brockhampton-keepingtheband

BROCKHAMPTON

ブロックハンプトン、ツアーの舞台裏などを描いたドキュメンタリー

「Keeping the Band」を公開。その内容を読み解く

NOVEMBER 28 , 2019


アメリカ、ロサンゼルスに拠点を置く13人組のボーイズ・バンドBROCKHAMPTON(ブロックハンプトン)

フォトグラファー、マネージャー、MCなど、ほぼ全ての役割をメンバー内で完遂させる彼らは2018年にRCAレコードとメジャー契約、今年8月には5枚目のアルバム『GINGER』をリリースし単独来日公演を果たすなど、その人気はアメリカ国内に留まらない。

当メディアでもバンド内で製作の多くを完成させるインディペンデントな姿勢、ラップを楽曲の中心としていること、彼らの音楽への熱い想いなど様々な魅力に惹かれ、その活動には注目してきた。

【Interview】ブロックハンプトン、『GINGER』のアルバム・ジャケットに込めた想いを語る
【和訳・解説】 DEARLY DEPARTED – BROCKHAMPTON

そんな彼らの躍進の裏側が描かれたドキュメンタリー『Keeping the Band』の予告が今月初めに公開された。

今のお前らは「本当のパフォーマー」としてパフォーマンスができてない。何してんだよ!

バンドのリーダーであるKevin Abstract(ケビン・アブストラクト)声を荒げながらメンバーへ語る。

このドキュメンタリーには最新アルバム『GINGER』をリリースした直後の活動、アルバムを提げ彼らが今年10月バンクーバーからスタートしたツアー「Heaven Belongs To You Tour」の舞台裏が描かれている。

デビューから数年でメジャー契約、恐ろしいまでのスピード感でリリースされるアルバムごとにその人気は大きくなり、彼らの勢いは止まることを知らない。このドキュメンタリーで描かれるのは、一見何の問題もなく順調に階段を登り続けているように見える、そんな彼らの舞台裏に隠されたハードワークだ。上述のケビンの発言のように、時にはメンバー、関係者同士でヒートアップするシーンも見られるほど彼らがライブ、パフォーマンスに対してどれだけの情熱を注いでいるかが垣間見える作品になっている。

すでに今月16日に第一話、26日に第二話が公開されているため、それぞれの内容を紹介していこうと思う。


ティーザー(予告)の公開から2週間が経ち公開された第一話「Another Chance」。

俺たちは全てのツアーでリハーサルを行い、作品をどんな風にパフォーマンスするか考え抜くんだ。 – Kevin Abstract “

彼はどのようにツアーに対しての備えるか、ファンに最高のパフォーマンスを見せるための準備の重要性を語る。

リハーサルは上手くいってる。ただ一つイラつくのはケビンが遅刻したくせに高圧的な態度を取ってることだ。– Matt Champion ”

まさに「舞台裏」を感じさせるマットのコメントだが、「俺たちはそれぞれがお互いを受け入れてる。」というケビンの発言通り、家族のような信頼関係を築く彼らの関係はあくまで良好である。


「The Tonight Show – Jimmy Fallon」に出演した後、彼らはツアー初日、バンクーバーでの公演に向かう。彼らの表情はツアー初日への緊張と興奮が入り混じっている。

明らかにオーディオに問題があった。– Jon Nunes “

ステージを後にしたMCとプロデューサー・チームのメンバー達は明るいとは言えない表情で語る。確かに映像では大きなノイズが鳴り続けるシーンが映し出されている。ケビン曰くツアー開始に伴って雇ったという*PAエンジニアのミスにより上手く音響の調節ができていなかったことが原因だったようだ。
(*PAエンジニア = コンサートやライブ、舞台、イベントなどでPA(音響設備)を用いて音の調整をする仕事)

もし彼のせいで音響が上手くいかなかったのなら、彼には出ていってもらう。– Kevin Abstract “

「あれは人的なエラーだった」メンバーは口々に語る。

今日のショーを見返して、ヴォーカルのサウンドがどうだったか確認してみないとね。もしミスが起きたのなら来週もう一度チャンスを与えるよ。– Kevin Abstract ”

ミスを振り返り、シアトルでの公演に向けヴォーカルのサウンドを調整しないといけないとケビンが語り、第一話は幕を閉じる。
このエピソードのタイトルはミスを犯したPAエンジニアに対してケビンが言い放った「Another Chance – もう一度チャンスを与える」という言葉だったようだ。
第二話では、シアトル公演〜が描かれている。彼らはバンクーバーでの失敗を経て、オーディオの改善をすることができるのだろうか。


