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「ここまで来た5年に感謝したい」| Bryson Tiller が『Anniversary』に込めた感謝と、次作『Serenity』のコンセプトを語る

October 11, 2020

ケンタッキー州ルイヴィル出身のラッパー/シンガーの Bryson Tiller(ブライソン・ティラー)が10月2日にニューアルバム『Anniversary』をリリースした。22歳の時にリリースした「Don’t」、そして『Trapsoul』の大ヒットでシーンに躍り出たアーティストは、デビュー・アルバムのリリースから辿った成功の道と、ファンからのサポートに感謝と祝福を今作で送っている。

『Anniversary』のリリースを控えた数日前に、5年の歳月を超え『Trapsoul』のデラックスverと「Right My Wrongs」のMVを配信したのはデビューアルバムと今作が地続きであることを意味している。例えば、今作をレコーディングしたのは『Trapsoul』のレコーディング・スタジオと同じ場所であるし、この後に紹介するインタビューでも、デビューから歩んだ道筋を思い出したことが今作を制作するきっかけになったと語られている。

そうだよ。ここは『TrapSoul』をレコーディングしたハリウッドのスタジオ。あの頃の感覚を取り戻したかった。”

「今となっては当たり前のことも、5年前を振り返れば、本当にクレイジーなことなんだ。」そう語る彼は、トップに上り詰めたこの5年間をどう見ているのだろうか。Tillerが登場したGeniusの約1時間に及ぶインタビューで、彼は今作を制作した経緯、どんな風に曲作りを行っているか、『Trapsoul』をリリースする前と、その後の変化。じきにリリースされると語る新たなアルバム『Serenity』のコンセプトなど多岐にわたるテーマを語ってくれた。

“ 『Anniversary』の制作は音楽を作ることの楽しさを思い起こさせてくれた。「Wow、俺は音楽が本当に大好きなんだ」ってね。 ”

『Trapsoul』以来、様々な批評を受け、ナーバスになることも多々あったと語るTillerが音楽を作る喜びを再び手に入れた『Anniversary』に込めた想いをチェックしてほしい。

Rob Markman : 3年ぶりにアルバム『Anniversary』をリリースした Bryson Tiller だ。Geniusにようこそ。ブラザー。今あなたがいるのはスタジオだよね?今作をレコーディングした場所なのかな?

Bryson Tiller : そうだよ。ここは『TrapSoul』をレコーディングしたハリウッドのスタジオさ。あの頃と同じようなエナジーを手にしたくてね。あの頃の感覚を取り戻したかった。

-「Right My Wrong」や「Inhale」の撮影場所になったスタジオのことだよね?

Tiller : そうだね。まさに同じ場所だよ。同じ場所で違うストーリーを伝えたかった。

-『Anniversary』は10月2日にリリースされたわけだけど、これは『Trapsoul』のリリースから5周年を祝うというステートメントで間違いないと思う。あなたはいつ3rdアルバムを、このような形でリリースしようと思ったんだい?

Tiller : 今年の初旬かな。1月に娘に会うために家に戻って、4日しか滞在できなかったときだった。弁護士から「話し合いの席が必要だ」と電話が来てね。それとは別に俺は別のアルバムをここ3年ほどずっと準備してて。そのアルバムは『True To Self』をリリースして、その後のSZAとのツアーを終えてからずっと作り続けてる。一息ついて「さあ『Serenity』の制作を始めよう」と思ったんだ。そのアルバムでは心の平穏を手にして、何も気にせずに自由に音楽を作ることができるようになった、そんな自分を表現してる。他人の意見や、そういうことを気にせずにね。

3年間も『Serenity』のための曲を集めているから、かなり沢山曲があったんだけど、しっくりこない時期もあってね。だから、その時はずっと「なんでこの曲はハマらないんだ?」と自答してた。でも、その弁護士との会議中、「2014年にこう言っていたのを覚えてるか?」とか「こんなメールを送ったのを覚えてるか?」と、過去の行動や口述の記録を確認しあっていた時だった。弁護士たちが当時の俺の曲のスクリーンショットを持っていたんだ。「Yo、クレイジーだ。あれからもう5年も経ったのか」ってね。その話し合いは12時間ほどあって、このスタジオ(『Trapsoul』をレコーディングしたスタジオ)に戻ってくる動機としては十分だった。そこで制作の方向性は大きく変わった。

