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ANDREW CHIN/GETTY IMAGES

エイサップ・ロッキー「Summit LA 19」に登壇

オリジナルを貫く姿勢、現在の音楽界に欠けている重要な要素を指摘する

NOVEMBER 20 , 2019

「最もスタイリッシュなラッパー」の肩書きを持ち、ラッパーとしてだけでなく、ファッションなど様々な世界で活躍するNY・ハーレム出身のアーティスト、A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)

ラッパーとしてホームレスから成り上がって世界的なスターとなった彼が、11月中旬、多様なテーマを通じてインスピレーションを喚起することが目的のイベントで、LAのダウンタウンエリアを中心に開催された「Summit LA 19」に登壇。

UberのCEOなど世界的な企業家たちも登壇するイベントで彼は、「Culture, Clothes, and Cultivating Creative Legacy – カルチャー、衣服、クリエイティブ・レガシー(創造的な伝統・作品)の養成」と題されたテーマについて語ってくれた。

一体彼はラッパー、そして世界を駆け抜けるアーティストとして何を語っただろうか。彼の生い立ち、そして現在までのキャリアを深くチェックしたい人は是非、当メディアの紹介記事をご覧になってほしい。

エイサップ・ロッキーとは 成功の裏に隠れる悲劇と、何にも屈しない「覚悟」/ Rappers Dictionary

リアル(authenticity – 真正)であること。それが第一だ。

今や一流ブランドの広告塔になるなど、ファッション界で大きな影響力を持ち、若者から憧れの目で見られるそのスタイルは「奇抜さ」からデビュー前に地元ハーレムでからかわれることもあった。

 
 
 
 
 
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“Everybody has a story. It’s all about how you tell it.” – @asaprocky | #SummitLA

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「やると決めたら自分の決断には自信を持て。」2012年に亡くなった父から12歳の時、こう告げられた彼は、自分のオーセンティシティ(リアル)を貫いている。

誰もがストーリーを持っている。それを「どう」伝えるかだ。

自身の服装・スタイルに対し、オリジナルを貫く彼は壇上でこう語った。

俺たちはみんな何でも取り入れられる。それこそ「スタイル」だから。
タイトなジーンズを履いたら、多くの人がそれを見て「パンクだ」って思うけど、今ヒップホップを聞いているティーンエイジャーは普通にスキニーを履いてるだろ。

親和性がないと思われているものを取り入れていくことで人は「スタイル」を確立していくと語るロッキー。服装だけでなく彼の音楽にもそのマインドは表れている。Moby、Rod Stewart、Boyz Noizeなど異なるジャンルのアーティスト達を自身の作品に迎えることで、彼は音楽でもオリジナルを貫く。

みんな何かに影響され、ミックスされている。一つの要素でできている人間は少ないよ。

音楽に話題が移ると彼は今日の音楽業界に欠けている要素を指摘する。

現状の音楽に欠けている最も重要なものは” 精神的な繋がり “だ。
多くの人がそれ(重要性)を見失っていると思う。

アーティストとリスナーの間にある精神的な繋がりが欠けていると指摘するロッキー。Forbes紙はヒップホップ・ラップソングがポピュラーミュージックになっていくについて、産業的なヒットのメカニズムが組み込まれ、ラッパーとリスナーの精神的な繋がりが希薄になっていく危険を言及している。

彼はこの「Summit LA 19」にて、今年夏8月に暴行容疑で収監されるハプニングに見舞われたスウェーデンに凱旋公演、実際に収監されていたKronoberg 拘置所の制服(囚人服)のデザインを行うとの驚きの発言も行っている。

拘置所にいる時、よくテレビを見てたんだ。スウェーデン人のファン達はそこで俺へ愛を示してくれた。だからその愛を返したいんだ。

「愛を返したい。」この発言・そして言動は彼がアーティストとリスナー達の「精神的な繋がり」を重要視していることにきっと起因するのだろう。

俺は自分にできることをやりたいんだ。
作品を作り続けて、自分の後に続く人を励ましたい

ロッキーは自身を拘留したスウェーデンにすむファンたちに愛を送った。スタイル、人柄、そして目指す地点がどこにあるのか。それらが見えてくる登壇だったのではないだろうか。

また、彼は家族を亡くしながら、苦しい生活の中で一時はドラッグ・ディール、犯罪に手を染めることで必死に生きてきた。そんな彼がサミットという国際的なイベントに大企業のCEOと並ぶ姿を見ると、いかにヒップホップというカルチャー、一度は犯罪に手を染めたアーティスト達がアメリカでどれほど社会的に認められ、理解されているのかも、この登壇からは垣間見えてくると思うのだ。

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