Vince Staples Youtube
NOVEMBER 01 , 2019
カリフォルニア・ロサンゼルス出身のラッパーVince Staples (ヴィンス・ステイプルス)。
先日当メディアでも紹介したように、新レーベルと契約を果たした彼は8/20、自身が脚本・演出を務める映像作品『The Vince Staples Show』の発表を1分間のトレイラーと共にアナウンスした。
今回はそんな『The Vince Staples Show』から第二話” Sheet Music “が第一話から2ヶ月ぶりにドロップされたということで、そのストーリーを解説していきたいと思う。
まだ第一話” So What “をご覧になっていない方は、そのストーリーを以下から是非ご覧になってほしい。
ヴィンス・ステイプルス『The Vince Staples Show』
の第一話” So What? “を公開。そのストーリーを読み解く。
第一話” So What? “では、地元カリフォルニア・ロサンゼルスのローカルな雰囲気をブラッズ・クリップスという二つのギャングの関係を引用し表現したヴィンスだったが、日常の中にユーモアを潜ませるその手法は、ドナルド・グローヴァー(チャイルディッシュ・ガンビーノ)の『アトランタ』を思い出させるものとなっていた。
その魅力的な雰囲気は今回紹介する第二話” Sheet Music “でも同じように登場。
同じくカリフォルニア・ロサンゼルス出身のラッパーBuddy(バディ)、ヴィンスが敬愛するシンガーRay J(レイ・J)がゲスト出演、多くの「引用」が見られるなど見応えのある、ユーモア溢れるエピソードになっていた。それでは早速、本編を読み解いていこう。
ヴィンスの彼女と思われる女性がネイルサロンで施術中にインスタグラムを眺めるシーンから本編は始まる。長いピンクの爪で画面をスクロールしていると、女性とベッドを共にしているヴィンスの写真を発見。
「なにこの写真!ありえない!」と呟き、すぐに車を走らせ、スタンガンを購入。かなり怒り心頭の状態でヴィンスの元へ向かう。
彼女が目的地に到着。ドアが開き、そこに出てきたのはヴィンスの友人役として登場するバディ。
「今あいつはムショに入ってるはずだけど。」とバレバレの嘘をつくバディの演技は要チェック。彼女は部屋に押し入ることに。
彼女の存在に気づいたヴィンスは、バディの家の窓を突き破って脱出するという強硬策に。
実はこのシーンは2010年に公開されたコミック原作の映画『スコット・ピルグリム』のワンシーンを引用したもの。ここでもやはり独特のユーモアが描かれている。
「いつまで逃げる気よ!」という彼女の叫びでシーンは切り替わる。
自動音声が流れる豪邸に到着したヴィンス。そこに美しい歌声を披露しながら登場したのはレイ・J。
レイ・J自身がプロデュースするワイヤレスイヤホンを耳につけるという宣伝も行いつつヴィンスと挨拶を交わす。
「彼女に探されてるのか…なんで女の子に優しくできないんだ!」
ヴィンスが事情を説明すると、彼はそのまま叱責を受けることに。
(写真右下・階段に登れないようイエローのテープが貼ってあることも気になるが)
「ビジネスを始めろ!そしたら浮気する時間なんて無くなるからさ。」
とヴィンスに対し自論を熱弁。
ここで注目して欲しいのが、カットが切り替わるたびにレイ・Jのビーニーの位置が絶妙に「ズレていっていること」だ。このシーンはアメリカのリアリティTVショー「Love & Hiphop」にレイ・Jが出演した際の映像を引用したものになっている。
最終的には彼女から逃げるために「家に泊めてくれる」とレイ・Jは認めることに。
ただし彼はある書面にサインが必要だと言う。「ND Ray」と記された契約書は、恐らく音楽の契約を結ぶためのもの。
実はこのシーンにも「引用」が隠されている。冒頭に「ヴィンスはレイ・Jを敬愛している」と書いたが、彼はHOT 97にオッド・フューチャーの一員タイラー・ザ・クリエイターと出演した際に、レイ・Jへの愛をこう語っている。
「レイ・Jとフューチャリングなんてダメだ。俺らはそんな大した準備ができてない。レーベル契約をして欲しいよ。」
「ND RAY」はまさにそのレーベル名ではないだろうか。ヴィンスのファンなら気づくような、かなり面白い引用がこのエピソードには込められている。
第一話から第二話の間は2ヶ月という長めの期間が空いたが、第三話も同じようなスパンで配信されるのだろうか。早く次のエピソードが見たいと思ってしまうが、まずは配信されたニューシングル” Sheet Music “をじっくり聴き込んで楽しもう。
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