BUSY / SIRENS
(feat. theMIND)
CARE FOR ME (2018) : Track 1
シカゴの23歳、新星ラッパーのSaba(サバ)の新作 Care For Me から最初のシングルカット “Busy / Sirens”を紹介します。
同じシカゴのチャンス・ザ・ラッパーのAngelsに客演で参加、最近ではシカゴのフィメールラッパー Nonameのアルバム『Telephone』のプロデュースなども行っています。Anglelsが入ったアルバム『Coloring Book』はグラミーにもノミネート、Nonameの『Telephone』も評価を絶賛され彼女の代表作となっています。
12歳で飛び級で高校に入学するなど優秀なサバでしたが、それゆえ同年代の友人があまりいない少年時代を過ごしました。そんな彼にとって、同じクルー”Pivot Gang”に所属していた、ジョン・ウォルトはどんなことも言い合える数少ない仲間でした。しかしそんな彼は2017年2月に何者かに24歳の若さで殺害されてしまいます。その衝撃が今作 “Care For Me”には大いに表れています。
アルバムのタイトルにもあるように、大事な存在を失い「孤独」を感じるムードが全体を通して伝わってきます。
今曲 “Busy / Sirens”は前後半に分かれていて、前半 “Busy”では、有名になったSabaが過去を回顧し、後悔をしながら、現在の忙しさと、友人や彼女とすれ違う寂しさについて歌います。その忙しさからすれ違ってしまうことはsabaだけでなく、多くのラッパーが経験しているようで、 Boredom – Tyler. The Creator でも同じように語られています。
後半”Sirens”では、亡くなったウォルトについて、非武装の黒人が相次いで白人警官によって銃殺されているという社会問題について触れています。彼の出身地シカゴでも、住んでいる地域は分断されて、”危険な地域”だとカテゴライズされ、警察からは危険という色眼鏡を通して見られることの悔しさを語っています。
黒人であることが危険であると認識される、根強く残る差別意識に対してSabaが意見を投げかけます。筆者も、こういったリリックが日本の方に伝わることで、少しでもアメリカの差別問題が知られることを願っています。
[BUSY]
[Saba:]
I’m so alone-but all of my friends
俺は本当に孤独なんだ、友達たちはさ
But all of my friends, got some shit to do, yeah
みんなそれぞれやりたいこと見つけたみたいで
All ‘em got plans,I call ‘em, I’m bad at texting
色々将来のこととか考えてるみたいだ、また電話かけるよ、メールは苦手だしね
They never cross me like bad pedestrians
でもみんな有名になったからって態度を変えるようなこともしなくて
I’ve been this awkward since adolescence
子供の頃からずっと俺はなんでか馴染めなかったんだ
I don’t know how long I had depression
なんでこんな長い間落ち込んでるのわからないよ
Never no peer-pressure
ツレに合わせないと。ってプレッシャーはなかったのにさ
I’m tryna’ get my little pecker off in some girl
そんなんだから、あの時はただ女とヤろうとかって思ってた
I call my B-F-F-that ain’t no secret kept, I fucked then told my cousin
親友に秘密はなしとか言ってたけど、正直そういう話はウォルトにしか言ってなかったね (BFF(best friend foreverの略)などの言葉遣いは彼がまだ幼かったことが表れています、Sabaの言う従兄弟とはJohn Waltのこと。彼は2017に殺害されます)
I’m broke, I wasn’t buzzin’, I tried to hit a few years, she wasn’t budgin’
俺は一文無しで、売れてもなかった、それなのに女のことばっかで、でも彼女は許してくれてたんだ
I’m bogus, left my girl for some shawty, surely deservin’ of all this lonely
俺はインチキ野郎だよ、そういう女たちのために彼女をフったんだ、こうやって孤独なのも当然だよな
“You sad? Tell me, how are you sad?
