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「何を表現するのか。頭の中でもがきながら見つけた感覚」| SZAが新曲「Hit Different」に込めた想いと制作の経緯を語る

September 13, 2020

終わりの見えないパンデミックの最中、LA、そしてアメリカを代表するレーベルTDEのシンガーSZA(シザ)が帰ってきた。複雑な心模様を掬い上げるリリックと、抜群のメロディセンスで絶大な評価を得た『Ctrl』から約3年。「夢見心地」という言葉がこの作品を的確に表現できているかはわからないが、PharrellとChadからなるThe Neptunesのシンセサイザーが優しく響くトラックに乗せたTy DollaとSZAの全身に染み渡るデュエットは、世の中の状況に対しての不安やフラストレーションに一杯一杯になっている私たちに癒しを届けてくれる。

リリースに際して「TDEがリリースさせてくれない」と、TDEとの意見の相違による揉め事が明るみになったことも話題になり、心配の声も挙がったが(『Ctrl』のリリース時も同じような話題が挙がっていたが….)、SZAは現在のポジティブな心境をApple Musicによるインタビューにて明かしている。祖母の死や音楽から身を遠ざけた時期を経た彼女の新作「Hit Different」にはどんな想いが込められているのだろうか。以下でインタビューを抜粋し、紹介していこうと思う。

ーまず最初に、この曲はどういうものなのか説明してくれるかい?

SZA:何を言おうとか、どうやって私のエナジーを表現しようとか余計なことを考えずに、ただただ心に響く曲を仕上げた。何を表現するのか。頭の中でもがきながら見つけた感覚。私の中に表現したいことは山ほどあって、この曲では私が考えてることの一部をそのまま表現した。

―曲を聴くと君の想いをたくさん感じ取れたよ。今回のリリースはどうやって実現したんだい?

S:もちろんThe Neptunesのおかげ。信じられなかったよ。私が小さい頃の憧れのプロデューサーにトラックを製作してもらえるなんて。Pharrellと話してる時には、ついにここまでこれたんだって思わず泣いてしまった。初日は5,6回セッションしたんだけど、PharrellとChadっていうこんな完璧な2人と一緒にセッションできたのは生涯忘れないって思った。2日目になっても、もう2日間もこの人たちと一緒にいれて、初日よりもっとコンビネーションが良くなってきてるって感動してた。だって皆あの動画知ってるでしょ?私が高1か高2の時に、アイスクリームの列に並んでる最中にBBCのインタビューを受けて、「えっと、Pharrellを見に来たの。学校はサボってるんだけど、、」っておどおどしてたのを。

―楽曲のリリースは久しぶりだね。君自身にとっても念願だったと思う。リリックはどういう風に思いついたんだい?自分の想いが勝手に湧き上がってきた感じ?

S:私のリリックを書く方法は2つあって、誰かに送るメッセージみたいにまずワードを書くか、フローを聴いてて「自分がまるで自分じゃない」って感覚になった時に書いてるわ。

ー「Hit Different」の曲自体はもちろん最高だけど、MVも最高だね。これはどうやって撮影したんだい?

S:みんなが集まったのは4日間で、そのうち2日間は振り付けだった。撮影には廃品置き場を使ってて、ゴールドやシルバーの沢山のホイール部品がイケてるって思ったからこの前で撮ろうって思ったの。でもいざリハーサルになったらそれが全部売られちゃってて。だから許可が本当は必要なんだけど、急遽フォークリフトを使って撮影をすることになったの。皆には本当感謝してる。だって私がどういうビジョンで撮影するか考えてて長い間何も喋ってなくても、辛抱強くずっと待っててくれたから(笑)。

―駐車場の最後のシーンにさりげなくTy Dolla $ignが出てくるのも最高だね。

S:彼はみんなが気功をしてるシーンに入れたかったの。気功は私が毎日やってるエクササイズで、彼と一緒に組み込んだらパワフルで面白いと思ったから。

 ―最後のシーンはどういう意図なんだい?

S:音楽を体で表現したかった。私の楽曲はすべて違うサウンドだけど、全部私らしさを表現してる。「Hit Different」は他のどんな楽曲にも似てないし、今までの曲とは違うサウンドになってる。私のサウンドはそれぞれの楽曲で全く異なるってことをビジュアルとして表現したかったの。それでいて、君はそれを繋ぐ接着剤なんだよってね。

 ―現時点で何曲ぐらい作り貯めてるんだい?

S:何曲も!自分を表現したいからね。

―君のMVでセクシーなシーンを見たのは2回目だよ。みんなが「私をみて!」って言ってるみたいで良かったけど、男の俺にとってはちょっと刺激的だったな(笑)。タイムラインもみた?

S:タイムラインではいつも皆の素直で正しい反応が見れると思ってる。これまで直接私にいつリリースするのか急かすことをしてくる人は誰もいなかったの。今回の曲をリリースする時はビジュアルとしてMVも必要だと思ったんだけど、ちょうどそのとき私はナーバスになってた。いつも行き当たりばったりで、「今回も自信作だから今日もうリリースしちゃおう」みたいなタイプなのに。1週間リリースを伸ばしたら1年はリリースできなくなることが分かったね(笑)。最近リリースがなかったのは「不安だったから」ってのが理由だよ。

―君が自信を持って戻ってきてくれて素直に嬉しいよ。ドラッグだったり変なものに手を出さずに、以前のようなちゃんとした状態で戻ってこれるアーティストは少ないからね。

S:そういう風に言ってくれて嬉しい。私は今まで曲をリリースするのに怖いと思ったことはなかった。ただ自分の思いを正直に表現してて、音楽は私の一部だった。皆にサボってるって思われたくなかったけど、良いものじゃなかったら「またもう3年は戻ってくるな」って言われると思ったから。だから、そう言ってくれて嬉しい。

―こうやって音楽に戻ってこれた人はレアだと思ってるから俺は嬉しいな。君が一度音楽と距離を置いたときに、ミーハーみたいに「まじかよ!」って騒いで申し訳なかったよ。

S:いいやあなたがそんなファンでいてくれたなんてびっくりだし、距離を置いてたのは本当に良い音楽を作りたかったからだけなの。このインタビューで撮れ高があったかは分からないけど、ただ正直に自分の気持ちを話させてもらえたね。今日はありがとう。

Credit

Writer : Shinya Yamazaki
Translator : Mizuki Yoshida
Edited by : SUBLYRICS

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