「最もスタイリッシュなラッパー」の肩書きを持ち、ラッパーとしてだけでなく、ファッションなど様々な世界で活躍するNY・ハーレム出身のアーティスト、A$AP Rocky（エイサップ・ロッキー）。

そんなロッキーがNYを拠点に活動するアートユニットのSpaghetti Boys（スパゲッティ・ボーイズ）のメンバーであり、音楽アーティストとも親交が深いKerwin Frost（カーウィン・フロスト）のインタビュー動画に登場。

過去に紹介したように、ポスト・マローン、シザ、ブラッド・オレンジ、タイラー・ザ・クリエイターなども登場した連載に登場したロッキー。
1時間ほどの動画内で彼はエイサップ・モブに加入した経緯や、昨年8月に暴行容疑で拘留された際の経験を語ってくれていたので紹介していこうと思う。

現在のラップ・ゲームの中で最も有名なクルー / コレクティブといっても過言ではないエイサップ・モブだが、意外にもロッキーは設立メンバーではない。14年前、2006年に結成されたクルーにロッキーはどのような経緯で加入することになったのだろうか。

“ ヤムスに初めて会ったのは2006年だ。エイサップ・モブはヤムス、バリ、イルズ、ジュース（ゾンビ・ジュース）、カディーム、がオリジナル・メンバーだよ。

俺がそこに参加したのはバリと高校が同じだったからなんだ。出会った時、彼はドラッグ・ディールをしていて、俺もウィードを売ってた。だから高校生なのにルイ・ヴィトンやラフ・シモンズを着てたんだ。”

エイサップ・バリはクルーの設立者でありながら、クロージング・ブランドVLONEのディレクターでもあるが、ロッキーと同じく高校生にしてルイ・ヴィトンやラフ・シモンズを着こなしていたようだ。同じようなセンスを持つ2人はすぐに意気投合したのだろう。エイサップ・モブに加入した詳しい経緯はロッキーの生い立ちから現在までを紹介した以下の記事で紹介しているので気になる方は是非チェックしてみてほしい。

エイサップ・ロッキーとは 成功の裏に隠れる悲劇と、何にも屈しない「覚悟」/ Rappers Dictionary

ロッキーは昨年8月、スウェーデンにて暴行の容疑をかけられ、数週間独房に拘留されていた。昨年11月に登壇した「Summit LA」では、「愛を返したい」とスウェーデンに住むサポートしてくれたファンへの感謝を表すために、実際に収監されていたKronoberg 拘置所の制服のデザインを行うとの驚きの発言もあった。
この対談では、勾留中の葛藤、独房の中で過ごした苦しい時間について語ってくれた。

“ 本当にあそこで起こったのは残念な出来事だった。間違ったタイミングで、間違った事が起きたんだ。
ミーク（ミーク・ミル）や何人かとも話したけど、まさに「どんだけ金を持っていても、ああいう事が起きる」って事を理解したよ。

しかも監獄の中にいると「俺が間違ってたのかな？クソ、もしかして俺が悪かったのかも。いや俺のせいだったんだ」なんて気持ちになってくる。独房で長い間、1人だとそんな気持ちになっちまうんだ。

判決を受ける前、ただ「拘留」される場所で何ヶ月も、何年間も法廷の結果を待つのは遅れてる。どれほどの貧しい人が拘留されているのかはわからないが、みんなに2$を募金してくれと呼びかけることは出来るし、俺も自分の資本を募金したい。コンサートをやって、募金しようとも思ったしね。”

何度も拘留所や刑務所に収監されたミーク・ミルも似た事をインタビューで語っていたが、独房での時間は精神的に非常に苦しいもののようだ。当時スウェーデンは2時間しか太陽が沈まない「白夜」が訪れていたそうで、時間の感覚も狂ってしまったそう。

そんな経験をしながら、自分と同じように判決を待つために拘留所に何週間も何ヶ月も収容されてしまう人たちをサポートしたいと彼は語る。
たとえ無罪であっても、金銭的に貧しく弁護士を中々つけられない場合は、必然的に長い間拘留されることになるだろうし、独房での生活は精神的にダメージがある事を彼は身をもって理解している。なぜ彼が苦い思いをしたスウェーデンで凱旋コンサートを行うことにしたか、その理由がよくわかるエピソードだ。

「ラッパーとリスナーとの精神的な繋がりが希薄だ」と先日彼は「Summit LA」にて明かしていたが、コミュニティ、拘留所のような社会的な施設の環境を改善するために尽力したいという彼の持つマインド、行動が実を結ぶのを願うばかりだ。

その他にもこの対談では、それぞれのファッションについて、友人であるイアン・コナーが性的暴行の容疑で起訴されたことに関しての意見を明かしている。フル・エピソードは以下の動画をチェックしてみてほしい。