DHL - Frank Ocean

Single
Year : 2019
Produced by : Boys Noize & Frank Ocean

ニューオリンズ出身のシンガーFrank Ocean(フランク・オーシャン)が2017年から2年ぶりとなるシングル” DHL “をドロップした。

2017年” Chanel “や” Provider “など、シングルを数作リリースしたもののまとまったプロジェクトを発表してこなかった彼だが、先日あるイベントを行うという告知を突如発表。

フランク・オーシャン、NYで「PrEP+」というナイトパーティの開催を発表。

「PrEP」とはHIVの感染予防薬のこと。80年代NYではAIDSが大流行。
多くの人が亡くなり、ゲイ・クラブは閉鎖に追い込まれたという背景を元に、
「もしPrEPが80年代NYのクラブシーンにあったなら」というテーマを設定したそう👀 pic.twitter.com/MtnG6t9zgi

— SUBLYRICS (@thesublyrics) October 17, 2019

PrEPという感染予防薬の認知を広めることをメインの目的としたイベント/パーティをオーガナイズした彼。そこで披露したのが、ディープハウス、ヒップホップ、ファンクなどを織り交ぜたサウンドが特徴的なDJ/プロデューサーのSango(サンゴ)をプロデュースに迎えた” Cayendo (Sango Remix) “、フレンチエレクトロを代表するDJ、Justice(ジャスティス)を迎えた” Dear April (Justice Remix)”の2曲。

先日アメリカの女性ファッション誌WMagazineのインタビューに出演し彼はこう語っていた。

「デトロイトやシカゴのシーンや、テクノ、ハウス、フレンチ・エレクトロとか色々なダンスミュージックのシーンを今はチェックしてるよ。」

「ダンスミュージックのシーンをチェックしている」という言葉通り、SangoやJusticeという今までの彼の作品のカラーとは異なるジャンルのアーティストとのコラボを、この「PrEP+」では披露してくれた。

「次のアルバムはこういったエレクトロな要素が色濃く表れるのでは」とファンの間では話題になっていた矢先、彼は8回目となるApple Music / Beats 1 Radio「Blonded Radio」にて今回和訳を紹介する新曲” DHLを公開した。

先程発表されたシングル” DHL “のジャケットの右下には” DHL “と似たジャケットと見られるデザインが13個横並びに配置されています。

すでに熱心なファンは
「あと12枚シングルがあるのでは。」
「13曲入りのアルバムだ。」
と突然のリリースを受けお祭り状態に😂 pic.twitter.com/pa4xJ5F72H

— SUBLYRICS (@thesublyrics) October 20, 2019

ツイートにも記載してある通り、アルバムの存在をほのめかすようなジャケットにファンはお祭り状態に。
実際にこちらの” DHL “が先行シングルとなるアルバムがリリースされるかどうかの事実は不明なままだが、何らかのプロジェクトが進行していることは間違い無いだろう。

そして突如リリースされた” DHL “のプロデュースにもドイツ出身のBoys Noizeボーイズ・ノイズ)というエレクトロ・プロデューサー/DJを迎えているそう。『Channel Orange』『Blonde』のようなシンガーとしてのフランクの姿はこのニューシングルにはそれほど見られなく、今までの作品とは一風変わった楽曲になっている。
単調なラップのリズムが繰り返されるこの作品には、今までのフランク・オーシャンが作り出してきたようなキャッチーな音色やリリックは見られない。それゆえに少しわかりにくい(抽象的な)作品になっているのかもしれない。

リリックで主に語られるのは「性とドラッグ」についてである。
スローかつ暗いビートの中で、繰り返されるラップはまさにドラッグでトリップする彼の精神世界を描いたようなサウンドに聴こえてくる。
私は彼のラップを聴いて、すぐにエイサップ・ロッキーを頭に浮かべた。
というのもフランクのラップが、同じくドラッグやファッションをテーマにラップをするロッキーのフロウと似通っていたこと。また、WMagazineによるインタビューで実際にフランク自身がロッキーにラップを教わったと語っていたからだ。

ーー クリエイティビティに関して、あなたとエイサップ・ロッキーはお互いに影響しあってる?

