Pharrell Williams

i-D

「世界を変える唯一の方法は「人」が変わること」| Pharrell WilliamsとKanye Westが対談で語る「人類が持つべきメンタリティ」

June 13, 2020

Pharell Williams(ファレル・ウィリアムス)、Kanye West(カニエ・ウエスト)。時代を代表するアーティスト二人がi-Dにて対談を行なった。音楽だけでなく、あらゆる領域で活躍し、世界中の人々をインスパイアし続ける二人のスーパースターも今、私たちと同じようにコロナ・ウイルスの影響を受け、世の中の不安や、経済的な不況について考えている。彼らが他の人々と異なるのは、その圧倒的な知名度と、関心を向けられる対象であること、そして何より、私たちを導いてくれるような「前に進むための方法」を投げかけてくれることだ。

アートの最前線で生きる彼らにとって、暗雲が立ち込める、この世界の状況はどう見えているのだろうか。アメリカという国、そして世界がもっと良い場所に、誰もが苦しまず、心に平穏を取り戻すために私たちはどんなメンタリティを持ち、生きていけばいいのか。この状況下でアート、音楽はどんな役割を担ってゆくのか。それぞれについて語ってくれたので、以下で対談を抜粋し、紹介していこうと思う。


i-D

Kanye : 今回のi-D のテーマは「カオスの中における信頼 / 信仰」だ。何を話そうか?創造性?コロナ・ウイルスについて?

Pharrell : 俺たちはこの疫病がまさに直面している問題であることを明確にしないとね。俺は「ニュー・ノーマル – 新たな日常」なんてものはないと思ってるんだ。パンデミック以前と、今後の生活の違いを明確に分けることはできないと思うから。でも、きっと今回の件で多くの人が本当に不安な思いを抱えたり、危機感を持ったと思う。今までの世界とは違った「重力」を世の中が持つはずだよ。

きっと私たちはもっと離れ離れになる。たとえオンラインで今まで以上に繋がりを持てても、人と人は切り離されてしまうんだ。まるで聖書の「バベルの塔」みたいだよね。こんなにもみんなが繋がりを持つことのできる時代は今までなかった。そこには沢山の利点があるし、同時に欠点も沢山ある。それにグレーなエリアも沢山あるよね。

でも俺は「愛」という感情がとても深いものになってゆく。気がしてるんだ。まさにみんなが実際に感じるような、愛の感情のことだよ。この状況になってから、今までのように握手やハグで感情を交わらせることができなくなったけどね。

それだけじゃない。経済に目を向けよう。「安定」の語義や、正常化と安定化の違いの話は置いておくよ。というのも、経済における「波」はどこかのポイントで必ず安定しなきゃならない。辺りを見渡せば、多くの店が潰れ、仕事のない人が溢れる普通じゃない状況が起こってる。だけど、私たち人類はこれまでに何度もパンデミックを乗り越えてきた。俺たちなら大丈夫。巻き込まれてしまったけど、この状況を乗り切るために努力しないと。

Kanye : そのコメントの後には言うことがないな…!

Pharrell : 君の考えを聞けて嬉しいよ。i-Dから話をもらって「誰と対談したいか」と尋ねられたんだ。それが君だった。君は世界で最も影響力のある存在の一人だし、まさに、君の存在や物の見方が、世界中に根付いていると思うんだ。君が何かを語れば、その意見に賛成だろうが、反対だろうが、みんなが耳を済ませる。このインタビューを見ている人もきっと君の声が聞きたくて見てるはずさ。

二人で世の中の人が何を求めているかとか、俺たち二人が世界をどう見ているかとか、どうすれば、できる限り多くの人々に癒しのバイブスを届けられるかとかを話していた時も感じたけど、君よりも俺と対談したい人なんて世の中にきっといないと思ったね。

Kanye : マネージャーのBuと話してたんだ。「アメリカに住みたい!」なんて言う人が、アメリカがいかに素晴らしい場所だと思っているか、そんなことを話してたんだよ。

その話をしていたら、「アメリカで貧乏になるとはどういうことか」という話題に変わっていって。そこで俺はこう言おうとしたんだ「アフリカで貧乏になるってことは…」。そしたらBuが言葉を遮ってこう返した。「アメリカで貧乏でいるより、アフリカでそうなった方がマシさ。もしアフリカにいたら、コミュニティが君を支えてくれるから。」

パンデミック後の世界では、俺たちはそういうメンタリティを積極的に取り入れなければならないと思う。それこそが起こるべき変化だ。

俺たちは「人類を一つの種である」と認識する必要がある。メンタリティを変えなきゃならない。考え方を改め、その考えを持って世界を変えなきゃ。世界を変える唯一の方法は「人」が変わることなんだから。その瞬間が今まさにこの時なんだと思う。だって世界は間違いなく良くない方向に進んでいるから。全ては神に委ねられているし、俺たちはこのパンデミックを「人類は救われていて、答えを与えられている。本当に何が起こっているのかを考える」機会として与えられたんだ。

俺たちはこの時間を使って、立ち止まって、よく考えるべきだ。人に向き合って、俺たちの本当の感情を打ち明け合う。「俺たちは今何を思う?」「俺はどう感じてる?」「君はどう感じてる?」ってね。そしてお互いの考えを聞き合うべきだ。理解こそが人間の最も深いレベルでのコミュニケーションだからね。

