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PETA CASTA / HYPEBEAST

SiR (サー) が描き出す「成功」と「葛藤」

険しかったキャリアと、今後のプランを語る

OCTOBER 17 , 2019

アメリカ / カリフォルニア州・イングルウッド出身のシンガーSiR(サー)/ 本名Sir Darryl Farris(サー・ダリル・ファリス)
2017年ケンドリック・ラマー擁するLAのレコード・レーベルTDE(Top Dawg Entertainment)と契約、今年に入り、大手レコード会社RCAと流通契約を結んだことでも話題になった彼。

今年8月にリリースした最新アルバム『Chasing Summer』は彼にとって3枚目のスタジオ・アルバム。「夏を追いかける」と題された14曲で構成されたアルバムには、同郷ケンドリック・ラマーを迎え、生まれ育った地元LAでの豪華な生活を語る” Hair Down “や、ジャズ・ピアニストとしても活躍するLAのアーティスト、キーファーをキーボードに迎え、儚げに美しいピアノの旋律が奏でられる” You Can’t Save Me “ , “ LA “の2曲など、「夏」の心地よさと、その隠れる「儚さ」を随所に感じさせるサウンドがある。

HYPEBEAST のインタビューでは、RCAとの契約や、アルバムのテーマ、彼がアルバムを通して伝えたかったメッセージ、今後の活動などについて語ってくれたので紹介していきたいと思う。

「RCAとの契約におめでとうを言わせてくれ。エルヴィス・プレスリーや、ビートルズも所属していたレーベルの一員になるのは君にとって、どんな意味を持つのかな?」とRCAとのレコード・ディールについて尋ねられた彼は、

「全てだよ。俺は初めから注目の的だったわけじゃないし。
俺は本当にただ音楽が好きなだけなんだ。それにアーティストとして認められたり、多くの人に認知されることは何よりも大事でしょ。
だからこそ、そういった大きい会社との連携は本当に「全て」だと思うんだ。
TDEと契約した時と似たような気持ちだったよ。
彼らはウエストコーストの音楽やヒップホップにとても貢献してきた。その一員になれるなんて光栄だった。RCAとの流通契約も俺にとって一つのステップだった、ショップ / ストアへのステップだね。(RCAとの契約でより多くのショップ / ストアへCD・ヴァイナルを届けられる。)

RCAと契約し、これまで以上に多くの人に作品を認知してもらえることによって、キャリアをワンステップ前へ進めることができたと明かした彼。
最新アルバム『Chasing Summer』はステップを経て、リリースされたわけだが、彼はここまでのキャリアを「” Rocky “ – 岩場のように不安定な道のり」だったと語る。

「とても長い道のりだった。普段は昔のことを考えないようにしてるし、前に進むことを意識してるけどね。
常に自分自身を改善しようとしてるんだ。だからキャリア全てを振り返るのは難しいけど、もし今までのキャリアを「道」で表すなら、「” Rocky “- 岩場」のように険しかったね。」

アルバムに続くツアーも夏に関連する『Summer Forever』と題されたわけだが、彼にとって「夏」とは一体どんなものなのだろうか。アルバムのテーマとも言える「夏」について尋ねられた彼はこう答えた。

「俺にとっては夏は「自由」そのものさ。
子供の頃は「夏」と聞いたら、学校がなくてビーチで遊んだり、家族で過ごしたりすることを浮かべるし、大人になってからなら、バケーションや、暖かくてリラックスできる時間を浮かべるでしょ。
俺にとってそんな「夏」は「成功」を意味するんだ。まさに頑張って働いた後のご褒美みたいだろ。
だからこそ俺は、夏が「自由」を具現化したようなものだと思ってる。
このアルバムで俺はある種の自由を追い続けるも、自分がそれをすでに手にしていることに気づかず葛藤している。
そんな情景を確実に描き出していると思うね、俺はこのアルバムですでに自分にとっての「夏」を手にしていたことに気づくんだ。」

彼にとって夏は「自由」そして「成功」をイメージさせる季節だと語ってくれた。リリックで自身の成功を語りながら、そのサウンドにどこか儚いイメージが読み取れるのは、彼の中の「葛藤」を描き出していたからなのだろうか。

“ I was just a nigga with some hoop dreams (Hoop dreams)
俺はどこにでもいる、バスケで夢を描いてた若者だった

Now, I’m in the league, bitch
今じゃ俺は” リーグ “にいるぜ、ビッチ

Now, I’m in the lead, bitch
俺は今、先頭に立ってるんだよ、ビッチ

– Hair Down (Feat. Kendrick Lamar) – SiR



その後「音楽を通じて何を届けたいのか?」と尋ねられると、

「自分の本心を” 写真 “のように描き出したい。
音楽は俺にとって「セラピー」だ。
だから俺は自分の気持ちがみんなに伝わるくらい正直になろうとしてるね。」

と、彼の心の中にある感情・ビジョンを私たちに届けることを目指していると語った。自分の感情や、頭の中にあるビジョンを「音」に変え、伝えるのは想像以上に難しいプロセスだろう。彼はできる限り、自分の気持ちに正直になることによって、それを可能にしているようだ。

インタビューの最後で、今後のプランについて聞かれると、

「ツアーをたくさん予定しているんだ。
2018年は1年を通してずっとツアーしてたし。
とっても楽しかったし、その冒険の中で多くの経験をした。
またツアーをする準備はできてるよ。
実際のところ「冒険」ってのは嫌いなんだ、俺は目的地がある方が好きだね。旅ではなくてさ。ファンとも繋がりたいね。楽しみだよ。」

と、ツアーへの期待を覗かせた。
自身の気持ちを音楽に乗せ、ファンとその気持ち・情景を共有したいと願う彼にとってライブは特別な場所に違いないのだろう。『Summer Forever』は12月ボストンからスタートする。
いつの日か、彼が来日ライブをしてくれる日が来ることを願うばかりだ。

HYPEBEASTによる記事の全文は こちら からチェックできる。

 

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