rappersdictionary-NIPSEYY-HUSSLE

GETTY IMAGE

ニプシー・ハッスルとは
未来を見つめ、遠い目標へ走り続けたランナー

JANUARY 15 2020

Nipsey Hussle(ニプシー・ハッスル):
Ermias Joseph Asghedom(アーミアス・ジョセフ・アスケダム)

(Youtube)

生まれ :
1985年8月15日
カリフォルニア州ロサンゼルス・クレンショー

「生まれ育った場所をより良い場所にしていきたい」

「地元に還元したい」

「自分と同じような境遇の子どもたちに満足な環境を作りたい」

生まれ育った場所をレペゼンして、恩返しをしていくというのはヒップホップのカルチャーの重要な精神である。

ヒップホップの創成期とも言える1970年代のNY・サウスブロンクスで催されたブロック・パーティーも、同じ地域に住む人々が機材を持ち寄って、その空間で一体感を共有することを大事にしていた。つまりコミュニティが団結して生まれた行動、ムーブが、コミュニティに吸収されていくことに喜びや楽しみ、ポジティブな一体感を感じていた。

今やヒップホップの規模状況は全く異なるわけだが、「何もない場所から、何かを生み出し、コミュニティに還元する。」そのスピリット、マインドは変わらず、脈々と受け継がれている。

しかし、いざ「還元したい」とはいっても、ジェイ・Zやドクター・ドレーなどの余程の大金持ちでもなければ多額の寄付は出来ないし、単純に大金を渡すだけでは一時的な解決にしかならないかもしれない。長い年月をかけて作られてきたフッドの社会システム、そして貧困の悪循環を1人のラッパーの力で変えることは到底難しい、そう思うのが当たり前だろう。

アーミアス・アスケダムはカリフォルニア州ロサンゼルス・クレンショーに生まれ、地元のギャングに加入、そのMCネームの通り、若くしてストリートでのハッスルを生業にしてきた。
(本当に)惜しくも2019年3月31日に銃撃を受け亡くなってしまったアーミアスは生前、そのビジョンと行動で「地域をより良くしていきたい」と願い、努力するすべての人に希望と力、原動力を与えてくれた。

第8回目となる連載「Rappers Dictionary」では、そんな彼の生い立ちから、ラッパーとしてのデビュー、どのようにコミュニティの改善を試み、成功したか、彼が残していったレガシーまでをリスペクトを込め紹介していこうと思う。

 

生い立ち

Ermias Joseph Asghedom(アーミアス・ジョセフ・アスケダム)は、1985年8月15日にカリフォルニア州ロサンゼルス / サウス・セントラル(サウス・ロサンゼルス)地区に生まれた。
『Boyz n da Hood』の舞台、92年のロサンゼルス暴動の中心地としても知られるこの地域。Googleで「サウス・セントラル」と検索すれば、まず出てくる予測ワードは「治安」。旅行客が寄り付く土地ではないことは間違いないだろう。

南北に広がるクレンショウ・ブルボード、東西に走るスローソン・アベニューがクロスする一帯を「フッド」とし、生涯を過ごしたアーミアスはこの地区でどのように育ったのだろうか。

Look, I’m comin straight off of Slauson
A crazy motherfucker named Nipsey
I’m turnt up cause I grew up in the 60s.
見てみろ、俺はスローソンから来てんだよ。

クレイジーなマザーファッカー、名前はニプシーだ。
俺は最高さ、なんでかって、60’sで育ったからな。- Hussle In the House

「60’s」とは彼が所属していた地元のギャング「Rollin 60’s Neighorhood Clips」のことである。15歳で実家を離れ、ドラッグ・ディールで生計を立てた彼にとって、自身を育てた場所はまさにストリートである。

