そこで気づいたんだ。「オーケー。俺はR&Bやスローでメロディックな音楽を作るのも好きだけど、ファンたちが叫ぶように俺のリリックを歌っているのも素晴らしいな」ってね。 みんながリリックを歌い返してくれたり、モッシュをして、クレイジーなほど盛り上がっているのを見ると、自分もエネルギーをもらうんだ。 そういう意味で” Best I Ever Had “のような曲は物足りなくも感じた。
彼自身、おそらくファンも否定的ではないが、デビュー・ミックステープ『So Far Gone』、ファースト・アルバム『Thank Me Later』、セカンド・アルバム『Take Care』はR&B、メロディックなサウンドがアルバムの中心であり、ライブで盛り上がる昨今のヒット・ソングとは少し異なるカラーの作品が多かった。その作風が変化したのは、彼を音楽シーンに引き上げたリル・ウェインの影響だったようだ。
先日公開されたシングル” WAR “はまさに「アクセントを変えた」例だろう。2017年にリリースした『More Life』で多くのUK出身アーティストをゲストに迎えて以降、彼の作品にはグライムなどのサウンドが色濃く影響しているように思える。この「変化」は彼の言うところの新たなチャレンジなのだろう。
2000年代を代表するラッパー、50セントが2003年にリリースしたアルバム『Get Rich or Die Tryin’』の収録曲” 21 Questions “は彼が自身のスタイルを形成する上で欠かせない作品だったという。リリックやスタイルでは50セントとドレイクは全く異なるタイプのラッパーであるので、彼の名前が登場したのは非常に意外であった。
“ 『Nothing Was The Same』が最も簡潔かつ、多くの良い曲を届けることのできたアルバムだと思う。曲数が多すぎることもないし、他の作品とは「違うこと」をできたと思う。”
『So Far Gone』や『Take Care』をクラシックであると語りながらも、2013年にリリースした3枚目のスタジオ・アルバム『Nothing Was The Same』を最もお気に入りの作品であると彼は明かしてくれた。 直近数作品で20曲前後をアルバムに収録していることもあり、コンパクトに収まりながらもハードに仕上がったことが選出の理由だったようだ。