Ottolenghi
Album : Not Waving But Drowing
Track : 4
Year : 2019
Produced by : Jordan Rakei
Loyle Carner (ロイル・カーナー)は、1994年生まれ、サウスロンドン、Brit School出身の若手ラッパー。
2019年、2枚目のアルバムである『Not Waving But Drowing』をリリース。今回は4曲目である” Ottolenghi “を紹介します。
アルバムのタイトルである『Not Waving But Drowing』は、スティービー・スミスの詩を引用した言葉。
「溺死した男についての記事を読んだんだ。
そいつの仲間は、彼が手を振っていると思っていた。
でも本当は溺れていたんだ」
「他人から見た姿・外見が、どんなに元気に見えても、心の中は死ぬほど辛い」という状態を表現しているのがこの言葉。
誰にも理解されない心の孤独・苦しみを抱えながらも、生きていくには、元気に振舞わなければならない社会の辛さを表現しています。
彼自身もADHD・難読症を抱えていて、詩と同じ経験をしていることがこのアルバムのテーマとなっていて、このような苦しみを抱えている多くの人に寄り添うような優しい言葉を曲中で彼は語っています。
シングル” Florence “のMVで、パンケーキ作りを披露するほどの料理好きの彼は、ADHDを抱えている子供達に料理教室を開き、コミュニケーションを取る支援活動を行なっています。
そんな彼には” Yoram Ottolenghi “という尊敬している料理家がいるそうで、実は今曲のタイトルはその料理家の名前を引用したもの。
バース2で詳しく語られていますが、電車の中で、オットレンギの著書『イエルサレム』を読んでいた際に、聖書と間違えられたという印象的なエピソードから、この曲のタイトルに彼の名前が採用されたそう。
客演として参加している、同じくロンドン出身のアーティスト、ジョーダン・ラカイは今曲のプロデュースも行なっております!
[Verse 1]
I was sat up on the train
電車の中で目を覚まして
Staring out the window at the rain (aye)
窓から降りしきる雨をじっと見てた
I heard this little lady must’ve felt the pain ask her mum if the blazing sun’ll ever shine again
少女が母親に尋ねてた、悲しそうだったよ「もし光り輝く太陽が二度と現れなかったどうしよう」ってね
I felt ashamed feel the same not her mother though
同じように思ったのが恥ずかしかったね、彼女の母親でもないのにさ
Nah, started to laugh got her son involved (aye)
あぁ、母親が笑い出したら、息子さんもつられて笑い出したよ
Mention the past like a running joke
彼女は、過去をジョークかのように話して
And told her ‘without all the rain there’s no stunning growth’
娘にこう言うんだ「雨が無ければ、何も成長しないのよ」って
(辛い時期が無ければ、成長ができない。ということの比喩ですね)
Close, ah
そうさ、あぁ
To everything and nothing
全ての人に送るよ
(ここから3ライン、ラッパーRoots Manuvaの” Dreamy Days “の引用が始まります)
Picture past the honeymoon and bluffing
過去にあった幸せな時期と、絶望した時期を思い浮かべてみて
Where the wooden spoon is only cuffing
上手くいく時期はずっと続くわけじゃないだろ
(” wooden spoon “はレースなどの競争、勝負で一番になった時の景品を指す言葉。” cuffing “は「折り返し」という意味)
Shorter the discussion but the roots can’t manoeuvre out of nothing
議論は短くなっていく、でも何の理由もなしにルーツは変えられないから
(上記のラインは” Roots Manuva “の引用でした。名前と同じ音が” roots manoeuvre “のラインに入っています)
I’ve been suffering these dreamy days (ah)
俺は夢見る日々に苦しみ続けたんだ
Remedy and lust don’t hold any memories of us
後悔や、欲望は、俺たちに何の思い出も残してくれない
Rather hold you everyday until the memories are dust
だから思い出がチリになるまで、毎日をしっかり生きるのさ
Yo we only caught the train cause you know I hate the bus
Yo、俺たちは電車に乗ることしかできない、だってわかるだろ、俺はバスが嫌いだからさ
Never get enough
満足することなんか、永遠にないよ
[Chorus: Jordan Rakei]
Born and raised
この世に生まれて、成長してきた
Made attempts to crawl away
常に何かから逃げようとしてきた
Find a way to exist and hide your face some relate
生きる方法を探してた、色々あるから顔は隠しておくのさ
Leave everything in yesterday
何もかも昨日に置いていくんだ
[Verse 2]
(Aye) They ask about the bible I was reading
彼らは俺が読んでた「聖書」について尋ねてきた
(この「聖書」は本当の聖書ではなく、彼が尊敬している料理人Yotam Ottolenghiの『Jerusalem』という本だったそう。ロイルにとっては、この本が聖書なわけですね。” 彼ら “は本のタイトルがイエルサレムだったことから聖書と勘違いしたと)
Told them that the title was misleading labelled it Jerusalem but really its for cooking Middle-Eastern
それは間違いだって、彼らに伝えたよ、本当は中東のクッキングの本なんだって
I could see your mind was changing with the seasons shady for a reason (ah)
君の心が季節のように変わるのがわかったよ、何か目的があってすり寄ってきてるんだろ
They will start decreasing, leaving like the orange in the evening
みんなは居なくなり始めた。夕方からオレンジ色が消えていくようにね
(周りの人がどんどん居なくなることを、夕日が沈んでいく様子に照らし合わせています)
It was creeping through the clouds but now I’m proud to see the images releasing
雲の中から這い出るように現れた。でも今じゃ、そのイメージが見えて誇らしいよ
(自分のことです。ADHD、難読症を患う彼は、まるで重い雲の中にいるような感覚だったと)
I just wish the little lady could’ve seen it but she was dreaming (ah)
少女も同じように見えてることを願ってる、でも彼女は夢を見てた
Reckon she’s standing with her mum saying to her ‘look, mother here’s the sun’ rooted in the moment til the memories are done
思うんだ、彼女は母親と目に見えるものについて喋ってた。母親は記憶が消えていくまで、彼女の太陽みたいな存在なんだろうな
So I sit and start to wonder on the woman she’ll become
だから彼女がどんな女性になるのか、俺は座り込んで考え出したのさ
Wonder if I’ll have a son or a daughter, ones that I brought up never strong never telling me to run
もし俺が息子や娘を授かったら、強くなくていい、走らなくていいと言ってくれるような、そんな人に育ってくれるだろうか
Never tried to find a sum, tryna get it done yo I wonder if she’ll ever be as clever as her mum, one
答えを出さずに、問題を紐解いてくれるような、そんな母親のような賢い人になるのだろうか、ってね
[Chorus: Jordan Rakei]
Born and raised
この世に生まれて、成長してきた
Made attempts to crawl away
常に何かから逃げようとしてきた
Find a way to exist and hide your face some relate
生きる方法を探してた、顔は隠しておかないと
Leave everything in yesterday
何もかも昨日に置いてきたよ
Born and raised
この世に生まれて、成長してきた
Made attempts to crawl away
常に何かから逃げようとしてきた
Find a way to exist and hide your face some relate
生きる方法を探してた、顔は隠しておかないとな
Leave everything in yesterday
何もかも昨日に置いてきたよ
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