Beats 1
DECEMBER 17 , 2019
カリブ海に浮かぶハイチにルーツを持ち、カナダ・モントリオールを拠点に活動するDJ / プロデューサーKaytranada(ケイトラナダ)(本名: ルイス・ケヴィン・セレスティン)。
SoundCloudにアップロードしていた90年代R&B作品のリミックスで頭角を現し、デビュー・アルバム『99.9%』が絶賛された彼のセカンド・アルバム『BUBBA』は12月13日にリリースしたばかりだ。
サンプルを重用するソウルフルなメロディを軸にしながら、体が自然と揺れ動くダンス・ミュージックを生み出す彼の作品には多くのゲストアーティストが参加する。前作『99.9%』にはGoldLink、Vic Mensa、Badbadnotgood、Phonte、Anderson. Paak、Syd、Little Dragonなどが、今作『BUBBA』にはIman Omari、Mick Jenkins、SiR、Kali Uchis、Masego、Charlotte Day Wilson、Pharrell Williamsなどソウル、ジャズ、ファンクなどの影響を色濃く感じさせるアーティストを迎えている。
メディアへの出演は多くなく、作品についても語る機会の少ない彼だが、今作リリースの際にはApple Music / Beats 1のインタビューに出演。
ビートを作る環境、アルバムのタイトルについて、共演アーティストとのエピソードなどを語ってくれたので紹介していこうと思う。
“ 当初の予定から多くの曲を取り除いたんだ。前作(『99.9%』)の続作的な作品を作ろうと当初は思っていたんだ。例えばアンダーソン・パークとは今回のアルバムでも共演しようと思ってた。でも、なんで俺は違うことをやらないんだ?って感じたんだ。”
アンダーソン・パークとのコラボ・ソングをリリースすることも考えていたケイトラナダだったが、参加ゲストという視点から前作とは異なるアプローチをすることを決めたという。
“ Zane Lowe(ゼイン・ロウ) : 君はモントリオールでかなり居心地が良さそうだけど、自宅・スタジオはどんな雰囲気、環境なんだい? “
“ 多くが家で録ってるよ。ビートを撮る部屋があって、ラップトップにコントローラー、そしてヘッドホン、それだけ。旅行しながら製作を行うタイプの人はいるけど、俺は旅行先では十分に集中できないんだよ。”
” Zane Lowe : アルバムのタイトル『BUBBA』 はどこから? “
“ Kush(クッシュ / 大麻)の名前だ。
俺はスモーカーだ。何故Bubbaにしたかは明確じゃないけど、創作活動を行うプロセスで直感的に感じたんだ。キャッチーだと思ってね。”
ハイチからモントリオールに移り住み、アーティストとして活動し始めて以降も拠点を変えず、カナダにとどまり続けているケイトラナダだが、作品は自宅でレコーディングしているという。DAW(音楽製作ソフト)はFL Studioを用いているとツイッターでも明かしていたことが思い起こされるが、3つの機材だけで製作を行っているのは驚きだ。
since when it was not cool to use FL? I use FL studio 9 still!!
— KAYTRA (@KAYTRANADA) May 22, 2016
モントリオールでの活動を満足げに語る彼だが、一方でハイチという自身のルーツには特別な想いがあるという。
“ 幼い頃から父親の流していた音楽を聴いていたし、登場したばかりのThe Fugees(フージーズ)だったり、Wyclef Jean(ワイクリフ・ジョン)をよく聴いたりしたよ。ハイチ・プライドだ。”
ローリン・ヒルを除いた二人のメンバーがハイチにルーツを持つグループThe Fugeesの活躍を誇らしく感じていたというケイトラナダ。
2017年、ファレル・ウィリアムスが司会を務めるOTHER Tone というラジオ番組で、共演を約束していたケイトラナダとワイクリフ・ジョン。今作には収録されることはなかったようだが、実際にワイクリフとはセッションを行ったそうで、未公開音源として今後公開される可能性があるという。
ファレルがラジオにて共演を熱く提案していたことを考えると、彼らの共演は2017年に行われたラジオの収録がきっかけだと考えられる。
上記にも記したように、アルバムには多くのゲストが参加している。中でもファレルを作品に迎えることができたのはDJ / プロデューサーとして非常に光栄なことであったと彼は語る。
“ セッション中、彼が言ってくれたんだ。「俺を君の世界に引き込んでくれ。俺はカメレオンだから。」ってね。そういう出来事もあって、やっぱり彼は最も素晴らしいゲストの一人だったと思う。”
基本的にリモートでレコーディングを行っているというケイトラナダだが、ファレルとは直接セッションを行ったのだと言う。
絶妙なバランスで新たなサウンドを生み出し続ける彼の作り出すビートは素晴らしいが、それを乗りこなすシンガー / ラッパーたちがいなくては完成しない。「乗りこなすのが難しいと言われることもある」と本人が明かすなど、作品中ではビートに乗るアーティストたちのスキルも要チェックだ。
17曲51分という構成で完成されたプロジェクトだったが、アンダーソン・パークとの未公開曲含め、多くの楽曲がこの作品には収録されなかったようだ。
“ もう一つアルバムを作れるくらいだよ。収録できなかった曲がとても沢山あるんだ。今回の作品とは全く異なる雰囲気の作品になる。多くのラッパーが参加してるしね。次の作品はその中からリリースする。数ヶ月以内には公開できると思う。”
前作をリリース以降、2年間の間で多くの作品を製作してきたと語るケイトラナダ。Kali Uchis、Mick Jenkins、Tinashe、Duran Bernarrなどのゲストに感謝と賞賛の言葉を送り、ツアーを行うことにも前向きな姿勢を見せた。今回収録されなかった作品から、新たなプロジェクトをリリースするとの発言は楽しみでならないが、まずはリリースされたばかりのセカンド・アルバムをじっくり聴きこもう。
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