” Raf “のヴァースをやった時を思い出すと、俺はその時ラップを練習してたんだ。
ヴァースの構成やフロウとか、なんとか上手くやろうとしてた。沢山ヴァースを書いてたね。

その時ちょうどホテルに住んでいて、別でスタジオのセットを持っていたんだ。だからそのスタジオに入って、速攻でヴァースを録って、ロッキーの家に行って曲を聞かせてもらったんだ。その時にすでに曲には息が吹き込まれてた。
その時に彼が俺のヴァースを見て
「おいこれじゃあ2003年のラップにしか聞こえねえ。」って言ってきたんだ。

俺も「あぁクソ!そういうことか」って思ったよ。フロウが複雑すぎたんだ。だから「わかった、もっとリズムのある今っぽいやつがいいんだ」って気づいて実行した。
だからまたヴァースを書き直して、彼に見せたんだ。「教えてくれ、今2000何年だっけ?」って言い返してね。

もちろんこれは私の主観だが、フランクがロッキーからここ数年で大きく影響を受けたことは間違い無いだろう。いつ次の作品がリリースされるか、次の作品があるかどうかも未定だが、今年中にまた彼の作品が一つでも聴くことができればファンとしては嬉しい限りだ。

[Intro]
Love that I, love that I give
愛、それは俺が与えた愛

That is not love that I get from you
君からの愛じゃない

Uh, huh-huh

(Love that I, love that I give) Uh-huh, uh-huh, huh
(俺の愛、俺が与えた愛)

 

 

[Verse 1]
Look at them shakes, uh-huh (That is not love)
あのヘビたちを見てみなよ、あぁ (あれは愛じゃない)
(ヘビは裏切り者の比喩として用いられるワード)

Made up a dance (That I get)
ダンスを作り上げた (俺が手に入れた)

How come you shook? (From you)
なんで驚いてるんだい?

When I ain’t took out my hands
俺が手を差し出さなかっただけでさ

Beans, Starbucks, starstruck
ビーンズ、スターバックス、スターストラック
(スターストラック = スターに魅了される、スターに出会う)

Bitch comin’ soon
ビッチがもうすぐ来るころだ

That’s ‘cause you suck
なんでかって君がクソだからさ

(Suck me, suck me, suck me
Suck me, suck me, suck me)
(俺を楽しませてくれよ)

That’s comin’ soon (Suck my dick, huh)
もうすぐさ (俺のアソコを咥えて)

Come on, I’m back, I want my babe
さあ、俺が戻ってきたぜ、ベイビーが欲しいんだ

Stayin’ alert, I’m going steady
警戒し続けないと、俺は着実に行くぜ

‘Cause on my chains, diamonds keep callin’
だってチェインやダイアモンドが俺を呼び続けてるから

Findin’ the key, put it in, Kawasaki
キーを探して、カワサキに差し込む
(バイクのKawasakiのことですね)

Totin’ the Amazon (Amazon)
Amazonを輸送する (Amazon)

Shit like 6’5” (Shit like 6’5”)
シットはまるで195cm (シットはまるで6’5フィート)

Take back, rewind, now I rewind
取り返す、巻き戻すのさ

Ooh, ooh, baby, be mine (Baby, be mine)
ベイビー、俺のものになってくれ

Ooh, ooh, baby, be mine
ベイビー、俺のものになってくれよ

 

 

[Chorus]
Just got a pack, came from the DHL
荷物が届いたよ、DHLからだ
(DHLは国際便を中心とした世界的な運送会社ですね)

Just got up with a pack
そこには包みが付いていて

Got out a pack, came from DHL
包みを開けるんだ、DHLからのね

Just had got off like a bail
パラシュートみたいに飛び出すんだ

Got out a pack
包みを開けると

New ones in my jail
そこには俺の牢獄にやってきた新入りが

Just got out, found a pack
取り出して、包みを見つけた

I got a pack
包みを手に入れたんだ

(Been in jail, been in jail, yeah, yeah, yeah)
(ずっと牢屋に閉じ込められてた、エイ、エイ)