「God Will Rise – 神は立ち上がる(蘇る)」という意味を持つファースト・ネームを授けられたアーミアス。3〜4歳の時に両親が離婚(別居)したことにより、兄、母親、叔父、祖母と共に過ごし、幼い頃からスヌープ・ドッグ、ドクター・ドレーといった地元西海岸のギャングスタ・ラップを聴きながら育って来た。12歳から憧れのラッパーたちのビートにオリジナルのリリックを乗せていたそう。
(父親との関係は良好で、兄と共に父親の出身であるエリトリアを訪れ、自身のルーツを学んだそう。)

14歳でドラッグ・ディールを始め、母親の再婚相手と上手く関係性を築くことができなかったアーミアスは、15歳の時には自立。ストリートで稼いだ金で自身の生活を賄うことに。

祖母と2人で少しの間一緒に暮らして、その後すぐに自立したんだ。
15、16歳くらいだった。ギャングの抗争も、ストリート・ライフもそこから始まった。
若くしてストリートにいて、LAがリアルな場所だと痛感したよ。その時期に” 全て “に出会ったんだ。殺人、ドラッグ・ディール、警察、刑務所、フッドの政治。全てにね。

アレキサンダー・ハミルトン高校を中退するも、知識の重要性を十分に理解するアーミアスはたった15歳でコミュニティ・カレッジに通い、語学、心理学、哲学を学んだ。彼の起業家精神、そのアイデアはこういった貪欲に学ぶ姿勢に由来するのかもしれない。当時カレッジの教授には、あまりの若さと優秀さにエッセイの剽窃を疑われることもあった。

教授に「あなたエッセイを盗んでないよね?15歳でプラトンを引用するなんて、ありえる?」と聞かれたよ。でも俺はただ夢中なだけだった。 “

(Highschool Pic)

その後、彼はカレッジを中退。兼ねてより「第一のプライオリティだ」と語っていた音楽に時間を全て注ぎ込むことに。その際、ドラッグ・ディールで稼いだ金、車や宝石など全てを売り払い、音響設備に当てたそう。

彼は既存の常識、育った環境というアイデンティティに縛られることなく、自身の学びや挑戦を全て自分で取捨選択してきた。それにかかるお金も彼自身がストリートで危険を冒しながら稼いだものだ。

「目標に向かい、実現するためには何をすれば良いか。何が必要なのか。どんな方法で行うべきか。」

彼はそれらを若くして考え、理解していた。目的地に向かうレールを足元に敷き、自分でガソリンを注ぎ、走り続けた。自身を「セルフ・メイドした」「リスクを取る」というリリックはこのような経験から生まれているのだろう。

“ Don’t know a nigga like myself
I say self-made, meanin’ I designed myself.

俺みたいな男は他に知らない。
俺は「セルフ・メイド」っつってんだ。俺は俺自身をデザインした。- Griding All My Life “

“ Fuck livin’ basic, I’m takin’ risks
Fuck what they sayin’, I’m sayin’ this

Don’t waste your time, it don’t make you rich
It don’t mean nothin’ so fuck ‘em, let’s make a grip

普通の暮らしなんてファックだ。俺はリスクな取る。
あいつらの言うことなんてファックだ。俺がこう言うんだ。
時間を無駄にするな。そんなことしてもリッチにはなれない。
何の価値もない、それならファックを送れ。きっちり掴み取るのさ。- Hussle & Motivate ”

しかし、生涯を見直せば、彼にとっての最後の目的地はストリートを抜け出し、音楽で生きていくことではなかっただろう。ビジョンを描き、そのビジョンを持ってフッドの当たり前を変えることだ。その道筋をこれから紹介していこうと思う。

最も重要なことは自分の中から「疑い」を消すことだ。
自分のやっていることに不安を覚えると、絶対に上手くいかない。プランがそこにあるなら、それはただの「空想」なんかじゃないだろ。そこには一歩一歩、ゴールまでにやるべきことのリストがあるはずだ。それがないなら、自分のやっていることに信念を持つのはとても難しい。
何か一つのことに成功した途端、まるで全てが終わったかのように感じてしまうからだ。– West Coast Rydaz ”

 

 

