OCTOBER 12 , 2019
アメリカの音楽メディア、特に音楽の批評メディアとして厚い信頼を持つPitchfork(ピッチフォーク)が先日、「2010年代のベストアルバム TOP200」を発表した。
フランク・オーシャンが2016年にリリースした『Blonde』が1位を獲得、2位にはカニエ・ウエスト『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』がランクインするなど、他ジャンルに比べ、やはりR&B、ヒップホップ・ラップの躍進が目に見える形で表れていた。
ヒップホップ・ニュースを発信する当メディアでは今回、ヒップホップ・ラップというジャンルに注目してこのランキングを紹介していきたいと思う。
ランクインしたラップ・アルバムの一覧がこちらになる。
2. 『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』- Kanye West
4. 『To Pimp A Butterfly』- Kendrick Lamar
13. 『Take Care』- Drake
15. 『Yeezus』- Kanye West
18. 『good kid, m.A.A.d. city』- Kendrick Lamar
27. 『Some Rap Songs』- Earl Sweatshirt
34. 『Summertime ’06』- Vince Staples
38. 『Whack World』- Tierra Whack
44. 『We got it from here…』- A Tribe Called Quest
54. 『Barter 6』- Young Thug
57. 『DAMN』- Kendrick Lamar
63. 『XXX』- Danny Brown
65. 『Dirty Sprite 2』- Future
68. 『Cosmogramma』- Flying Lotus
69. 『If You’re Reading This, It’s Too Late』- Drake
73. 『Invasion of Privacy』- Cardi B
84. 『Acid Rap』- Chance The Rapper
87. 『SremmLife』- Rae Sremmurd
92. 『Watch The Throne』- Jay-Z / Kanye West
99. 『X 100PRE』- Bad Bunny
110.『Flockaveli』- Waka Flocka Flame
120.『Flower Boy』- Tyler, The Creator
131.『Run the Jewels 2』- Run the Jewels
137.『LIVE.LOVE.A$AP』- A$AP Rocky
141.『Rich Forever』- Rick Ross
145.『Finally Rich』- Chief Keef
150.『Playboi Carti』- Playboi Carti
155.『Savage Mode』- 21 Savage / Metro Boomin
160.『Room 25』- Noname
163.『Dreamchasers 2』- Meek Mill
166.『The Pinkprint』- Nicki Minaj
171.『Veteran』- JPEGMAFIA
179.『Black Up』- Shabazz Palaces
188.『Daytona』- Pusha-T
193.『Hellboy』- Lil Peep
198.『Everything’s Fine』- Jean Grae / Quelle Chris
200.『So It Goes』- Ratking
結果としては、200作品中37ものラップ・アルバムがランクインする形となった。
カニエ・ウエストは3作品で、ケンドリック・ラマーは直近3作品が全てランクインと二人の活躍がまずは目に入ってくるが、何より注目したいのはその「数」だ。
2009に同メディアから発表された「2000年代のベストアルバム Top200」では、ラップアルバム(R&Bアルバムを除く)が22作品だったのに対し、上記の通り今回は37作品がランクインしている。
「消費量」という点において、ヒップホップ・ラップの勢いは間違いなくこの10年間で強くなってきた。
単に「多くの人に聞かれた」だけでなく、批評家から高い評価を受けるような作品が増えた、もしくはラップの表現方法が以前にも増して、批評家に受け入れられるようになってきたことが、このランキングから言えるだろう。
以前はヒップホップに厳しい目を向けてきた、音楽として評価をそれほどしてこなかったピッチフォークがこういった「ベストアルバム」という総集的な企画で評価するようになったのは、ヒップホップ・ラップが一つ上のステージに上ったことの表れでもあるだろう。
ランクインした作品を見ていると、カニエ・ウエスト『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』のようなラッパー自身のペルソナを盛り込み、アートとして誇大する形の作品、ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』のような自身のルーツ、政治、人生、ソウルなど全てを語る作品、1分ポッキリの曲が15曲続くという構成をなされたティエラ・ワック『Whack World』のような独自の手法を用いた作品、フューチャー『Dirty Sprite 2』のようなドラッグを想起するタイトルを用いたシンプルなトラップ作品、プシャ・T『Daytona』のようなOGスタイルを踏襲したドラッグ・ディールを語る作品と、単にラップ・アルバムといってもその中には非常に多くのジャンルが存在している。
今後もそのカラー(ジャンル)は増えていき、新しい形のラップを私たちに見せてくれる。そんな可能性をこの「2010年代ベスト・アルバム Top200」の一覧からは改めて感じ取ることができた。
記事をご覧くださっている皆さんはこのランキングを見てどう感じただろうか。是非記事をシェアして、感想を共有してみてほしい。
また、ランクインしたR&Bアルバムの一覧はこちらになる。
1. 『Blonde』- Frank Ocean
3. 『Beyonce』- Beyonce
6. 『A Seat at the Table』- Solange
9. 『Black Messiah』- D’Angelo & the Vanguard
10. 『Channel Orange』 – Frank Ocean
12. 『ANTI』- Rihanna
24.『CTRL』- SZA
31. 『4』- Beyonce
35. 『Cupid Deluxe』 – Blood Orange
41. 『Lemonade』 – Beyonce
42. 『New Amerykah Part Two: Return of the Ankh』- Erykah Badu
75 .『House of Balloons』- The Weeknd
81. 『When I Get Home』- Solange
102. 『Late Nights』- Jeremih
114. 『Process』 – Sampha
116 『The ArchAndroid』- Janelle Monáe
「2010年代のベストアルバム TOP200」の全記事は こちら から見ることができる。
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