるといつ頃気づいたんだ?いつ自分に才能や能力があると気づいた?
King Von: 2018年の終わりか、2019年の始まり頃かな。正確にはわからないけど、Durkが傍にいてくれて、面倒を見てくれて。俺たちは地下にスタジオを構えていて、そこで一曲を作ってからエンジンがかかったね。その辺りから実力に気づいたかな。
まだファンやラップの世界に対して自分の才能を証明する必要があると思う?今のポジションに満足してる?
King Von: みんなが俺に注目してる。でも俺はもっと仕事を増やさないと。だって「積み上げ続けること」が全てだから。俺はワールドワイドを手にしたい。ハードワークし続ければ、きっと誰しもの話題になるさ。多くの人に知られれば、金だって増える。
シカゴで育つ中で、どんな音楽を聴いてきた?どんなシーンを目にしてきたんだい?
King Von: いつ頃の話かによるな。
幼い頃。6歳とか7歳のころはどうかな。
King Von: 6歳、7歳の時、何をしていたか覚えてないな。今みたいに忙しくなかったし。ラジオでかかってる曲やママが聴いてた曲を聴いてたね。中学2年、3年くらいになって、GucciやLil Wayne、50 Centに熱中し始めて。その前はJay-Zや有名になる前のFlockaを聴いてたかな。
シカゴで世界的に人気のあるラッパーを数多く輩出していることについてどう思う?
King Von: なんで人気が出るかはサッパリわからないね。本当にわからない。考えたことすらなかったし。俺はとにかく進み続けるだけ。動き続けるんだ。全ての物事の答えを見つけようとしていたこともあったけど、今はそんな風に全てを求めてるわけじゃない。自然な流れに身を任せることに満足してる。俺たちはやることをやって、それを楽しむだけ。
あなたはラップ・シーンに自分の求めるレガシーや痕跡を残せていると思う?それとも今はただ制作に集中してる?
King Von: 全く気にしていないよ。痕跡を残すことに関しては全く。俺は正しく金を手に入れて、仲間を養えればそれでいい。他は気にしない。全てどうでもいい。レガシーを残さなきゃ金が入らないなら話は違うが、そうでもなければ気にしないね。何らかの賞に大金が伴うなら、それは手に入れるよ。今はただ自分らしくあろうとしてる。自分に正直に。だって俺には金が必要だからさ。もう必要ないという所までやり続ける。
ある時期には音楽をやめるってこと?それがゴール?
King Von: 全てに金を注ぎ込むことができたなら、俺は音楽をやめるよ。働かずに車を買い、家を買い、全てを買い占めたなら。
シカゴに戻って、コミュニティを援助したいとは思う?それとも自分とその仲間だけを守りたい?
King Von: シカゴには帰ってるよ。先週も帰って、フッドに10万ドルを置いてきた。俺の場合は少し違うやり方なんだ。俺にはコミュニティというものがない。というより、コミュニティは俺に何も与えてはくれなかった。だから俺は自分の住んでいたブロック(地域): Parkway 64th & King Drive 65th の通りで金を配るんだ。まだ始まったばかりだけど、他の奴らとは違うレベルで、地元のキッズたちを支援したい。シカゴ自体には興味がないんだ。あの街は俺に何もしてくれてない。一度だってチャンスを与えてくれなかった。
あなたを何度も刑務所に入れた街でもあるからね。
King Von: 聴いてくれ。あいつらは俺の金をせびるが、俺は何もしない。街のことなんて気にしない。街の人も気にしない。俺が気にするのは仲間だけ。地元に戻って、そこに住む人たちの生活を保証する。シカゴの市長だかなんだか、そんなのはどうでもいいんだ。
あなたは大金を得たあなたの前に、過去にあなたが助けを求めても手を差し伸べてくれなかった人たちが現れたりするわけ?
King Von : 周りの人間が俺に与えたものはしがらみくらい。ママを除いてね。近所の人も3年以上も刑務所に入っていると、俺の存在を忘れちまう。みんな自分の問題を抱えてるし、自分のことで精一杯だから。
2020年の残る数ヶ月で達成したいことは?
King Von: もっと稼ぐことだけ。金、金、金。それが全て。そして、その金を仲間に配るんだ。
相棒を失った。愛してるよブラザー。- Lil Durk
この投稿をInstagramで見るWas a real one💯& a good hearted nigga fasho🖤RIP🕊🕊🕊 #chicagolegend #kingofdrill 👑👑
Polo.G🐐(@polo.capalot)がシェアした投稿 –
彼はリアルで、心優しい男だった。安らかに。- Polo G
Wow. This year was so tough. rip von God bless him and his family I can’t believe it
— Chance The Rapper (@chancetherapper) November 6, 2020
今年は本当に辛い1年だ。彼と彼の家族にご加護がありますように。信じられない。- Chance the Rapper
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