ラッパー「ニプシー・ハッスル」として /
インディペンデントを貫く姿勢

2005年、名コメディアンのNipsey Russell(ニプシー・ラッセル)にあやかった、Nipsey Hussle(ニプシー・ハッスル)という名前で初のミックス・テープ『Slauson Boy Vol. 1』をリリース。18歳ながらSlauson Boy Recordというレーベルを立ち上げ、作品の原盤権を保持するなど、インディペンデントな姿勢を持ち彼はシーンに登場した。

車のトラックでCDを販売し、地元でもその名前は知り渡り始める。しかし2006年に逮捕、機材は没収され、再びゼロからのスタートを余儀なくされた。全てを失った彼は、出所後、機材と環境を求め、Cinematic Music Group、Epic Recordsとサイン(2010年には脱退)

2008年には『Bullets Ain’t Got No Name Vol. 1, 2』の2作を公開。『Vol. 2』にはカニエ・ウエストがプロデュースのビートが収録されたこともあり、LAのラジオ局の目に止まり、より大きなオーディエンスを獲得することに成功する。

翌年リリースした4枚目のミックステープ『Vol. 3』では、当時『So Far Gone』で大ヒットを手にしていたドレイクをフューチャー。長身で細身の見た目、声のトーンも似ているため親族かと間違われることも多いスヌープ・ドッグの『Malice N’ Wonderland』にも客演として参加することに。

地元でプロップスを手に入れ、2010年にはJ.コール、ウィズ・カリファなどと共にXXL Freshmanに登場。
年内にデビュー・スタジオ・アルバム『South Central State of Mind』をリリース予定だったが、この作品が公開されることはなかった。待望のデビュー・アルバムがリリースされるのは2018年。デビューから「13年後」だ。
デビューから数年で人気を獲得しながら、彼が正式にアルバムをリリースできなかったのには理由がある。

自身のレーベルAll Money In(前: Slauson Boy Record)からインディペンデントに作品をリリースすることを遵守する彼は、既存の音楽業界のシステムに囚われることを嫌う。レーベルにコントロールされることなく、自分たちでグリップを握ることを最優先事項として掲げてきた。

俺はコントロールすること、平等なオーナーシップを持つことを断固として主張してきた。新たなレベルでパートナーとしての関係を築くんだ。
その実現のためにやることは沢山あったよ。伝統的なエコシステム(音楽の経済圏)の外側で、自分たちの価値を築かなきゃいけなかった。
その価値があるレベルに達して初めて、俺たちが求める条件にも価値が生まれたと思う(レーベルに条件を求めることができる立場になった)– Power 106 ”

完全にグリップを握った状態でアルバムをリリースすることに拘ったアーミアスは13年もの間、「自分たちの価値」を築き上げ、メジャー・レーベルに条件を求める立場になるための準備を行っていたのだろう。

既存の大手レコード会社と、所属アーティストの契約の多くは原盤権を会社側に委ね、売り上げのほんの数%しかアーティストに還元されない仕組みの上に成り立っている。

Labels used to treatin’ rappers like a slave, nigga
Starvin’ artist, “Just be happy with your fame, nigga”
Shit changed, now it’s such a different game
All the niggas like myself is controlling everything
If you, pay attention see exactly what I mean.

レーベルはラッパーたちを奴隷のように扱ってる。
アーティストを飢えさせて「自分の名声を楽しめ!」なんて言いやがる。
そんなクソな時代は終わった。もうゲームは変わってるんだ。
俺みたいな奴らは、全てをコントロールしてる。
よく注意して物事を見れば、俺の言いたいことわかるだろ。- Clenshaw and Slauson

長いスパンで物事を考え、自分でレールを敷き、自分で走る。

これは彼が度々口にしてきた「マラソンは続く」というスローガンそのものだ。この音楽に関するオーナーシップへのこだわりも、そのマインドを体現する一つの例だろう。

デビュー・アルバムをリリースするまでに計7つのミックステープを製作。中には1枚100ドルの価格を設定した特典付きのフィジカル版を1000枚限定で販売するなど、希少価値の高さを生かした合理的な独自の戦略を取り込んだ作品も。彼は「ストリート(フッド)出身のラッパー」という枠に縛られることなく、多くのアイデアを実践し、新たな成功例を築いていった。

