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Jコール、自身の作品で社会的問題を
メイン・テーマとして扱うようになった理由を語る

JANUARY 22, 2020

ノースカロライナ州出身、今年のグラミー・ノミネート作品を生み出したDreamville(ドリームヴィル)を率いるラッパーJ.Cole(J.コール)

昨年リリースした作品のタイトルを引用すれば、彼はまさに「ミドル・チャイルド」の世代(若手でもなければ、ベテラン(OG)でもない)であるわけだが、そんな彼もメジャー・デビューから10年が経とうとしている。
非常に勉強熱心で、賢明な彼だからこそ、当然キャリアの中で、様々な葛藤、考えから作風の変化は多少なりともあったはずであろう。

1月の第3金曜日は、アメリカの祝日「Martin Luther King Jr. Day – キング牧師の日」だ。今年で5回目の開催となるNY・ハーレムのリバーサイド・チャーチで催されるブラック・コミュニティによるイベント「MLK Now」にラッパーのJコールも登壇し(コールはヨーロッパ系の母親と、アフリカン・アメリカンの父親の間に生まれている)、主にアメリカにおける人種による社会問題と、それによる自身の作風の変化を明かしてくれた。

友人のアダムが夜、俺の元に来て「新たなジム・クロウ法」のことや、そのことが書いてある本(The New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colorblindness)を手渡してくれたんだ。
確か2015年だったと思う。

その本に心が動かされた。俺たちが見て来たことや、感じたこと、それが本の中に事実を元にした証拠として描かれていたんだ。

アメリカの公民権擁護弁護士であるミシェル・アレクサンダー氏の著書『The New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colorblindness(『新たな黒人隔離:カラーブラインド時代の大量投獄』)』は、カラーブラインド時代、つまりどんな人種でも平等に扱われる現代でも、アフリカン・アメリカンは刑事司法のシステムにより大量投獄の標的にされている。ということを描いた作品だ。

先日当メディアでも、ラッパーのミーク・ミルが生まれ育ったフィラデルフィアの司法制度にどのように苦しめられ、そこから抜け出したかを紹介したように、未だアメリカ全土で、特に貧困地域に住むアフリカン・アメリカンは不当な判決を受けることが多々あるようだ。

コールはこの本を読んだことをきっかけに自身の作風が大きく変化したという。

『Forest Hills Drive』を出した後、俺は自分のことについてラップすることに飽きていたんだ。俺のキャリアの多く、作品の多くは俺自身の観点から描いたストーリーだったからね。
いつも自分以外からの観点も入れてきたけど、基本的には俺の個人的なジャーニーや、俺の個人的な成長を描いてる。
その時点で3枚アルバムを出していたから、当時もうそこには興味がなくなってしまってね。それまでの俺の興味は「ニューヨークからカロライナに戻ってきた」ってことばっかりだった。

確かにコールが2014年にリリースした3枚目のスタジオ・アルバム『2014 Forest Hills Drive』は、彼自身がノースカロライナという場所で育ち、NYで夢を掴み、自身にとっての本当の幸せとは何であるかを示した作品だ。

収録曲“ January 28th “などでは、2014年に起きたファーガソン事件をリリックに登場させていたり、アフリカン・アメリカンとして感じたアメリカ社会への不満を書き記していた彼だったが、アルバムを通じて表現したのは彼自身のジャーニーであり、自伝的な作品だった。
(ファーガソン事件 = 非武装のマイケル・ブラウン青年を白人警官が射殺した事件。全米レベルで抗議運動が巻き起こった)

What’s the price for a black man life?
I check the toe tag, not one zero in sight
I turn the TV on, not one hero in sight
Unless he dribble or he fiddle with mics
Look out the window cause tonight the city lit up with lights
Cameras and action

黒人の人生に価値なんてあるのか?
値札をチェックしてみたけど、ゼロすら見当たらないぞ
テレビをつけてみたけど、黒人にヒーローなんていねえ
ドリブルしてるか(バスケ選手)かマイク握ってる(ラッパー)かじゃねえか
窓の外を見れば今夜の街は灯りと喧騒に包まれてる
(ファーガソン事件から) – January 28th

一方で、2016年にリリースした『4 Your Eyes Only』でコールは「ストリートで生きていくことを避けることができなかった男」を描いている。
このテーマはいわば、典型的な貧困地域に生まれたアフリカン・アメリカンを描いたもので、前作とは大きく主旨を変えているのがわかるだろう。
実際にコールは『4 Your Eyes Only』のツアーでオレンジの囚人服を身にまとい、貧困地域に生まれたアフリカン・アメリカンの声を代弁するかのような演出を行なっていた。

(Complex)

ラッパーとしてキャリアを積み上げるごとに、大きな視野を持って社会を見るようになり、彼がヒップホップという音楽を通じてそこに存在する問題や、現実を提起しようという考えに至ったのだろうが、今回のイベントにてそのきっかけを知ることができた。

昨今、ゲストとしての楽曲を参加や、Dreamvilleとしての活動が目立つコールだが、彼はこれからどんなメッセージを私たちに届けてくれるのだろうか。期待されているアップカミング・アルバム『The Fall Off』が、今年リリースされるという噂もあり、楽しみでならない。

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