Just got a pack, came from DHL
包みを手に入れた、DHLから来たんだ

We get the check, bail (Like it longterm like the pill)
ちゃんと本物さ、飛び上がるよ (錠剤みたいに効き続けるんだ)
(荷物についていた包みはドラッグだったんですね)

I got a pack, came from DHL
荷物が届いたよ、DHLからだ

Just caught up on a pill
この錠剤に夢中になったんだ

I got a
手に入れたよ

 

 

[Verse 2]
Niggas think it’s new, it ain’t new, boy
みんなそれを新しいと思ってる、本当は違うのに
(この曲も本当は数年前に作られていたのかもしれません)

Old files just turned two, yeah it flew, yeah
昔のファイルはもう2年経つ、時は流れてさ
(2年前にリリースした” Chanel “や、” Biking “などのことでしょうか)

Still sound like it’s comin’ soon, comin’ soon, yeah
まだ「カミングスーン」って感じに聞こえるよな、エイ

Still sound like it’s comin’ soon, tell the truth, yeah
まだ「カミングスーン」って感じだ、さあ真実を伝えるよ

Boy-toy suck me like a Hoover, like a Hoover
愛人は俺にフーバーみたいに吸い付く
(Hooverはアメリカの掃除機ブランドです)

Boy-toy ride me like a Uber, like the Uber
愛人は俺をUberみたいに乗りこなす
(Uberはタクシーのサービス)

Smiley face, factory case, ain’t bust it down, yeah
笑顔が浮かぶフェイス、工房製さ、超高級だぜ
(フランクは日本のKapitalというブランドが販売している「笑顔マーク」が盤面にデザインされている時計を着用しています)

I left it, I forgave their violations, ain’t seen ‘em around, yet to test it
もういいんだ、あいつらが犯した冒涜だって許した。
もう近くであいつらは見ない、本当かはわからないけど

Wavy pool, sit behind the pool
波打つプール、その端に座ってる

I’m tellin’ the truth, bro
俺は真実を伝えてるんだ、兄弟よ

Remind me of trade, brushin’ his waves
取引を思い出すよ、髪のウェーブを整えてさ

Shit look like ramen noodles
その髪はまるでラーメンみたいでさ
(アフリカン特有の髪のウェーブを茹でる前のラーメンに例えています)

Fuck, this shit sound like it’s comin’ soon, comin’ soon, bro
ファック、この曲もまた「カミングスーン」って感じじゃねえか

And it still sound like it’s comin’ soon, comin’ soon
まだ「カミングスーン」って感じだ、カミングスーン

New files sittin’ on my drive, nothin’ new, yeah
新しい曲ならドライブに入ってる、そこに「新しさ」なんてないけど
(フランクはインタビューで、ハッキングを恐れ、必ず制作した音楽はハードドライブに入れると言っていました)

New fobs and I can’t get down, what to do, yeah
新しい宝石には抗えないね、つまりさ

New fobs, really can’t get down to the pool, yeah
新しい宝石、プールには入れないよ、エイ

New glist’ sittin’ on a cyst on my wrist, yeah
新しいダイアモンドは手首の上に

New bitch ridin’ on my dick like a kit, yeah
新しいビッチは俺のディックの上に、まるで子猫みたいだ

All of them days when I paid for the studio rate, instead of the rent, yeah
スタジオを借りずに、一回ずつ使用料を払ってた頃があったよな
(彼には地元ニューオリンズのスタジオがハリケーン・カトリーナによって水没した過去があります)

Now I can hang in this bitch every day, wait for some inspiration to hit me
俺は今、毎日このビッチと一緒にいて、何かインスピレーションを与えてくれるのを待ってる

Look like I’m dressed for a hike but I really look like I’m in Paris and shit, yeah
登山家みたいな服を着てる、でも本当はパリにいるみたいなんだ
(2019年、フランクはパリ・ファッション・ウィークに登場。アウトドアブランドを身につけていました。また今年のMet Galaのテーマは「Camp」でしたね)