“悲しんでるのか? 教えてくれ、なにが悲しいんだ?” (自分の欲で選んだ道なのに何が悲しいんだと自問します)
You got all of these friends, you got all of these fans,”
友達たちもいるし、こんなにファンもいるんだ
I ain’t trust nobody new since 2012, I ain’t let nobody in
2012年にデビューしてからもう誰も信じられないんだ、誰にも心を許せない
Jesus got killed for our sins, Walter got killed for a coat
神は俺たちの罪を背負って死んだけど、ウォルターはコートのせいで死んじまった (先ほどのウォルトのことです。sabaは彼がジャケットをめぐる小競り合いで亡くなったと語ります。聖書に登場する人物のジョゼフも、持っていたコートを嫉妬され仲間たちに裏切られるという似たエピソードがあります)
I’m tryna’ cope, but it’s a part of me gone
なんとか頑張ろうってトライしたけど、結局一緒で
In this packed room, I’m alone
この密室みたいな世界で、俺は一人なんだ
[theMIND & Saba:]
I’m havin’ a busy day, I’ll hit you back right away
一日中忙しかった、君に会いにすぐ戻るよ
I seen that skies were grey, I hope to God you’re safe
空が薄暗かったのを見たんだ、神様が無事なことを祈るよ
(先ほど神とウォルトを並べていたことから。ウォルトの死が不吉なグレーな空によって呼び起こされています)
I’m havin’ a busy day, I’ll hit you back right away
一日中忙しかった、君に会いにすぐ戻るよ
I seen that skies were grey, I hope to God you’re safe
空が薄暗いグレーだった、神様、無事でありますように
Ohhh, ohhh
[Saba:]
I’m so alone, just me and my girl
俺は本当に孤独なんだ、俺とその彼女だけ
She leave me for work, then leave me for school, she finally home-I leave her for tour
彼女は仕事で出てったよ、その次は学校で、ついに家に帰ってきたと思えば、俺がツアーさ
FaceTiming nudity, yeah All of this new to me, yeah
フェイスタイムで裸になるしかないのさ、さすがに初めての体験だったね
All of the infidelity when I was 17 been catchin’ up, it still feel like she catch me cheatin’
17の時の浮気を思い出したよ、未だにあの彼女には咎められてる気がするね
Niggas askin’ me how tour was
みんなツアーはどうだったんだって聞くけど
Knowin’ I been home like two months
俺がここ２ヶ月ずっと家にいたの知ってるクセにさ
And I seen your ass like two times
それにお前2回くらい会っただろ
Save the small-talk, like, too, damn
軽く社交辞令だけしてさ、クソ
No time, social interaction
この社会と繋がってる時間なんてないんだ
Have female friends I found attractive
いいなって思った女友達も
I tried to fuck, but I am no savage
ただヤるだけで、まあそんな残酷な男じゃないんだけどさ
Now we don’t speak, we just walk past
それっきり話さなくなって、今じゃ通り過ぎる仲に
If my past could talk-it’d probably reply to the missed calls after all
自分の過去と会話できたとしても、結局は不在着信だろうな
(今の自分が過去の自分に何か言っても、その時の自分は聞き入れないことがわかっている)
‘Cause the friendships that I can’t recall, done turned my heart into camouflage
友情って元には戻せないだろ、俺の心はもう見えなくなっちまった
While the guys I used to play basketball with doin’ shit that I can’t endorse
昔は仲間みんなでバスケや葉っぱをしたりしてたけど
Now, with the Lord; now, when it pours down; was alone then, still alone now
今も王様(John Walt)と一緒さ、でも彼がいなかったら、今も昔も俺は孤独なんだ
[theMIND & Saba:]
I’m havin’ a busy day, I’ll hit you back right away
一日中忙しかった、君に会いにすぐ戻るよ
I seen that skies were grey, I hope to God you’re safe
空が薄暗かったのを見たんだ、神様が無事なことを祈るよ
I’m havin’ a busy day, I’ll hit you back right away
一日中忙しかった、君に会いにすぐ戻るよ
I seen that skies were grey, I hope to God you’re safe
空が薄暗いグレーだった、神様、無事でありますように
Ohhh, ohhh
[theMIND:]
I’m barely here, how I ain’t present
ようやく来れたよ、どれくらい居なかったかな
Yeah, I drift for a second , forgot to reply to your message
そう、ちょっとブラついてて、返信するの忘れてたよ
But all these years
でもここ数年
I been the same in your presence, countin’ the seconds, before I reply to your message
ずっと君の前に居たんだよ、君に返信する前に、指折り数えて待ってたんだ
