BECAUSE THE INTERNET SCREEN PLAY PART4-3
TO ” Ⅰ. Pink Toes “
【外・ホテル・夜】
ボーイはドアから走り出る。彼の吐く息は夜の中に白く消えていく。
彼は辺りを見渡して、アリッサが角を曲がるのを目に捉える。
彼も走って角を曲がり、彼女を捕まえる。
THE BOY: どうしたんだよ
ALYSSA: これを捨てるのよ。あなたに悪影響だから
THE BOY: 俺と父親の関係を図々しいまでに詮索したと思ったら、今度は遺灰を持って出ていくのかよ?
お前のしてることは法に触れるレベルだよ。俺が到着する前に火葬されたのも、どうかと思うけどさ。
違法かどうかは知らないけど、こんなことされたら怒るに決まってるだろ。
ALYSSA: 一緒にお別れしないと。
ボーイは怒っている。激昂しないよう、なんとか堪えている。
ALYSSA (続けて): 私には姉妹がいたの。あの子が死んだ時も、同じようにお別れをしたわ。
THE BOY: ああ。だったら許されるってか。
アリッサはポケットを探り、携帯を取り出した。彼女はそれをこちらに向け、アリッサと彼女にソックリな女の子が映る壁紙を見せている。ボーイは携帯を手に取る。
THE BOY (続けて): 双子か。
ALYSSA: そう。
THE BOY: どちらにしろ結果は変えられないから、理由を聞くのはバカバカしいってさっき話したばっかりだよな。でも君は…
ALYSSA: 脳腫瘍だったの。悪性の。
沈黙。
ALYSSA (続けて): マジで狂ってるよね。
彼女は笑っている。この間彼らは歩き続けていた。
彼らは噴水の前で足を止めた。小さな雲ができるような白い息を吐きながら、二人はそこに立つ。
ALYSSA (続けて): 何か言い残したことはある?
ボーイは肩をすくめる。
ALYSSA (続けて): じゃあいいわね。
THE BOY: 待ってくれ。
骨壺は今にも落ちてしまいそうだ。彼女は彼が準備できるのを待っている。
彼は近寄り、骨壺を手に取り、しばらく抱きしめる。まるでハグをしてるようだ。
額を壺に当てて、彼女に聞こえないように、こう囁く。
THE BOY (続けて・囁き声で): 二人とも独りになっちゃうな、ごめんよ。
[VISUAL]
ボーイが遺灰を撒く。もう父親はいなくなってしまった。
ALYSSA: 気分はどう?良くなった?
THE BOY: 気分は…変わらないね…
VOICE: おい!
アリッサとボーイが振り向く。そこにはアリッサのボーイフレンドが立っていた。
BOYFRIEND: どうなってんだよ、なあ?
ALYSSA: あら、今になって私のことを気にするようになったのね。
ボーイフレンドがボーイに掴みかかろうとすると、彼女は彼氏の背中を押す。
ボーイはかすかにイライラしている。彼らは一斉に言い争いをしている。
BOYFRIEND/THE BOY/ALYSSA: やりやがったなクソ野郎!/ 落ち着けって、何もしてないから。/ 止めて!
ボーイフレンドが彼女を振り払う。
BOYFRIEND: 俺が誰だかわかってんのか?
ALYSSA: やめて、お願いだから。
THE BOY: 知らないよ。お前誰なんだよ。
BOYFRIEND (続けて, 叫ぶ): キツネは何て言ってんだ! (沈黙) 俺だよ。俺が書いたんだ。俺の曲なんだよ。
俺がキツネの着ぐるみを着てる男なんだ。全部俺が作ってんだよ。
THE BOY: なんだそれ?
ボーイフレンドは曲中のキツネの鳴き声を再現し始めた。
BOYFRIEND: だろ!
ALYSSA (諦めて): この曲とビデオみたいな感じ。
THE BOY: 聞いたことないな。
ALYSSA AND BOYFIREND: 本当に?/マジかよ?
ALYSSA: あなたは「インターネットの住人」だと思ってたわ。
THE BOY: それは合言葉さ。インターネットに住んでる奴なんていないし。きっと人気になった時に見逃したんだよ。
BOYFRIEND: あ?「人気だった」?どういう意味だよ。あぁ、今すぐヤるかよ?!
THE BOY: 落ち着けって
BOYFRIEND: Youtubeで2億2千万再生だぜ。2億2千万だ。世界で一番…
THE BOY: 嘘だね。
BOYFRIEND: アフリカの村すら俺に手紙を送ってきたんだ….
THE BOY: 村の全員から?
BOYFRIEND: 俺にこう言ってきたんだよ「あなたの曲でキツネを知りました」ってさ。
アフリカにはキツネがいないらしい。アフリカ大陸にキツネを連れて行くアイデアを勧めといたよ….
(突然) それで、お前、俺の女とファックしてえんだろ?
沈黙。
THE BOY: お前の女とはヤりたくないよ。ここにもいたくないし。もう帰るから。
ボーイはその場を離れる。
アリッサとボーイフレンドは、ボーイがいなくなり、寒空の下、退屈な言い争いをし始める。
時は経って》
【室内・LAのヴィーガン・レストラン・夜】
ファム、女の子、そしてボーイがレストランの席についている。
ファムと女の子が喋っている。ボーイは黙ったままだ。
ただ単に退屈なのか、スウェーデンからの時差ボケなのかはわからない。
どちらにしろ、彼はみんなにそっけない態度を取っている。
ANOTHER GIRL (女の子) : もうすぐで友達が着くって。
ボーイは一言も発さない。ファムと女の子は一点を見つめる。
一人の女の子がテーブルまで近づいてくる。ボーイが見あげると、そこにはパーティで見た女が。
NAOMI: ハイ。
ボーイは何も言葉を発さない。
ANOTHER GIRL: 友達のナオミよ。聞いてる?