彼とは環境は異なるものの、筆者もこの「地元に住む若者のアイデンティティの縛り」を強く感じながら育ってきた。同調圧力と他者の視線から特定の行動規範が決められ、そのアイデンティティに縛られながら生きる若者はロサンゼルスのフッドだけではなく、間違いなく世界中に存在している。

どんな環境・場所に生まれようとも、正しい方法とプロセスを踏めば、その縛りからも抜け出し、目標を達成できる。この事実を証明した彼にどれだけ多くの若者たちが勇気をもらったことだろうか。私もその一人である。

Never had to follow rules, if I want to then I do so
World famous, everywhere that you go
People taking pictures.

ルールに従う必要なんてなかった。俺はやりたいことをやるんだ。
ワールド・フェイマス。どこにいっても、みんな俺の写真を撮ってるよ。- Identity

You find your purpose or you wastin’ air
Fuck it though, y’all niggas scared, eyes opened, I can see it clear.

目的を見つけるか、それとも時間を無駄にするか。
そんなのクソだろ、お前らみんなビビってんだ。目を見開いてるから、俺にはクリアに見えてるぜ – Victory Lap

デビュー・アルバム『Victory Lap』は2018年2月16日、満を辞してリリースされた。「勝利の周回」と題された作品は、いわば彼のウイニング・ランだ。ラッパーとしても成功を収め、ビジネスマンとしても(次章で解説)順調に事業を成功させ、フッドから、そして世界中からリスペクトを受けてきた。彼もこの作品を自身のベスト・プロジェクトだと考えている。

ベスト・プロジェクトだと言って良いと思う。作品の一貫性という意味で特にね。曲のライティング・リリックに顕著に表れてるよ。
最初から最後まで、それぞれが違う感情を抱かせてくれる。その内容は本当に正直な気持ちが詰まってる。プロダクションのレベルも上がったしね。
『Victory Lap』は俺の人生を表してる。本当の俺を映し出してるんだ。– Highsnobelty ”

” Hussle & Motivate “、” Grinding All My Life “などの作品はタイトルを見てもわかるように、彼の人生そのものを表している。

All my life, been grindin’ all my life
Sacrificed, hustled, paid the price
Want a slice, got to roll the dice
That’s why, all my life, I been grindin’ all my life, look

俺の人生、俺はこの人生を常にグラインド(努力)してきた。
ハッスルには犠牲が伴う。俺は対価を支払ってきた。
金が欲しい?サイコロを持ってるのは俺。
それが理由さ、俺は常にこの人生をグラインドしてる。見てな。- Grinding All My Life

彼自身は何かの「賞」に批評されることを気にしてはいないが、作品はグラミー賞「Best Rap Album」にもノミネート。賞という形でもその功績を称えられた。次章では、彼が地元にどんな手法で還元してきたのか、どんな風に生まれ育ったクレンショー、スローソンの未来を見つめ、行動を起こしたのかを紹介していこうと思う。

 

 

フッドの未来を見つめて
ストリートとビジネスのバトンを渡す

上述したようにアーミアスのゴールはストリートから抜け出し、ラッパーとして音楽で生活していくことではない。

2017年、彼は広報戦略家のカレン・シビルや兄のサミュエルと共にクレンショウ・アベニュー、スローソン大通りがちょうどクロスする位置にマーチャンダイス(服)、日用品を取り扱う路面店「Marathon Clothing Store」をローンチ。

HotNewHipHopから掲載されたドキュメンタリーでは、ストアがオープンするずっと前からこの場所が、地域住民にとっての憩いの場だったと語られている。

俺は10年前からここで葉っぱを吸ってんだ。まさにこの椅子に座ってな。
思い出すと、みんなここに集まるのが大好きだったんだ。– HotNewHipHop ”