My biggest fear (Is that I have to say goodbye)
俺が一番恐れてるのは(お別れを言わないといけないこと)
Is that I have to say goodbye (another time) another time
いつかお別れをしないといけないこと
So I skip town on our moment, hopefully prolonging this
だからここを抜け出すんだ、少しでも長く一緒に居れるように
I don’t need nobody new to miss
他に恋しいなんて思う人はいらないんだ
I want you to know
君にわかって欲しいんだよ
Ooooh, ooh, ooh
[SIRENS]
[Saba:]
Sirens on the way, ayy
サイレンが響く
Now you’re lying where the angels lay (yeah)
君は天使の横で眠ってる
(“君”はウォルトのこと、彼の死を仄めかします。またsabaはchance the rapperとAngelという曲で共演しています)
Sirens on the way, ayy
サイレンが響き渡る
Now we’re lying where the angels lay (yeah)
俺たちは天使たちの横で眠ってるんだ
(”俺たち”は、ストリートで警察などに理不尽に殺されていく非武装の黒人のことを表しているでしょう。そのように亡くなったPhilando CastileやStephan Clarkについてsaba自身も言及しています)
Sirens on the way, ayy
サイレンが響き渡る
Now you’re lying where the angels lay (yeah)
君は天使の横で眠ってる
Sirens on the way, ayy
サイレンが響き渡る
Now we’re lying where the angels, ye
もう俺たちは天使の横で眠るんだ
Ridin’ through the city
街を駆け回る
I’m young, I’m black, I’m guilty
俺は若い黒人さ、もう有罪だろ
I know one time want to kill me
警察が俺を殺したがってんのはわかってんだ
They don’t know me but they fear me
あいつらは俺のこと何にも知らないけど、怖がってんだ
Fifteen years old with the sticky
15歳で銃を忍ばせてる
They gon’ blame it on the marijuana
あいつらマリファナを責め立てて、発砲するんだ
Hands behind your head
「手を頭に置け」ってな
And they won’t let up off the head
それなのに、頭に手を置く前に無理やり押し倒してくるんだ
What if I move to one’s state?
俺がもしミズーリに引っ越したら? (ミズーリ州は黒人への殺人被害がもっとも多い州です)
What if they shootin’ that shit hit?
もしあいつらの銃が命中したら?
What if I run then it look bad?
もし俺が逃げて、”悪人だ”なんて風に思われたら?
Drawing they gun right off the hip
ケツにその銃を引っ込めてくれよ
I’m probably deservin’, ‘cause I know they serve and protect
そうするべきだろ? だって知ってるよ「市民に奉仕し、市民を保護する」んだろ? (アメリカの警察のモットーです)
But they think I’m servin’, or they think my cellphone’s a weapon
でもあいつら、俺がクスリ売ってるか、ただの携帯を武器だと思ってやがる
(携帯を銃だと勘違いして、警官が非武装の黒人を発砲する事件があります)
Heard that the robber wore a black mask
強盗は黒いマスクをつけるんだってな
I fit the description, a.k.a. nigga, what is the difference
なるほど、俺はまさにだもんな、黒人はみんな強盗だろ?、何が違うんだよ
It’s an enigma, we so divided I’m from Division
マジで謎だらけだ、俺たちは分断されてる、俺はDivision出身で (シカゴの街は、貧富の差でラインを引かれ分断されていると語ります。Division Streetは犯罪”検挙”率の高い地域です)
Clutch that purse ‘cause of my dreadlocks
俺がドレッドのせいで、財布をしっかり握られてる
Cross that street ‘cause I’m with my friends
友達とただ道を横切ってるのと変わらないだろ
Curse every song in Hip-Hop
ヒップホップに蔓延してる呪い
Keep telling yourself it’s a fad
それがただの流行りだって言い聞かせ続けるんだ
[Chorus]
Sirens on the way, ayy
サイレンが響く
Now you’re lying where the angels lay (yeah)
君は天使の横で眠ってる
Sirens on the way, ayy
サイレンが響き渡る
Now we’re lying where the angels lay (yeah)
俺たちは天使たちの横で眠ってるんだ
Sirens on the way, ayy
サイレンが響き渡る
Now you’re lying where the angels lay (yeah)
君は天使の横で眠ってる
Sirens on the way, ayy
サイレンが響き渡る
Now we’re lying where the angels, ye
もう俺たちは天使の横で眠るんだ
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CARE FOR ME (2018)
2. BROKEN GIRLS
3. LIFE
4. CALLIGRAPHY
5. FIGHTER
6. SMILE
7. LOGOUT
8. GREY
9. PROM / KING
10. HEAVEN ALL AROUND ME
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