FAM: こいつアホなんだ。まあ座って。こいつは気にしないでくれよ。
彼女が席に着く。
NAOMI: あなた私の腕を折ろうとした男じゃない。
THE BOY: そうだよ。
NAOMI: もう何か注文した?
THE BOY: いや、俺はヴィーガン嫌いなんだ。多分彼女がここで食べたいって言ったんだろうけど。
NAOMI: 私がヴィーガンよ。ここで食べたいって言ったのも私。
沈黙。
THE BOY: 俺、ヴィーガンは嫌い。
NAOMI (バカにして言う): 「俺、ヴィーガン嫌い」だって。
頭の中では、彼は笑顔を見せているつもりだが、実際には、俯いているようにしか見えない。
NAOMI (続けて): どうしたのよ。いっつも親が死んだみたいな顔しちゃってさ。
ボーイは少し笑みを浮かべる。
THE BOY: 死んだよ。
気まずい空気が流れる。沈黙。
ANOTHER GIRL: 本当にごめんなさい。
ファムとボーイはしばらくお互いを見つめる。そして笑う。
女の子とナオミは笑っていない。
FAM (ボーイに): お前の両親はどっちも死んじまったな。
THE BOY: ああ二人ともな。
笑いがゆっくり止まった。ナオミはボーイを変人だと思ったが、それだけで彼を判断しなかった。
【室内・マンション・夜】
ファムと女の子はブランコに座り、葉っぱを吹かしながら、絶対に思い出さないようなどうでも良い話をしている。
ナオミとボーイはリビングで座っている。
NAOMI: お父さんは何の仕事をしてたの?
THE BOY: 俺、知らないんだ。
NAOMI: どうやったらこんな豪邸が買えるわけ?
THE BOY: 俺にはわからない。
NAOMI: じゃあ何でこんなもの買えるのよ?全部遺産ってわけ?
THE BOY: 債権を持ってる人が財産は持っていった。遺産はあってもよく知らないし。
俺には関係ないだろ (真剣に)。ドラッグでも売るさ。
ナオミは爆笑している。
NAOMI: 何よそれ。
THE BOY: ファムも手伝ってくれるしな。あいつとは長い付き合いだけど、この辺はあいつが仕切ってるし。
NAOMI: まさか私に「あなたには向いてない」って言って欲しいわけじゃないよね。
THE BOY: なんでわかるの?
NAOMI: あんた何もかも気まずい空気にするよね。あなたじゃ誰とも繋がりを持てないわ。
誰があなたを信頼できるだなんて思うのよ。
THE BOY: そうさ。ドラッグ・ディーラーってそんなもんだろ。だからこそ仕事にできるんだ。
NAOMI: あいつらは、アホばっかよ。人がどんな風に働いているか世の中をちゃんと知らないと。
あんた、ネットでしか人と付き合いできないんでしょ。
彼はゆっくり彼女の方を向き「なんで分かるんだ?」と呟いた。
NAOMI (続けて): あなたのこと調べたから。
THE BOY: あのパーティの後?今ここで?
NAOMI: 今よ。私はライターもやってて。
THE BOY: そうなんだ。
NAOMI: うん。私は文章が上手いみたい。だってみんな私のを真似するし。
彼女はベイプを吸う
NAOMI (続けて): これ私のツイート (携帯を差し出す)。 これとか完全に私の詩じゃない?
投稿したんだけど、この男、自分のものみたいにラップしてる。
THE BOY (彼女の携帯を見て): 1974年以降に詩人になったことが最初の間違いだったね。
NAOMI : そのくらい私のシットが上質だからよ。時間を巻き戻すの。
THE BOY: 君、ハイになると偉そうな感じになるタイプだろ。
NAOMI: いや、ハイの時はよく喋るかな。偉そうなのはいつもよ。
でも大体は黙ってるわね…あなたみたいに。
彼が見上げると、彼女は眉を釣り上げる。彼は笑っていない。
彼女が寄り目をする。何も反応しない。彼女は止め、ため息をつく。
NAOMI (続けて): 私たちの住むここが「地獄」だって考えたことある? この地球が全部地獄だって意味。
地球が破滅に向かっているのを、自分だけが知っているみたいな。
沈黙
THE BOY: ないね。
NAOMI : これは何かで読んだんだけど、人は何度も同じことを繰り返すの。全ては循環してる。
THE BOY: その考え方は好きだね。
NAOMI: ね、そうでしょ?あなたも思ったより「孤独な少年」なんかじゃないのよ。
彼女は笑って、手で彼の顔をぐしゃぐしゃにする。ボーイは呆れるが、笑みがこぼれている。
*******[ここで “PINK TOES” を再生]*******
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Dial Up (No Lyrics)
Ⅰ. Worst Guys (Feat. Chance The Rapper)
Playing Around Before Party Starts (No Lyrics)
SCREEN PLAY 3-3 (Death By Numbers)
Ⅱ. Earth: The Oldest Computer (The Last Night) (Feat. Azelia Banks)
Ⅲ. Life: The Biggest Troll (Andrew Auernheimer)
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