売り上げという点で見れば、きっとロサンゼルスの街中にオープンする方がきっと良いだろう。しかし、彼はあくまで地元のためにビジネスを行う。

作品中で「昔はパーティもやっていたが、取り締まりが厳しくなり、以前のような盛り上がりは無くなった」と語る男性の言葉からもわかるように、このコミュニティはクリーンな方法で地域を経済的、精神的に盛り上げる方法を模索していたところだった。

そんな時、彼は自身でブランドを立ち上げ、ショップを作り、地元の雇用を増やし、経済を回す。彼はブランドを地域に根付かせることで、地元経済を復興させようと試みたわけだ。それに加え、同時期にはLAPD(ロサンゼルス警察)と、地域の暴力行為を減少させるため話し合いの場を設けていたのだと言う。

ここには何もなかった。この地域には金の一つもなかったんだ。一銭もだよ。でもブラザー(アーミアス)は、そんな場所を金鉱に変えたんだ。
黒人でもきちんと考えれば、やれることをあいつは証明したんだよ。– HotNewHipHop ”

それだけではない。彼は諸問題の根源の一つである「教育」にも力を込めた。
地域の若者のためにコワーキングスペース、インナーシティ、貧困地域で学ぶことのできなかったSTEM(Science, Technology, Engineering, Mathmatics)教育を受けられる場を開設し、若者たちの選択肢と可能性を広げるために尽力した。

貧困の悪循環は、家庭環境から子どもに十分な教育を受けさせることができず、低所得な仕事に就くことしか選択肢がなくなることで生まれていることが多い。
その問題の根源である「教育」に彼はまず手をつけたというわけだ。

ここまで地域貢献に徹する彼をただのラッパー」とは呼べないだろう。彼はラッパーであり、起業家である。そして何より、フッドへ計り知れない愛情を持つ一人の若者だ。

「Marathon Clothing Store」のオープン、教育施設の設立、それらをスタート、公開したほんの数年で彼は襲撃され亡くなってしまった。彼にしてみれば「これから」というタイミングだった。

彼の壮大なビジョンを予想すれば、彼自身の「マラソン」は2019年3月に道半ば止まってしまったことだろう。しかし、彼が目指すものは将来の世代が平等により良い環境で育ち、フッドをより良い場所に改善することだ。そうであるなら、まだこのマラソンは続く。彼のバトンを受け取り、再び同じ目標に向けて走り続ける人がいるはずだ。

(laist)

同郷であるロサンゼルス・コンプトン出身、『Victory Lap』に” Racks in the Middle “で参加、同曲でグラミーにノミネートされた21歳の若手ラッパーRoddy Ricch(ロディ・リッチ)はこう語る。

俺が今日、ここにいるのは彼(ニプシー)のおかげだ。
ニプシー・ハッスルはホームタウン・ヒーローだ。彼から与えてもらった物は多すぎるけど、まずは自分の信じるものに対して努力し続けることの重要性を教わった。– Power 105.1 ”

 

 

ハッスル & モチベート / ニプシーの残したメッセージ

彼が生まれ、過ごしてきた環境は恵まれているとは言えない。フッド、そして貧困地域のアフリカン・アメリカンというアイデンティティに囚われてしまうことも十分考えられるし、それは誰かの責任でもない。そんな環境の中でチャレンジして失敗してしまうこともきっとあるだろう。彼はそれを理解し、こう語っている。

ハードにやるしかない。自分を信じるしかないんだ。クソみたいなことが起きても笑えるくらいのユーモアを持たないといけない。
クソみたいなことが起きた時、シリアスすぎてもダメだし、感情的になりすぎてもいけないだ。
自分の描いた脚本にただこだわり続けろ。信じて、圧倒的な自信を持て。
自分自身の一番のファンになるんだ。最大の支持者にな。それを自分の背中に背負って、また歩くんだ。– Uprise ”

自分が何者かは自分で決めろ。それを明確に持つんだ。
それを深く考えて、そのために生きて、そのために死ぬんだ。
自分の言葉を実行しろ。自分がリスペクトされたいと願う人達をリスペクトしろ。– Self Made Tastes Better “

