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Photo by Julian Burgueno

「静かに、そしてビッグになる」
Young Nudy、最新プロジェクト『Anyways』で見せた「変化」を語る

FEBRUARY 26 2020

Pi’erre Bourneとのジョイント・アルバム『Sli’merre』のヒットや、Playboi Cartiとのデモ作品” Pissy Pumper “が話題になったイースト・アトランタ出身のラッパーYoung Nudy(ヤング・ヌーディ)がミックステープ『Anyways』をリリースした。
過去に『Slimeball』シリーズなど多くのミックステープをリリースしてきた彼は最新作『Anyways』をどのように制作し、どんなサウンドを込めたのだろうか。Complexによるインタビューを参照しながら、紹介していこうと思う。

ただ楽しんだだけさ。ラップが本当にしたかったから。自分のやり方で、前よりも上手くやったと思う。Complex(このミックステープにどんなエナジーを注いだ?)

彼は過去に「ビート選びからラップを録るまでを5分以内でこなすことができる」とインタビューで語っていたが、やはり今作も彼自身の自然でリラックスした状態で作品作りに臨んだようだ。いかに早いスピード感で制作を行うかは現行のラップ・シーンにおいて重要な要素の一つであるとされているが、今作は数多くのデモ・ソングの中からピックアップした数曲が収録された形の作品となったのだろうか。

『Anyways』の収録曲は多くの中からベスト・ソングを選んで作ったわけじゃない。地元に戻って曲を作り続けたのもそれが理由さ。全ての曲がそれぞれにマッチするように曲作りをしたからね。そこにはフロウ(流れ)が必要なんだ。まるで川の流れみたいにね。- Complex

彼はあくまで作品全体の流れを前提に考えた上で制作を行ったそうだ。今作には過去の作品と同様に彼の作品らしい個性的なビート(本人も” Weird Beats “と呼ぶほどだ)が披露された。収録曲” Blue Cheese Salad “や” GTA Lyfestyle “などはまさにその代表例だと言えるだろう。メロディラインに軽快なハイハットが響くトラップ・ビートのお手本的なサウンドでありながら、彼の声、フロウ、そして” Weird Beats “がそれぞれの作品を個性的に仕上げている。

俺の声はまさに「俺オリジナルのもの」だ。
俺は同じようなサウンドは全く求めていない。物事を変化させるのが好きなんだ。フォーク・ソングは同じように聞こえるだろ?多くの人が俺の曲に夢中になっているのは、それが理由さ。俺がラップをすれば、フロウも違うし、曲中のファースト・ヴァースと、セカンド・ヴァースのフロウの方法さえも変わってくる。いつも変化があるんだ。何かが必ず変化してる。そうあるべきだろ。Complex

常に新しさをもたらす彼は2018年末から21 Savage -『I AM > I WAS』、Dreamville -『Revenge of the Dreamers Ⅲ』などのグラミー・ノミネート作品に参加するなど、その名前と作品を確実により多くのリスナーへ届かせてきただろう。一方で彼自身は未だシーンからの反応に満足していないようだ。

(ラップ・シーンから過小評価されているか?と尋ねられ)

ああ、みんなまだ理解してない。でももう、そんなのどうでも良い段階に入ってきてる。もう全てはNudyのファンのためだ。そうだろ。ファンは俺を愛してくれてる。曲はどんどん良くなってるし、悪くなることはない。あとは常に上昇し続けるだけだ。
ドレイクみたいにビッグになりたい。俺の好きなアーティストを知ってる?彼みたいなファッションもしないし、似てもいないけど、J.コールだ。彼は静かだろ。でもマジでビッグだ。静かなのにさ。そういうのが好きだね。ケンドリックもそうだね。彼はマジで静かだよな。幽霊みたい(笑)。- Complex

コラボレーション・シングル” Sunset “や” Down Bad “にて、Dreamvilleを率いるラップ・シーンを代表するJ.コールとコラボしたことも影響があるのだろうか。ファッションやラップのスタイルにおいて彼らが対極的な存在であることは間違いないが、Nudyはコールのように「寡黙でありながら、影響力のあるラッパー」になることが目標だと語る。

ソーシャル・メディアの発展と、ラッパーたちのセルフ・プロモーションは今、切っても切り離せない関係だ。直近だとリル・パンプがデタラメの引退宣言をネタにリスナーを騒がせるなど、送信ボタン一つで話題を生み出すことが可能だ。そんな時代の中、ソーシャル・メディアで喋りすぎることなく、作品を黙々と制作し、リリースを行うのは自分自身、そして自身の作品に自信がなければできないことだ。

自分らしくいることが好きなんだ。時々ジョークをインスタグラムにポストすることくらいはあるけど、それ以外(ソーシャルメディアで騒ぐこと)はないね。自分らしくいるんだ。アーティストとして「カット」の中にいるのが好きなんだよ。そうすれば、みんな俺がここにいるって理解するだろうしね。- Complex

最新プロジェクト『Anyways』は過去の作品より軽快であり、無駄のない、そして彼の個性が十分に発揮された「新しい」作品だ。「必ず変化し続けている。」彼がそう語るように、前作を聴いた人も間違いなく楽しめる作品になっているのではないだろうか。

金を稼ぎ続けたいね。今まで以上に金を稼ぐ。
ファンや、これから俺の曲を聴く人のためにより良い音楽を作るよ。俺は色々なタイプの音楽を作れるから、みんながそれぞれ違う好きな曲を持って欲しい。けどそれまでは俺のバイブスを発揮していくよ。色々な方法でね。- Complex(2020年の目標)

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