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BECAUSE THE INTERNET SCREEN PLAY PART 5-2
 TO ” LIFE: THE BIGGEST TROLL “

 


【室内・マンション – 昼間】

彼らが一斉に入ってくる。

 

DUDE 1: パケはどこにある?

THE BOY: クローゼットの中

DUDE 1: そこに座ってろよ。

 

[VISUAL]

 

ボーイはリビングに座っている。もしかしたら逃げることができたかもしれない。でもどこに?

彼らは今山の頂上にいる。この辺りで誰かが銃声を聞いたら、すぐに警察を呼ぶだろう。
でも残念ながら、パリセーズに警察署はない。彼はサンタ・モニカからの出動を待たなければいけない。
かなり時間がかかりそうだ。

ボーイの気持ちは、友人たちとパーティをしている時と驚くほどに似ていた。
知らない奴らに自分の家の中をうろつかれ、それでも「平気」だと振舞わなければいけない、あの心地だ。
それとも彼らには何の力もないのだろうか。
(パーティに来ていた知らない輩のように、ディーラーたちが怖くないから、彼は同じような感情になる)

この間にファムにメッセージを送ることができたかもしれない。

 

DUDE 1 (続けて): 携帯をよこせ。

 

ボーイは携帯を差し出した。「ファック」

 

二人の男たちが入り口と、勝手口、それぞれに見張りとして立っている。
もう一人の男がクローゼットの中に入っているコカインを袋に詰めている。
男1 (リーダーに見える) はボーイの携帯を見ている。

私にはその日がボーイの最期の日には思えなかった。
ボーイがそう思っていなかったとは言っていない。彼はきっと今日死ぬのだろう。
しかし彼にも同様に、その日が、最期の日、最期の夜とは思えなかったのだ。
その心地はまるで、金曜のように過ぎていく水曜日のようだ。
しかし、彼はもっと深く物事を考えていた。
もし最後の日に「今日が最後の日だ」と感じていたなら、世界はまるで違う世界になっていると。
もし危険が確実に訪れるとわかっていたら、私たちの過ごす毎日の秩序は消えてしまうだろう。
人々は今のようには生活できない。

彼らは人の気持ちなど気にはしないだろう。
世界は無秩序か、それともユートピアになるか、答えは誰に聞くかによって変わる。

 

男1 がボーイの携帯をポケットにしまう。
ボーイにはそれが良いことなのか、悪いことなのかはわからない。
男1 と男2 が話を始めた。
ボーイの運命を話し合っていることは明らかだ。

もし私がこのシーンを作り出し、この世界観を作り出し、この事件を起こすことを全て指示した映画監督なら、ボーイがかつての自分の城を見渡すこのシーンに、サンダーキャットの” We’ll Die “をBGMに選ぶだろう。

「ベストを尽くすんだ」

 

あぁ、これじゃトニー・モンタナみたいだな。でも諦めるよ、実際のところはさ。もっと退屈なもんだよ。
みんな死ぬんだ。大抵は退屈な人間ばっかりだ。
(映画『スカー・フェイス』の主人公トニー・モンタナ)

男2 を除いて全員が部屋を後にする。彼だけが残った。
男1はボーイの携帯を持って出ていった。ボーイは状況がまずい方向に進んでいることに気づく。

 

DUDE 2: 財布をこっちに渡せ。

 

まずい状況だ。ボーイは財布を投げた。男が中を確認する。

 

THE BOY: 溺死にさせてくれないか?

 

男2 が顔を上げる。

 

THE BOY (続けて): 俺はただ死に方を選びたいだけだ

 

外にはプールがある。そこならきっと優しく幸福な波に溺れて死ねるだろう。さぞ良い心地だろう。

 

男2 はじっと見つめている。

 

THE BOY (続けて)そこに浮かんでいたいだけなんだ。そこで発見されてさ。

 

男2が歩いてくる。

(最後の望みを聞いて、心変わりしたのだろうか?)

 

男2 はボーイの横に座る。

 

DUDE 2: 私たちはずっと君に狙いをつけてたんだ。君は鈍感すぎる。

 

彼は警察だった。この男は警察だったのだ。

 

DUDE 2 (続けて): 俺はもう少しここにいさせてもらうよ。うちの部隊が前まで迎えに来るはずだから。

THE BOY: あぁ…

沈黙

 

 

THE BOY (続けて): 俺は刑務所入りか?

DUDE 2: そうだ。

 

ボーイは裏庭のプールを見つめると、そこには力尽き、水に浮かぶ自分の姿があった。

 

[VISUAL]


 

 

目は見開き、彼の顔には泡が張り付いている。
橙、黄、茶色の枯葉が彼の体の上を浮かぶ。
左足の靴が前方に漂う。おそらく水中でもがき苦しんだのだろう。
プールサイドには、スティーブとナオミが立って、ボーイを見下ろしている。
二人とも泣いていたり、取り乱しているようには見えない。
見ている映画が急展開をみせた時のように、彼のことを眺めている。
満足げに見ているというよりは、どこか「興味深い」といった様子だ。
安らぎ、調和、彼はこんな風に死にたかった。

 

「…なんだこの音は?」

外からブレーキ音とタイヤが擦れる音がする。
男2 が立ち上がる。外で小さな事故でもあったようだ。叫び声が聞こえる。

 

VOICE: 動くな!

 

銃声

 

ボーイと男2 は目を見合わせる

男1 が扉を蹴り倒す。彼は発砲し始めた。男2 が床に倒れる。
胸から真っ赤の霧が噴出する。彼は叫んでいる。

 

男1 がボーイの方を向き、銃を向けた…

…(呼吸音)…..(呼吸音)………….(呼吸音)..

 

 

沈黙

 

 

*****[ここで “LIFE: THE BIGGEST TROLL” を再生]*****


BECAUSE THE INTERNET
ALL STORY (SCREEN PLAY) & ALL SONGS

 

SCREEN PLAY (STORY) PART 1

Ⅰ. Crawl

SCREEN PLAY 1-2 

Ⅱ. Worldstar

SCREEN PLAY 1-3

Dial Up (No Lyrics)

Ⅰ. Worst Guys (Feat. Chance The Rapper)

 

 

SCREEN PLAY PART 2

Ⅱ. Shadows

SCREEN PLAY 2-2

Ⅲ. Telegraph Ave.

SCREEN PLAY 2-3

Ⅳ. Sweatpants

SCREEN PLAY 2-4

V. 3005

 

 

SCREEN PLAY 3

Playing Around Before Party Starts (No Lyrics)

Ⅰ. The Party

SCREEN PLAY 3-2

Ⅱ. No Exit

SCREEN PLAY 3-3 (Death By Numbers)

 

Ⅰ. Flights Of The Navigator

SCREEN PLAY 4

Ⅱ. Zealots Of Stockholm

SCREEN PLAY 4-2

Ⅲ. Urn

SCREEN PLAY 4-3

 

 

Ⅰ. Pink Toes

SCREEN PLAY 5

Ⅱ. Earth: The Oldest Computer (The Last Night) (Feat. Azelia Banks)

SCREEN PLAY 5-2

Ⅲ. Life: The Biggest Troll (Andrew Auernheimer)


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