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MARCH 07 2020
1990年カリフォルニア州カーソン生まれ、Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)、Jay Rock(ジェイ・ロック)らを擁するラップ・シーンを代表するレーベルTDE(Top Dawg Entertainment)に所属するラッパーReason(リーズン)。
彼のキャリアのスタートは早くない。バスケットボールのプレイヤーとして大学まで(23歳)を過ごした後、本格的に音楽制作を始め、2015年〜2016年の間にミックステープ『In The Meantime』『The Free Album』『The Proof』の3作をリリース、2017年にはスタジオ・アルバム『There You Have It』をリリースしてきた。このデビュー・プロジェクト、そしてそのリリース・ライブがきっかけとなりTDEと契約を果たすことになる。
29歳のラッパーはTDEというスター揃いのレーベルに所属しながら、自身を「ニューアーティスト」と称している。制作が完了したと本人も語るアップカミングなアルバム『New Beginnings』からリリースされた重厚なドラムが鳴り響く先行シングルはその勢いや、マインドを体現したかのような挑戦的なサウンドに仕上がっている。
彼の魅力の一つは、その地に足が着いたハングリーな精神だ。勿論、そのパーソナリティは作品にも表現されている。大学まで続けたバスケットボールの夢を叶えることができず、新たに音楽へ情熱を燃やすことになった彼がそのスピードを緩めることはないだろう。
ヒューストン郊外出身の18歳のラッパーはデビュー・ミックステープ『CHASE』を昨年5月にリリースしたばかり。その声のトーン、シャープなリリシズムからJ.コールとも比較される青年はYoutube、SoundCloudを中心に大きな話題を生んでいる。(” LET GO “のMVはYoutubeにて470万回再生)
Complexにて自身のサウンドとJ.コールとの比較について尋ねられ彼はこう答えている。
“ コールが俺くらいの年にリリースしていた曲を聴けば、みんなこう言うはずさ「おい、こいつエミネムにそっくりだぞ」ってね。俺の場合も一緒さ。J.コールだって20代になるまでは大きな人気を手に入れていたわけじゃない。それまでに彼は自分自身のサウンドを確立して、なりたいアーティストの姿へと成長を遂げたはずだよ。
つまり、俺たちはみんな誰かにインスピレーションや影響を受けて成長してる。確かに俺が最も影響を受けたのはNasやJ.コールだけど、自分が20になった時はどうだろうね? 俺もきっと自分自身のオリジナルなサウンドを見つけ出せるはずさ。俺は17歳(当時)でまだ成長している過程だ。毎日曲を作って、まだまだ学ぶべきところが沢山あると自分でも自覚してる。もしそれを続けていって、学ぶことができたら?J.コールだってできないこともできるはずさ。だって俺は俺だから。– Complex ”
自身の最大のインスピレーションにNas、J.コールといったMCの名前を挙げる彼。(またJ.コールはNasが自身のバイブルだと語っている)
未だスタジオ・アルバムはリリースしていないものの、現状に満足することなく貪欲に物事を吸収し続け、オリジナルのサウンドを追い求める姿勢がどんな作品を生むのか、楽しみでならない。
「BLOWING UP」では過去にナイジェリア出身 / ナイジェリアにルーツを持つODIE、Tay Iwar、Odunsiといったアーティストを紹介してきたが、今回紹介するThutmoseもまさにナイジェリア出身のラッパーだ。
8歳までをナイジェリアで過ごし、NY・ブルックリンに移り住んだ彼は2017年にアップロードした「Kendrick Lamar “ Humble “ Freestyle」によって注目を集めた。アフロ・ビーツを基調としたトラップ・サウンドと、彼自身が生み出す畝るようなヴォーカルのメロディで既に多くのファンを獲得している。
2018年にデビュー・アルバム『Man on Fire』をリリース、『Spider-Man : Into the Spider Verse (Soundtrack)』にも参加。個人的なオススメ” Ride With Me “を紹介したい。
カニエ・ウエスト、チャンス・ザ・ラッパー、コモン、ルーぺ・フィアスコを生んだシャイ・タウン(シカゴ)から新たなスターになるべく存在Femdot。
25歳の若きラッパーは2018年にデビュー・プロジェクト『Delacreme 2』を、昨年にはEP『94 Camry Music』を既にリリースしている。A Tribe Called Quest、Nas、Jay-Zのような90年代NYの影響を色濃く感じさせるサウンド、15-16歳の頃から同じ交友のあるSabaなども所属するPivot Gangとも近いフロウを見せる。しかし、彼の作品は非常に多彩だ。クラシックなサウンドを継承したものもあれば、Lyrical LemonadeからMVがアップロードされた” 0’Something “のようなトレンドを押さえたものもある。彼が「特定のサウンド」に縛られることなく、自身の中にある様々な要素をアウトプットできるのは、地元シカゴで生まれ育ったことが影響しているそうだ。
“ 俺たちの街では、誰とも似つかないアーティストたちが沢山いるんだ。けど、みんな自分自身に正直なんだよ。それを見て、俺は自分自身が変わらなくても良いと気づけた。Saba, Noname, Sminoを見れば、そのサウンドは際立ってる。そういうのを見て勇気付けられてるよ。自分自身の全てが気に入っていなくても、全てをさらけ出せば上手くいくと思うから。– Chicago Tribune ”
ラス・ベガス出身、未だ19歳の若き才能Baby Keem。
TDE(Top Dawg Entertainment)のメンバーとの交友も深く、2018年にリリースされたジェイ・ロック『Redemption』や『Black Panther : The Album』にプロダクション面(主にライティング)で参加。昨年にもスクールボーイ・Q『CrasH Talk』、『The Lion King』に参加、ケンドリック・ラマーが先日発表した「pqLang」にもアクターとして出演するなど業界からの期待もさすがの一言だ。最新作『DIE FOR MY BITCH』でもその才能を遺憾なく発揮している。
このプロジェクトを一聴してまずわかるのが彼がいかに多才であるかだ。ケンドリック・ラマーのような柔軟なフロウとハイトーンな声を見せたかと思えば、ヘヴィーなビートを軽快に乗りこなすスクールボーイ・Qのようなリズム感も持ち合わせていることを見せる。驚くべきは10曲目” MY EX “だ。他の収録曲とは一風変わったアコースティック・ギターをベースにしたビートに乗せ、彼はまさに「歌い」上げている。楽曲へのアプローチという点で彼が本当に「なんでもできる」ということを感じさせられた。
収録曲の半数以上のプロデュースに参加している上に、大物ラッパーから引く手数多な彼のその多才さを鑑みれば、スターになるのに足りない要素は多くないだろう。
テキサス州ヒューストン出身のラッパーTedy Andreasは2017年にデビュー・プロジェクト『In2deep』を、昨年2作目となる『Andreas Soriano』をリリースしている。彼はその作品で90年代のヒップホップにインスパイアされたクラシックなサウンドの進化を見せてくれる。
未だYoutubeにおいて最も再生された作品でも50万回〜60万回再生ほどだが、最新プロジェクトではFreddie Gibbsなど豪華ゲストを迎え、自身のスタイルを貫いている。90s HipHopが好きという方は是非チェックして見てほしい。
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