Jaden Smith

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" 生けるアイコン " ジェイデン・スミスが提案・実行する「地球を救うためにできること」

September 19, 2020

近年の夏の暑さは冗談では済まない。

NASA(アメリカ航空宇宙局)とNAOO(アメリカ海洋大気庁)によると、2010年代は140年の観測史上最も高温な10年だった。2019年は海水温が最も高い年であり、2020年8月18日、日本では静岡県浜松市で最高気温41.1度を観測。これは、2018年埼玉県熊谷市で観測された日本観測史上最高気温の41.1度と並んでタイの気温である。
二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出は止まることを知らない地球温暖化の原因となり、気温上昇は様々な自然災害を引き起こす。地球のシステムが崩壊すれば、地球上のほとんどの場所が居住不可能になる。

ニュースを見ていると2020年8月13日と14日の2日間、東京都では熱中症により14人が死亡。14日、新型コロナウイルスで3名が死亡。「コロナウイルスよりも危険だ」と言いたい訳ではないが、気温上昇の危険性が想像以上であることは明白だろう。

“There are a lot of other issues, but the first one that will kill us all will be the heat.”
問題はたくさんあるけれど人類を滅亡させそうなのはこの暑さだ。

ジェイデン・スミスはこの言葉と共に、地球を救うために人間がすべきアクションを5つ、UK版i-Dのインタビューにてかいつまんで提示した。

  1. ヴィーガンフードの推奨(週に一度肉食を控える)
    世界中の全ての人が1日でも肉食を止めたら地球環境にポジティヴな大影響を及ぼす。菜食を促進していけば、飢餓で苦しむ人も少なくなる。

  2. ゴミから何かを生み出す(リサイクル)
    人間は、自身が出す大量のゴミを創造行為に使うべきである。


  3. 建物や車を電化する
    地球の二酸化炭素の25%が、省エネ使用ではない建物から排出されている。建物を省エネ仕様に改良することの提案だけでなく、再生可能なエネルギーやサブステナブルなバッテリーを使用した電気自動車への転換も推奨している。

  4. サステイナブル(持続可能)な衣服を纏う
    ジェイデンは2018年、デニムブランドG-Star RAWとのパートナーシップと締結。同ブランドとコラボし、サステイナブルなコレクション「FORCES OF NATURE」を発表した。ジェイデンがG-Star RAWと組むことを決めた理由は、G-Star RAWのサステイナブルなイノベーションへの取り組みに感銘を受けたからだそう。

  5. 再生可能エネルギーを普及させるための供給網設備
    実は発電をする際に大量の汚染物質が排出されている。地面を掘って燃料を手に入れ、それを燃やす代わりに今あるものを利用する方が地球に良いという考えから、再生可能エネルギーの供給網の建設を推奨している。

実際にジェイデン自らこれら5つに関連するアクションを起こしている。以下でその具体例を紹介していきたいと思う。

年間4,200万人が食糧不安に陥るアメリカに安心と
栄養を届ける「I LOVE YOU Restaurant」

自身もヴィーガンであることで有名なジェイデン。そんなジェイデンは、動物由来の食材を口にしないヴィーガンに纏わる活動を2019年スタートさせた。トラックレストラン「I LOVE YOU Restaurant」である。

「I LOVE YOU Restaurant」は、日々の食料に困っているホームレスの人々にヘルシーなヴィーガンフードを無償で提供するトラック型のレストランだ。ジェイデンは、「I LOVE YOU Restaurant」と書かれたトラックレストランの出発地として、全米で最大規模となるホームレスを抱えていることで有名なアメリカ・ロサンゼルスのダウンタウンに位置するスキッド・ロウを選んだ。自身の21歳の誕生日である2019年7月8日にオープンしたこのレストランの公式Instagramの最初の投稿には“We Hope To See You Soon”(また近いうちに会えるといいな)というコメントが残されていた。その後も11月24日、12月8日、2020年1月25日、2月23日とヴィーガンフードを提供してきた「I LOVE YOU Restaurant」はそのコメントを幾度も実現している。

iloveyourestaurant

ゴミから生まれ、人間にも地球にも潤いを与える「JUST Water」

2018年にリリースした『The Sunset Tapes: A Cool Tape Story』の収録曲「Plastic」にてジェイデンは、安価で粗末に扱われるプラスチック(Plastic)と希少価値の高いプラチナ(Platinum)を対比させている。