何もない場所からでも、ルールに縛られることなく長期的なプランを立て、愛情と自身を持ちながらそれに向かって努力し続ける、その姿勢を彼の人生から私たちは学ぶことができる。彼の言う「マラソン」とはLA出身であろうと、それ以外であろうと関係ない。誰もが共通して持っている「目標に向かい、走り続ける」行動そのものである。

彼の残したレガシーは、そんな私達が目標に向かい走り続けるための原動力になりうるもので、あらゆる変化を生みだすための潜在性だ。これからもそれを語り継がなければいけない。

(GQ)

 

終わりに

彼がいかにリスペクトされた存在かはすでにお分かりだろうが、最後にアーティスト、関係者などの彼への弔いの言葉を紹介し、終わりとしたい。

Samiel Asghedom : 彼は長い道を走ってきた。彼の達成してきた全てはすごく時間のかかることで、彼のハードワークなしにはあり得なかった。
彼のやってきたことを近くで見てたから、本当に誇りに思うよ。

Meek Mill : 彼はキングだ。全ての障害を乗り越えてきた。身の回りの環境を変えたんだ。

The Game : お前がいかに素晴らしい人間だったかを伝えさせてくれ。お前はサバイバーで、ファイターで、ウォーリアーだ。心から深くお前を愛してるよ。

YG : 彼の残した遺産、彼のしてきた全てに、彼が与えてくれた全ての教え、彼の身近な人間全て、彼の残したブランド、全てに祝杯をあげたいんだ
ウェスト・コーストのために。L.Aのために。ストリートに生きるもののために。なぁ俺の友よ、愛してるよ。寂しくなるな。友よ。

Dom Kennedy : 彼のことをただのラッパーという奴がムカつくんだ。彼は現代に生きたマルコム・Xだった。

Rick Ross : ニプシーのレガシーは彼の過ごした場所で生き続ける。そして彼の目的を遂行し続ける。彼は何事にも全て目的を持っていた。

Pharrell Williams : 君はコミュニティのためにポジティブなことを行なってきた。そしてその行動が何百万人もの人をインスパイアしたんだ。彼/彼女らがそのレガシーを支えていってくれるよ。

Rihanna : まだ全く意味がわかってないわ。彼が安らかに眠り、彼の愛する人たちに安らぎが与えられますように。

J.Cole : ニプシー、君はレジェンドだ。俺は君のキャリア、フッドのためにやってきたことをリスペクトしているし、賞賛してる。
今日ニュースを見て、本当にショックだった。君の愛する人たちのために祈っているよ。俺たちの一年になるはずだった。神は君のために、もっと大きなプランを用意してたはずだ。

Drake : クソ、ニュースを聞いてから俺のエナジーは最悪だ。夏に曲をやろうって話してたところだったのにさ。君は人生のベストランをした。しかも君のことを悪くいう人は誰もいない。君がリアルな人間であることを証明してるよ。君のことを世界に知ってほしいからこれを書いた。君はリスペクトの人間で、リーダーだ。安らかに眠ってくれ。

DJ Khaled : 彼の登場したインタビューを全て見ればわかるよな、本当に素晴らしいよ。彼の発言は何年経とうとも、多くを学べるものだよ。

Dawit Asghedom : アーミアスは世界をより良く変化することを望んでた。望みのない者に、望みを与えたんだ。若者たちに夢を諦めないことを教え、献身性とハードワークによって達成できると教えてくれた。

Lauren London : 彼は周りの人を愛していた。彼は私たちに強く、そして自分らしくあることを望んでいたの。
そして彼は作品やインタビューで、そのメッセージを伝えることを本当に大事にしていた。インターネットでまた彼を見れば、わかるでしょ。ニップは常にミッションを遂行していたのよ。

 

ツイッターでは投稿のお知らせだけでなく、ヒップホップ・ニュースやリリース予定など様々な最新情報をお届けしています!

RELATED POST

LATEST NEWS

FEATURE

©︎ SUBLYRICS, 2020, All rights reserved