家に帰る、レクシントンからルイヴィル(Tillerのホームタウン)までのドライブで俺はいつもアイデアを思いつくんだ。45分か1時間のドライブで、長くはないけど、ちょうど良いドライブでね。「Exchange」もそこで思いついたんだけど。そこで弁護士に見せてもらった書類の数々を思い返してた。そこでこの5年間に敬意を示したいと思ったんだ。今まで起きてきたことを振り返るのには完璧なタイミングだと思ったし、「少しの間『Serenity』の制作はストップして、フレッシュに別の新たなアルバムを作ろう」と思った。きっとワクワクするだろうと感じてね。

– 弁護士との話し合いというのは何かシリアスなもの?大丈夫なのかい?

Tiller : ああ問題ないよ!よくある法律関係の問題さ。ここ5年間ずっと付き合ってる。もう終わった話だし。12時間もかかるものだからイライラするし、娘と一緒にいれないのも最悪だけどね。

– そんな状況の中でもクリエイティビティを発揮して新たなアルバムを導くんだから、あなたがいかにクリエイティブかがよくわかるよ。しかも何よりニューアルバムは最高だった。本当にドープだったよ。「Exchange」にも「ルイヴィルからレキシントン」というリリックがあったように、あなたは普通の日常の中でもクリエイティブに、何気ない出来事を曲に落とし込んでいるね。あなたの意見や考えを聞けることは中々ないから、こうやって、考え方を聞けることは本当に嬉しく思うよ。

つい先日あなたは『Trapsoul』のデラックスverと、「Right My Wrongs」のビデオをリリースしたね。あのビデオでは最後に女性が君の元を去っていく。そこで「君(女性)はベスト・パートを逃してしまうのか」とあなたが思うシーンもあるね。そこで言う「ベスト・パート」はおそらく『Trapsoul』が評価された後の話だと思う。実際『Trapsoul』がリリースされてから生活は変わった?

Tiller : とにかく忙しくなったね。マネージャーのNeilから電話がかかってきて、「遠出だ」と言われて。俺はライブをしたことがなかったから、本当にナーバスだったし。一度元彼女の誕生日パーティでパフォーマンスした時はブーイングを受けたし…。とにかく、リリースの後はライブを山ほどやったね。ステージに立つのも怖かったけど、Travis Scottの『Rodeo』のオープニングライブで「Break Bread」と「Don’t」をパフォーマンスをした時の歓声を聞いて「クールだ」と思えるようになった。とにかく時間をかけて、パフォーマンスをすることに慣れていったよ。ステージで何を言えばいいかわからないから、毎回同じことを言ったり。変な空気が流れたときもあったけどさ(笑)。

– 改めてあなたのライブが恋しいよ。最新アルバムについて聞かせてくれ。「Years Go By」で始まる今作だけど、ここでは時間に関してのメッセージが綴られているね。ここで言う「時間」とは、いつのことを指しているんだい?

Tiller : ここまで来た5年間のことだよ。音楽業界に入って5年が経ったことが、俺にとっては感動的なことだった。だって俺はPapa John’s(ピザ・チェーン)で働いて、普通の生活を送っていたから。だからゲームに入ってきて、本当に色々なことを当たり前のように経験してきたと感じてる。例えば『True To Self』のツアーの時は、ファンの愛情に気づくことができた。彼/彼女らは何も気にせずに俺の作品を歌ってくれる。今となっては当たり前のことも、5年前を振り返れば、本当にクレイジーなことなんだよ。