Bust down, ran outta plastic (Woo)
蹴散らしてプラスチックを使い果たせ

Triple backflip, gymnastics (Woo)
体操みたいに3回宙返りさ

Every time I spit, it go platinum (Woo)
いつも僕が吐き捨てるそれはプラチナになるさ

プラスチックを何度も使って再利用すればいつかはプラチナのように価値あるものになるということか、音に乗せ自分が吐き捨てるこの言葉がプラチナディスク認定を獲得するということか、どちらにせよプラスチックを再利用しろと言っていることは間違いないだろう。(前年に発表した『ICON』がアメリカレコード会社であるRIAAからプラチナディスクの次にランクインするゴールドディスクとして認定された)

ペットボトルはプラスチックと同じポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)からできている。私たちは一体生涯で何本のペットボトルを手にし、手放すのだろう。

2015年、ジェイデンは父ウィル・スミスと紙容器入りミネラルウォーター「JUST Water」を開発した。ジェイデンは、10歳の時サーフィン中に海に浮かんでいるペットボトルを発見したことや、学校でマイクロプラスチック汚染問題について学んだことから地球環境問題へ真剣に取り組み始めたそうだ。54%の紙と28%のサトウキビ由来のプラスチックの合計82%が再生可能資源からできた容器に詰められる「JUST Water」の水はニューヨーク州のグレンズ・フォールズ分水から採取した100%スプリングウォーターである。

GQ

世界を救うかもしれない電気自動車「TESLA」

「JUST Water」設立のインスピレーションをイーロン・マスクから得たと話しているジェイデン。イーロン・マスクとは、アメリカ合衆国のシリコンバレーを拠点に二次電池式電気自動車と電気自動車関連商品、ソーラーパネルや蓄電池等を開発・製造・販売している自動車会社「Tesla, inc.」(テスラ)の共同設立者およびCEOだ。テック界の寵児である。

理想を言えば「人々は電気自動車に乗るべきである。しかし簡単にはいかない」ということは、誰もがわかっている明白な課題。イーロンはそれを解決しつつあるのだ。自明である問題を解き明かし、地球の問題解決にも助け舟ならぬ「助け車」を出すこととなったイーロンをリスペクトするジェイデンは「JUST Water」を設立し、2016年、17歳という若さで発売前の電気自動車TESLA Xモデルを先行購入した。TESLA Xは、一回のフル充電で約500kmという驚異的な航続距離を誇る電気自動車だ。

ジェイデンはテスラが大のお気に入りで、「Icon」(2017)や「Plastic」(2018)など、様々な楽曲のOfficial Videoでテスラを登場させてきた。テスラはジェイデンの楽曲内にも度々登場する。2017年のデビューアルバム『Syre』の収録曲「L」ではテスラの自動運転の速さについて歌った。

Were you goin’ fast son? Yes, sir
速かったか?ああ、速かったさ

It was that autopilot on the Tesla
テスラに搭載されている自動運転システムのことだよ

Heart palpitating so my chest hurts
動悸がして心臓が痛いくらいだ

Probably see it through my sweatshirt, yellin
多分、俺のスウェットの中からそれを見て叫んでいるんだ

人間が作り出した温暖化により排出されるメタンガスの量やそのフィードバック減少を考えると人間はより一層これから先、持続性を保つための選択をする必要があると言えるだろう。大量の二酸化炭素やメタンガスを大量に排出するガソリンに対し、電気自動車のエネルギーとなる電気は太陽光を代表とする100%再生可能なエネルギーにより生成され、輸送もワイヤーの中を通るだけ。電気自動車は寿命も長く、寿命が来て交換した後のバッテリーは家庭用蓄電器などとして数十年活用される。蓄電器としての使命を果たしたその後も、95%がリサイクルされまた使用されるのだ。ジェイデンは、エネルギーの生成過程からバッテリーの寿命までCO2を排出しないテスラを購入した。これもまた地球を癒す手助けとなっている。