物事はもっとシンプルにできるはずだと信じてる。今、全てのものが氾濫してるし、俺たちはこの機会に、何が本当に必要で、何がハッキリしているのかを考え直さないと。

i-D

Pharrell : 君の意見に本当に賛成するよ。俺たちは「アクエリアス(水瓶座)の時代」に生きてるってことにね。全ては「空気」に委ねられている。概念的にも、そのままの意味でも、隠喩的にもね。信頼や信仰は目には見えない。そして、信仰は恐れの感情じゃない。信仰は「何を感じるか」だ。人類は今までになく、その領域に達してきていると思う。(the Age of Aquarius = 戦争と貧困のない時代のこと。全ての人に平等に生活必需品が行き渡り、すべての人たちが幸せと豊かさを享受できる時代。)

みんな気づき始めてるんだよ。
疲れ切った状態で、朝の3時か4時に車で家に帰ってるとき、急ハンドルを取れば、君の友達はこう言うだろ「おい!寝ぼけんなよ!」ってさ。俺はこう答える「起きてるって!」。俺たちは起きている(Up)んだ。起きていなかったわけじゃない。でも、誰もその違いがわからない。

人は口を揃えて「目覚めた」と言うし、その意図は理解できる。でも「起きる(Up)」って一体どういう意味だと思う?
俺は「起きる(Up)」って状態は物事にうんざりすることなく、目をこすらずに生きること。物事にフォーカスしている状態が「起きている」ことを意味するんだと思う。それはまさに音楽であり、アートだ。ただただ「感じる」べきこと。もし感じられないなら、君の生きているのは2次元的な世界だ。それは時間と空間の無駄だよ。全てはフィーリング、感情だと思うんだよ。全てがね。

俺は自分の感じているところを伝えることしかできないけど、孤立して以降、みんなが今感じているパワーは何か違わないかい?全てが深まった気がするんだ。ビジョンやフィーリング、地球との繋がり。その全てが強く、深くなったような気がしてる。君(カニエ)にとってはどうかな?実体験から何か感じたことがあれば是非話してほしい。人々は君の経験から何を学ぶべき?

Kanye : 変な話だよ。俺の周りには多くの友人がいる。俺は自分にアドバイスしてくれる人を金で雇い、多くの質問を重ねてきた。けど、誰もその質問を投げかけてきたことはなかったよ。覚えているのは、一度だか二度だったか「Ye、君ならどうする?」と聞いてきた人はいたね。

俺のやり方が全ての人に適応できるとは思わないけど、君の言わんとしてることはわかる。俺が今実践してるのは、制作をローカライズし、村を育て、コミュニティを作り上げること。俺にとって、それは美しいことなんだ。

Pharrell : ワイオミングでやっていること?

Kanye : ああ。俺は去年の夏、ホームレスのために3つのシェルターを作った。ホームレスのシェルターを作る時、多くの人は「これはホームレス用だから」なんて気持ちで作る人が多い。けど、俺は自分のセンスを込めたものを作りたいし、本当の家を作りたいと思ってさ。

そしたらみんなはこう言うんだ。「ドラッグやメンタル・ヘルスの問題はどうする?」ってね。俺はドラッグとメンタル・ヘルスの問題にホームレスかそうでないかは関係がないと思う。平等に同じ問題を抱えてるんだ。俺のアイデアはインスピレーションを与えることのできる空間を作ること。そして自分自身が住むこと。だからこそ「T-shirt of Homes」と呼んでいるんだ。どんな億万長者だろうが、ホームレスだろうが、Tシャツは持ってるからね。

そのアイデアを実現し、実際に建設できる場所に行かなきゃならなかった。アフリカの生活共同体についても学んだし、有機農業も、太陽光発電についても学んだ。これは俺たちの持つ、機会のうちの一つ。街をどんな風に作っって行くかを俺たちは学んでる。別に、その街の中でタトゥー・アーティストになってもいいしさ。最悪なタトゥーが生まれるかもしれないけど、同時に彼らはベストなアーティストでもあるでしょ。なんでかって?彼らは自分自身でその方法を学ぶからだよ。俺の過去20年の作品を聴けばわかると思うけど、俺も自分自身で学んできた。

Pharrell : ああ、そうだね。それこそが神が君に与えたものだ。君は自分と向き合い、乗り越えてきた。それこそが君の原動力だよ。そして文字通り、それに見合う評価や、色々な結果を手に入れてきた。そのドライブ(原動力)でね。

Kanye : その通りだよファレル。これから妻と子供たちと食事をしてくる。カイリーとトラヴィスも来るみたいでね。わかるでしょ。家族の時間を過ごして来るよ。

Pharrell : 最高だね!

Kanye : 良い一日を。

Pharrell : 家族に愛を!

i-D

インタビューの全文は こちら からチェックできる

Credit

Writer : Shinya Yamazaki

Owner of SUBLYRICS

 

RELATED POSTS

FEATURE

LATEST LYRICS

©︎ SUBLYRICS, 2020, All rights reserved