シアトルに到着した一行。ライブ前にファン達と写真撮影をする彼らのファン思いな一面も冒頭ではチェックできる。

シアトルはかなり上手くいったよ。JabariもKikoも良くなったって言ってたし。– Kevin Abstract “

PAエンジニアはミスを修正し、シアトル公演を成功させた。
しかし、問題が起きたのは11月3日、ラス・ベガスにて「Day’n Vegas」に出演した時のことだ。

明らかに音響の問題が起きてた。彼はマイクをオンにするべきタイミングを逃していた。おい、頼むよ…って感じだった。
ショーは俺にとって本当に重要なんだ。 – Kevin Abstract “



2度目のミスが起きた後、メンバー同士で話し合いが行われる。

メンバー全員が俺を見つめながら、どうやって問題を修復するか様子を見てた。でも俺は彼(PAエンジニア)を見つめて、彼が問題を改善できるかどうか、なぜ問題が起きたかを話して欲しかった。– Kevin Abstract ”

俺たちで彼に質問をしたんだ。そしたら「えーっと」って感じで、彼は何が起きたかわかっていなかった。あれはマジで不愉快だったね。– Bearface “

議論が進むと、俺たちは沈黙に陥ってしまった。誰も喋らなかった。
空気が悪かったし、不愉快だったよ。自分のリーダシップを疑ったね。
何か言いたいことはないか?って彼に聞いたら、彼はまだブツブツ言い訳してたから、もう我慢できなかったんだ。「終わりだ。」と伝えた。 – Kevin Abstract “

結果としてPEエンジニアはこれ以降ツアーに帯同することはなくなった。ケビンはバンドのリーダーとして難しい決断を下したわけだ。
「” ボーイズ “・バンド」とは言っても、彼らは大人であり、何よりもプロフェッショナルだ。その厳しさがこのシーンには現れていた。

ドキュメンタリーはシリアスなパートだけではない。
ケビンがライブ後に「スペシャル・ゲスト」を招くシーンはコミカルで笑いを誘う、彼らの明るい一面が見られる。(メンバーのBearfaceは納得がいかなかったようだが…)

お前らに伝えずに呼んでごめんな。サプライズがあるんだ。ジャックと連絡を取ったら、彼が友達を紹介してくれるっていうからさ。– Kevin Abstract “

大ごとだと思ってたよ。おいおいマジかよって感じだった。誰が来るんだよって。– Bearface “

ケビンに招かれ登場した” スペシャル・ゲスト “は、どこからどうみても本物には見えないテイラー・スウィフト。彼女がテイラーの代表曲” Shake It Off “をTwerkをしながら披露する姿に、笑うメンバーと、ガッカリするメンバーが見られる。特にBearfaceの表情には注目だ。彼は一切の笑顔を見せない。

完全にガッカリした。マジで時間の無駄だ。ありえない。– Bearface “

このメンバーの反応に対し、ケビンはジョークを返す。

何人もの人が彼女のライブにお金を払って行ってると思ってるんだ?マジで失礼だよ。先週(配信したエピソード1で)言ったよな。俺は全力を尽くしてるって。コメント欄で「ケビンはエゴが強すぎだよ。自分勝手だ。」なんて言ってるやつは、さっさとパソコンの電源を切って『Saturation 1』をママのお家で聴きやがれ!- Kevin Abstract”

彼はおそらくタイラー・ザ・クリエイター主催の音楽フェス「Camp Flog Gnaw」で起きたシークレット・ゲストへのブーイング騒動を揶揄しているのだろう。


エピソード2を終え、「Heaven Belongs To You Tour」は折り返し地点に近付いている。

このエピソード1、2では彼らがライブをどれほど重要視しているか、プロフェッショナルとしてどれだけシリアスに仕事に向き合っているかが映し出されていた。(もちろんリラックスしたシーンもあったが)

今後公開されるエピソードでは彼らのどんな一面が見えるのだろうか。
シリアスな部分もコミカルな部分も含め、今後のエピソードが公開されるのが楽しみでならない。

Click HERE to more songs and new info of BROCKHAMPTON
ブロックハンプトンの他の楽曲の和訳・紹介・最新ニュースはこちらをクリック

アーティスト一覧はこちら

ツイッターでは投稿のお知らせだけでなく、ヒップホップ・ニュースやリリース予定など様々な最新情報をお届けしています!

FEATURE

LATEST NEWS

LYRICS

©︎ SUBLYRICS, 2019, All rights reserved