サステイナブルな衣服を世に産み落とす「G-Star RAW」とのコラボレーション

2018年、ジェイデン・スミスはG-Star RAWとのパートナーシップと締結し、同ブランドの共同出資者であるファレル・ウィリアムスからの誘いを受けサステナブルなコレクション「FORCES OF NATURE」を発表した。完全循環型製品の定義と開発を行うCradle to Cradle でゴールド認証を受けたRFTPiデニム生地や100%オーガニックコットンの生地などを含む、様々な持続可能な素材とデザインイノベーションで実現されたこのコレクションはデニム以外にもスウェットやTシャツがラインナップされ、水をコンセプトとするブルー、大地のエクリュ、月蝕のブラックで構成されている。

Wonderland Magazine

パイプライン建設反対ムーブメント「#NODAPL」に参加

ジェイデンは、妹であるウィローとダコタ・アクセス・パイプラインの建設の中止を訴える#NODAPL 運動に参加した。ダコタ・アクセス・パイプラインは別名ブラックスネイクと呼ばれ、原油や天然ガスを大量輸送する手段として、石油製品の生産効率向上を目的としたパイプラインだ。オバマ政権下では温暖化防止のために建設が中止されていたが、オバマの政策に悉く反対するトランプ大統領が「建設は多くの雇用を生む素晴らしい計画だ」として、本パイプラインの建設に乗り出したことで、この#NODAPL運動が始まったのだ。スタンディングロックのネイティブアメリカンやスー族、ジェイデンやウィローなどといった環境保護活動家たちの訴えも虚しく、このパイプラインは2017年に完成、操業を開始した。

しかし来たる2020年7月6日、この#NODAPL運動の訴えが遂に実り、ワシントンD.C連邦裁判所によりパイプライン運営を一時停止する判決が下された。

地面を掘って燃料を手に入れ、それを燃やす代わりに今あるものを利用する方が地球に良いという考えから、再生可能エネルギーの供給網の建設を推奨しているジェイデンが、消費型のエネルギー供給網の建設を中止させるための活動に参加していたということ、実際に#NODAPL運動によりそのパイプラインが停止するということは明示の事実である。ポップアイコンとして環境保護活動を推し進めるジェイデンであれば、再生可能エネルギーの供給網建設を請願する活動を開始する日もそう遠くないかもしれない。

そしてジェイデン・スミスはニューバランスとのコラボレーションモデル「NB for Jaden Smith Vision Racer」を世界同時発売した。地球環境保護に配慮し動物由来の素材を一切使用せず、サステイナビリティを重視したヴィーガンにも優しい1足となっている。8月28日に新色「Wavy White」も発売された。厚底のアウトソールの底面には「Vision」の文字がプリントされている。


JUSTFRESHKICKS

I am just an icon living
俺はまさに生けるアイコン

自身の楽曲「Icon」で自身を「生けるアイコン」と謳ったジェイデン・スミス。彼の言葉のとおり、ジェイデンは音楽だけでなく環境保護の分野においても若者に影響を与え続ける「生けるアイコン」と言えるのではないか。

環境保護活動と共に前進するジェイデンには、私たちが生きる地球が、そして私たち人間自身がこれからどうなっていくのか、その「Vision」が見えているに違いない。

Credit

Writer : kozukario

1998年生まれ。美術、映画、哲学、文学、音楽、ファッション、アニメなど多趣味。マイブームは睡眠時に夢(無意識)を見ることと、ロンドンナショナルギャラリーの公式サイトで作者不明の作品を漁ること。

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