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「俺たちの望みは自由になることだけ」
J.Coleが訴えたアメリカの現実と立ち上がる理由

June 02, 2020

2014年、アメリカのストリートは今と同じように抗議の声で溢れかえっていた。丸腰の青年Michael Brown が白人警察に射殺された「ファーガソン事件」に対し、人種差別に反対する人々は時には危険を背負いながらも、必死にデモを行い続けた。それから6年。変化を追い求めた抗議者たちは「何も変わっていない」という酷な現実を再度突きつけられている。

George Floyd が殺害された事件が起こった後、よく目にしたのは「もう、うんざりだ」という呆れの声だ。それでも彼らが立ち上がり続け、追い求めているものは一体何なのか。

2014年、3rd アルバム『2014 Forest Hills Drive』のリリースを週末に控えたJ.Cole はTVライブに出演。この際、彼はアルバムの収録曲ではなく「Be Free」という曲をパフォーマンスした。アメリカでアフリカン・アメリカンとして生きていく中で感じる苦しみや、変わらないシステムへの絶望感が描かれたこの曲には、彼らの唯一の望みが描かれている。オバマが就任した時の希望。簡単にはいかない現実。現在の状況に続く、アフリカン・アメリカンの声が代弁されたこの作品で語られた言葉を今だからこそ紹介したい。

[Verse 1]
And I’m in denial
俺は認めないよ

And it don’t take no x-ray to see right through my smile
俺の笑顔の裏側を見るのにX線なんていらないだろ

(心の中が笑っていないことくらい理解できるだろう、の意味)

I know, I be on the go
わかってる。それでも人生は続くって

And there ain’t no drink out there that can numb my soul
俺の心の痛みを紛らわせることのできる酒なんてないんだ

Oh no

 

 

[Hook]
All we wanna do is take the chains off
俺たちはただ「鎖」を解いて欲しいだけ

All we wanna do is break the chains off
俺たちはただ「鎖」を壊したいだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is take the chains off
俺たちはただ「鎖」を解いて欲しいだけ

All we wanna do is break the chains off
俺たちはただ「鎖」を壊したいだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

 

 

[Verse 2]
Can you tell me why
理由を教えてくれないか

Every time I step outside I see my niggas die
なんで外に出るたび、仲間たちが死ぬのを見なくちゃならない?

I’m lettin’ you know
お前に教えてやる

That there ain’t no gun they make that can kill my soul
どんな銃でも俺の魂は殺せやしないって

Oh no

 

 

[Hook]
All we wanna do is take the chains off
俺たちはただ「鎖」を解いて欲しいだけ

All we wanna do is break the chains off
俺たちはただ「鎖」を壊したいだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is take the chains off
俺たちはただ「鎖」を解いて欲しいだけ

All we wanna do is break the chains off
俺たちはただ「鎖」を壊したいだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

 

 

[Verse 3]
Forget this chain, cause this ain’t me
このチェーン(鎖)は気にしないでくれ、これは俺のじゃない
(Jay-Z から授かったロカフェラのチェーンのこと。先ほど挙げていた(鎖)の意味とは違うと)

Though I’m eternally grateful to Jay Z
Jay Z には一生感謝し続けることだろうけどさ

We so elated, we celebrated like Obama waited until his last day in office to
オバマが当選した時は、俺たちも大喜びだったよな

tell the nation, brothers is getting their reparations, hey
彼がホワイトハウスを後にして、ブラザーたちに賠償金が入る。その日を期待してた
(賠償金 = 先祖、そして今アフリカン・アメリカンたちが受けてきた仕打ちへの賠償金のこと)

A man can dream, can’t he?
人は夢を持ってもいいんだよな。違うか?
(マーティン・ルーサー・キングのスピーチ「I Have a Dream)から」)

No disrespect, in terms of change I haven’t seen any
批難するつもりはない。でも「チェンジ」が見えたことは一度もなかった
(バラク・オバマのスローガンは「Change」。彼でさえアメリカに変化をもたらすことができなかったことで、多くのアフリカン・アメリカンは失望してしまったことでしょう)

Maybe he had good intentions but was stifled by the system
彼は良い志を持っていたのかも、でも、それもシステムに揉み消されてしまった
(大統領一人の力では変化を起こすことのできないシステムが作り上げられている)

And was sad to learn that he actually couldn’t bring any
彼にすら何もできないことを思い知らされて、俺たちも悲しくてさ

That’s what I get for thinking, this world is fair
考えさせられるよ、「この世界は平等」だなんてさ

They let a brother steer the ship
ブラザー(オバマ)に舵を渡した時に

And never told him that the ship was sinkin’
誰も「その船が沈みかけだ」って伝えてやれなかった
(オバマはグレート・リセッション(大不況)の直後に就任。経済を必死で復興させようと試みた)

But I got other shit to think about, like my bank account
けど俺は違うことで頭がいっぱいだった、口座にいくらあるとかさ

Forget that watch, you paid too much for it
時計なんて忘れちまえ。そんなんに金を使いすぎなんだ

You ‘ought to be ashamed
恥を知るべきだよ

When brothers back home be dreading when the seasons change
ブラザーたちは季節が変わることを恐れてる

Cause they ain’t got no heat and they ain’t got no AC
だってみんなの家には暖房やエアコンすらないんだから

WalMart distribution fired my homie, he just had a baby
ウォルマートがホーミーを解雇した。あいつ、子どもができたばっかりなのにさ

You wonder why it’s been so many B and E’s lately
なんで最近こんなに空き巣が頻発するのかって?

While brothers from the hood shooting like this is TNT lately
フッドのブラザーにとっちゃ、銃撃事件はTNTくらい日常茶飯事なんだよ
(TNT = Turner Network Television。NBAの放映局で、バスケの「シュート」と銃撃の「Shoot」をかけています)

And since all the ballers leaving college early
バスケ選手たちは大学を中退するもんだからさ
(多くのNBAプレイヤーたちは大学を卒業することなく、ドラフトに選出されていきます)

I turn on the TV and don’t see no brothers with degrees lately
TV をつけても、学位を持ってるブラザーの一人も映らねえ

 

 

[Bridge]
Are we all alone, fighting on our own
俺たちはみんな孤独で、常に自衛を続けてる

Please give me a chance, I don’t wanna dance
だからチャンスをくれよ。もうダンスなんてしたくないんだ
(アフリカン・アメリカンのスターはミュージシャンかNBAプレイヤーばかりだとCole は過去に語っており、彼らは常に「ダンスができる、ダンスが好き」というステレオタイプを押し付けられています)

Somethings got me down, I will stand my ground
時々落ち込んだりもする、でもまた俺は立ち上がる

Don’t just stand around, don’t just stand around
ただ突っ立ってるのはやめたんだ。傍観するのはやめた

 

 

[Hook]
All we wanna do is take the chains off
俺たちはただ「鎖」を解いて欲しいだけ

All we wanna do is break the chains off
俺たちはただ「鎖」を壊したいだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is take the chains off
俺たちはただ「鎖」を解いて欲しいだけ

All we wanna do is break the chains off
俺たちはただ「鎖」を壊したいだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

All we wanna do is be free
俺たちの望みは自由になることだけ

“ The ultimate tragedy is not the oppression and cruelty by the bad people but the silence over that by the good people.
最大の悲劇は、悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙である。- Martin Luther King ”

“ We must accept finite disappointment, but never lose infinite hope
私たちは、限りある失望を受け入れなければならない。しかし無限なる希望を失ってはならない。- Martin Luther King  ”

Credit

Writer : Shinya Yamazaki

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