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Broken Record

Andre 3000(アンドレ3000)リック・ルービンとの対談にて

楽曲製作の葛藤と社交性障害を語る

DECEMBER 18 , 2019

Def Jam Recordings の創始者であり、数々のアーティストを手がけてきたプロデューサーRick Rubin(リック・ルービン)、「ワシントン・ポスト」の元ニューヨーク支局長を務めたビジネス作家Malcolm Gladwell(マルコム・グラッドウェル)、「ニューヨーク・タイムス」の編集者Bruce Headlam(ブルース・ヘッドラム)がホストを務める音楽をテーマにしたPodcast「Broken Record」をご存知だろうか。

数々のアーティストをゲストに迎え、シーズン3を迎えた番組の最新エピソードに登場したのは、サウスのレジェンド・デュオOutkast(アウトキャスト)のメンバーAndre 3000(アンドレ 3000)だ。

ゲストとして参加した楽曲でも数々の名ヴァースを生み出し、今年に入ってからもJames BlakeやAnderson. Paakのプロジェクトに参加したアンドレだが、対談中、彼は現在は音楽製作を一切休止していると明かしている。

音楽にはフォーカスしてない。もう俺の自信は音楽にはないんだ。
色々音楽で遊んだりはしたけど、シリアスなプロジェクトを製作するモチベーションがなかった。やりたいとは思っていたけど、モチベーションが湧かなかったんだ。
何をすれば今の自分がベストな気持ちになれるのかを考えてる。ランダムに色々な楽器の音を打ち込むのが、自分を最も反抗的な気持ちにしてくれるんだ。何故かはわからない。もう自分のメロディにうんざりしてるんだ。

アンドレは2006年にアウトキャストとしてアルバム『Idlewild』をリリースして以降、デュオとしても個人としてもスタジオ・アルバムをリリースしていない。
製作したいという願望はあったが、真剣に作品を製作するモチベーションは湧かなかったという。
「自身のメロディにうんざりした」と語る彼の口調からは新しいものを生み出そうとする過程に生じた葛藤を感じさせる。

またアンドレは対談中、自身が社交不安障害、過敏性障害を抱えていることを告白している。

俺は今人生の95%を独りで過ごしてる。その時間で脳は俺自身の問題をあら探ししようとするんだ。そもそも問題なんてなくともね。どうにか抜け出そうとしてるよ。

リック・ルービン、そしてアンドレの2人は大きな成功をラップ・ミュージックで掴んでいるが、両者ともその成功が自身をより孤独にし、名声が自身のクリエイティビティを妨げると語っている。
彼が新たなプロジェクトを製作するに至らないのはメンタルの状態が万全ではないからなのだろう。

以上のことから彼の作品に期待するのは時期尚早だろうが、現在アンドレはミニマル・ミュージックの先駆者であるスティーブン・レイヒをお気に入りのアーティストとして挙げるなど、ラップ・ミュージックとは異なる方向性を今後見出していくのかもしれない。

ソーシャルメディア上で「クラリネットを吹きながら徘徊する」彼の姿が話題になったことも議題に挙がったが、アンドレ曰く、クラリネットを始めたのはサックス・プレイヤーとして著名な「ジョン・コルトレーンの影響を受けた。」のだそうだ。

ラップ・ミュージックのファンとしては彼の作品がいつか聴ければ幸せだが、急がず、自身を追い込むことなくメンタル面と向き合いながらマイペースに製作していって欲しいと願うばかりだ。

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