Look like I’m dressed for a camp ‘cause I’m pitchin’ a bag like I’m pitchin’ a tent, yeah
キャンプをするみたいな服を着てる、だって俺はテントを張るみたいに” バッグ “をピッチするから
(ピッチする = ドラッグを売りさばく)

This ain’t no fuckin’ hopes and dreams, it’s prophecy
これは望みや夢なんかじゃ無い、絶対に起きる予言さ

Hardly sleep, faith was in the coffee bean
ほとんど眠れないよ、コーヒー豆を信用してた
(コーヒーのカフェインで眠れなくなることを示唆してるのでしょうか)

Roman numerals, niggas pourin’ up Ivy Leagues, fours
ローマ数字、みんなIvy Leagueを飲みまくってる、4をさ
(ローマ数字で4は” IV “。アルファベットで読むと” I Vy “でIvy Leagueとつながります。” 4 “はリーンを意味するスラングですので、ここでは「リーンを飲みまくる」という意味になるでしょうか。アメリカのエリート大学生とドラッグのイメージは結びつきやすいこともあります)

Double D’s exposed, throw some beads
大金を見せびらかして、宝石を首から下げる

Fuckin’ these hoes, leave, now my fuckin’ flow’s stole
クソビッチどもは消えていって、今も俺のフロウは盗まれたまま

Screw me slow, yes
俺はゆっくり壊されてゆく

Ooh, he TX, XTC rollin’
彼はTX(セラピー)、エクスタシーが駆け巡る
(エクスタシーは覚せい剤のこと)

You seen my bag, it’s swollen, Rimowa, I can’t even fold it
俺のバッグを見ただろ、あんなに膨らんでるんだ、Rimowaだよ、閉じられないな
(Rimowaはスーツケースのブランド。高度が高い場所に行くとスーツケーツが膨らむように、彼がドラッグで「ハイなこと」を表しています)

I drop you a pin like I’m bowlin’
球を投げるように君の位置にピンを置いて
(マップ上にピンを置くのが浮かびます。彼は誰かを迎えに行くのでしょう)

We moanin’ ’til not even mornin’
朝が来たことさえ関係なしに喘ぎ続ける

Breakfast and dinners is blendin’
朝食もディナーも一緒くたにして

We spent all that time alone
俺たちはずっと孤独を過ごすんだ

Alone, watchin’ the clouds roll, woah
孤独だよ、積乱雲が動くのを見ながらね

 

 

[Chorus]
Just got a pack, came from the DHL
荷物が届いた、DHLからだ

Just got up with a pack
その荷物には小包が付いてて

I got a pack, came from the DHL
荷物が届いた、DHLからだ

Just got up with a pack
その荷物には小包が付いてて

I got a pack, woah, a pack, yeah
その包みを手にしたんだ、包みをね

Just caught up with a pack
その包みに夢中になってるのさ

I got a pack on DHL
荷物が届いた、DHLからだ

Just caught up with a pill
その錠剤に夢中になってるんだ

There it is, woo
そこにあるんだよ

DHL, just caught up with a pack
DHL、俺はその包みに夢中なんだ

I got a pack, came up on DHL
DHLから来た、小包があるんだ

Just came up with a pack
その包みと一緒に出て来たんだ

I got a pack, came up on DHL
荷物が届いた、DHLからだ

Just caught up with a pack
その包みに夢中になったんだ

I got a pack, came up on DHL
荷物が届いた、DHLからだ

Just got off with the pack
その包みを開けているところだよ

 

 

[Outro]
Independent jugg, sellin’ records out the trunk
独立した策略の持ち主、トランクで曲を売ってる
(フランクのことですね。彼は『Blonde』のリリース直前Def Jamから独立しました)

I’m already rich as fuck so the products in the front
俺はすでにクソほどリッチさ、だから商品だって売ってる
(“ 商品 “は音楽以外のマーチやZINEのことでしょうか)

Got my partner in the front, been my BF for a month
パートナーだってそうさ、1ヶ月だけボーイフレンドだった

But we been fuckin’ from the jump
でも俺たちはジャンプ (フライト) からずっと一緒にいるんだ
(ここでいうジャンプ/フライトはドラッグでハイになることでしょう)

 
 
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