– 今作にはDrakeが参加してるね。あなたたちのコラボレーションはフィットしているし、俺はお互いを異なるタイプのアーティストとしてリスペクトしてるよ。これから聞く質問は若いアーティストにとっても大事なことだと思うし、あなたの活動に疑問を投げかけるわけでもないのはわかって欲しい。俺はあなたの大ファンだしね。けど、Drakeは2009年のデビューから、常に前線に立ち続けてる。一瞬たりとも姿を消さず、毎年のように俺たちに何かを届けてる。あなたは2015年にデビューしたけど、彼と同じように頻繁に作品をリリースすることはしないよね。もちろんそれは良いことだと思う。生活と音楽の間のバランスを取ることだから。作り続けることは素晴らしいことだと思うけど、でも自分らしくいるためには、必ずしもそうすべきじゃないこともあるかもしれないよね。

Tiller : 間違いないね。俺もよく言うんだけど「もし気分が乗らなくて、スタジオに無理やり入ってるような気がするなら、すぐに出た方が良い」ってね。スタジオを出て、本当にやりたいことをした方が良い。ゲームでもダンスでもなんでもいいから。俺もそうだった。レーベルと契約して、「クソ、生活のためにアルバムを作らないと!」って気になってた。『True To Self』は『Trapsoul』の2年後にリリースしたけど、その間は休みなしにツアーをしていたし、その間を縫って作品を作るから、本当に時間がなかった。ファンは音楽を求めるしね。俺は作品を作る前にコンセプトをじっくり考えるから、すぐには次の作品を出そうとは思わなかったんだ。

『Anniversary』の制作は音楽を作ることの楽しさを思い起こさせてくれた。「Wow、俺は音楽が本当に大好きなんだ」ってね。スタジオに入るのも好きなんだ。スタジオの可能性は無限大なんだよ。なんだって作り出せる。仲間がよく言ってたよ「一曲で人生を変えられる」って。俺もステージでよく同じことを伝えてる。昔はその仲間にはよく20ドルを借りてたりもしたんだ。そいつは「気にすんな。スタジオに入って、人生を変えてやれ」と言ってくれた。そして俺は「Don’t」を作ることができた。このタイミングでもう一度音楽を楽しむことを思い出したかったんだ。今までで一番音楽を作るのが楽しかった2011年のようにね。2011年にミックステープを作っている時は、寝る間も惜しんで、授業をサボって曲を作り続けてた。ただただ地元の誰よりも良い作品を作ろうと必死になってた。この作品の制作もそんな感覚だったんだ。

– 今作や、特に『Trapsoul』に関して、あなたのリリックは、若い男性の視点から女性との関係性を語るものが多いと思う。例えば「Sorry Not Sorry」がリリースされた時は、俺にピッタリでね…(笑)。どんな経験からこういったリリックが生まれるんだ?何か特定の相手がいるの?新しい関係性?それとも昔の関係を表現してる?おそらく何かを隠喩しているんだろうけど、それは女性かもしれないし、音楽かもしれないし。それとは別のものなのかい?

Tiller : ありがとう。クレイジーなのは実際は対象を意識していないこともあるってこと。後から自分で作品を聴き直して「これって俺が音楽やファンに対して思っていることでもあるな」って思ったりもする。今作の最後の曲「Next to You」は「ある人物の横にいたい」っていう意味なんだけど、同じことをファンにも置き換えることができるし、そう思ってる。色々な解釈をファンに言われて気づくこともあるね。昔の関係も、新しい関係も、乗り越えたいと思っている関係も作品には込めてるよ。

– ありがとう。『Serenity』のリリースはいつ頃になりそうなんだ?すぐにはリリースはしないのかい?

そんなことないよ。今は俺はたくさんの音楽を抱えているからね。もしかして3部構成になるかもしれない。ボリューム1、ボリューム2…という感じで。色々な選択肢があるから、今はとにかく楽しむ準備をしてるよ。ボリューム1はR&B作品にして、ボリューム2はヒップホップ作品になるかもしれない。そしてボリューム3は初めてのポップ・アルバムになるかも。とにかく自分の好きなようにやりたいんだ。今までとは違うことがしたいね。Chris BrownやDrake、Rihanna、Kanye…尊敬している彼らのように自由に作品を作りたいんだ。誰にも指図されずにね。

Credit

Writer : Shinya Yamazaki
Edited by : SUBLYRICS

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