Biking (Feat. JAY Z & Tyler, the Creator)
Biking (2017) : Single
『Blonde』以降、フランク・オーシャンは数枚のシングルをリリースしますが、こちらの” Biking “はジェイ・Z、そしてタイラーを迎え豪華な面々を揃えた一曲に。ジェイ・Zとは『Watch The Throne』、『Magna Carta』以来の共演となりましたが、やっぱりこのコラボはかっこいいですね〜。
曲中では、タイトル・ジャケットにある通りバイク (自転車) に関してのリリックがたくさん出てくるんですが、フランクとタイラーは過去の共作” Slater “でバイクに関する曲をすでにやっていて、私自身は今曲がその続きの作品のようなイメージを持っています。自転車のタイヤが回る様子と、物事が周り回って起きていることを重ねて表現しているJay-Zのイントロが印象的な今曲。ジャケットで片輪を浮かせている様子はまさに「Nigga one wheel, one wheel, one wheel」というリリックを表していますね。
[Intro: Jay Z]
Uh, turn, what goes around comes around
あぁ、因果応報だよ、周り回るんだ
Ayy, turn, turn the music up, uh, yeah
エイ、音量を上げてくれよ、エイ
Goes around comes around
周り回るんだぜ
What goes, alright, like like
やったことはさ、そうまるで
Life goes in cycles
人生は周り回って進むんだ
Everything that comes around goes around
何もかも、周り回ってるんだ
(自転車のタイヤが回る様子と、人生の進む様子を重ねます)
‘Fore it goes down, get you some ice
だから消えてしまう前に、ダイヤをゲットしちまうんだ
(名声や成功も一時的で、いづれ消えてしまうとわかっていることから、今の瞬間を楽しむということです)
[Verse 1: Jay Z]
Life goes in cycles, what comes around goes around
人生はサイクルの中進んでく、やったことは返ってくるんだ
So ’fore it goes down, nigga, get you some icicles
だから失敗する前に、なあ、ダイヤをゲットするんだ
(icicleは、bicycle、cycleとかけています)
Audemars before all of y’alls
お前らの前に、Audemarsは着けてたぜ
(Audemars Piguetは高級時計のブランド。ジェイ・Zが2002年リリックに登場させたのち、2005年にコラボレーションモデルを発表し、一気に人気を獲得しています)
Wristwatch got a Russian face like an oligarch, uh
着けた腕時計は、まるでロシア人の支配者みたいだろ
(ジェイも多額を出資しているNBAチーム・ブルックリンネッツのオーナーはロシア人のミハイル・プロホロフ。彼のことを彷彿とさせます)
12 o’clock, boy, silly nice, huh
12o’clock boy、イケてるね
(12 o’clockはバルチモアの、ダート・バイクギャング集団。タイトルのbikingから)
Willie in traffic, I’m Philly nice, uh
道路をウィリーで走るんだ、フィラデルフィアみたいでイケてるだろ
(Willieは”Big Willie”の略で、「大物」という意味のスラングでもあります。”Can’t Knock The Hustle”でも同じライムを用いています。ダート・バイクのカルチャーはフィラデルフィアから)
E.T. on the handles, uh
E.Tがハンドルの上に
(映画E.Tのシーンで、E.Tが自転車のカゴに隠れるシーンがあります。また、彼はE.Tをお気にいりの映画だと発言しています)
Handlebars like a Xanax
ハンドルバーはまるでザナックスみたいだ
(自転車のハンドルはまるでザナックスのような中毒性があるということ。また、”bar”という単語から、彼のようなリリカルなラップにも中毒性があるという二つの意味がかかっています)
Shammgod with the AND1 moves
Shammgod、まさにAND1で見たムーブだ
(NBAプレイヤーGod Shammgodのこと。AND1は服のブランドで、バスケのスーパープレイのムービーを発売していました)
Throw that shit ‘round your neck
その首に巻いてある宝石を投げてくれよ
Right quick, broke boys get fixed
早くしてくれ、壊れても一文無しが直すからさ
Right quick, Nigel Sylvester with these bike flips
早くしてくれよ、Nigle Sylvesterのバイクのトリックくらいにさ (Nigleはクイーンズ出身のBMXライダー)
Uh, that’s a full cab and a back flip
まさにフルキャブかバックフリップって感じだな (どちらもバイクのトリックの名前)
Uh, sidebar
サイドバーさ
(おそらくバイクのハンドルの両端に着いたバーエンドのこと。クロスバイクなんかに着いている角みたいな奴ですね)
[Verse 2: Frank Ocean]
Arm stretch a tee like I nailed it
技を決めた後、腕の形はまるでTの形さ (バイクのトリックを決めた後の体の形が、まるでアルファベットのTのようだと)
Raf movin’ slow like a creep
Rafは変な奴みたいにゆっくり動いてる
(デザイナーRaf Simonsのこと。2002年” Virginia Creeper “というコレクションを発表しています。またフランクオーシャンは、エイサップロッキーと” Raf “という曲も製作しています)
Shirt in the breeze like I’m sailin’
シャツが凍りつくよ、まるで海に出たみたいに
And I walk in my sleep, I can’t help that (I can’t)
それに俺は夢遊病なんだ、どうしようもないし
(寝ながら意識のないまま、起き上がって行動する症状のこと)
When’s the last time I asked for some help that
前に助けを求めた時は
I couldn’t get from nobody else, yeah?
誰も助けてくれなかったよな?
I couldn’t get from nobody out there (I can’t)
誰もそこにいてくれやしなかったんだ
When’s the last time I asked for some help that
俺がそうやって助けを求めた時
I couldn’t get from nobody else, yeah?
誰一人として助けてくれなかったよな?
Nobody
誰もさ
[Chorus: Frank Ocean]
I don’t get weak in the knees
もうビビったりしないよ
(直訳で「足が疲れない」という意味のこの文章のように今曲のテーマであるバイクの話は続きます。しかし実際の意味は、彼が昔のように深く落ち込んだりはしないということを表しているように感じます)
Hundreds spread out like a fan
金なら何百万ドルだってあるから、まるで扇子を広げるようにね
(扇子を広げた状態と、札束を並べた見た目が似ていることから。たくさんのお金を比喩で表す際に、よく扇子は用いられるそうです)
Vert feel like some Gucci sandals
グッチのサンダルみたいに、自由自在さ
(vertはおそらくconvertibleの略、バイクに乗っている心地よさがグッチのサンダルの履き心地のように良いと表現しています)
Open the sky, get a handful
空を切り開くんだ、この手にいっぱい掴んで
Torso marked up like a vandal
胸にはタトゥーが入ってる、野蛮な奴みたいにね
(彼の胸にはタトゥーが入っています。Chanelでも語られていたように、彼は日本のようにタトゥーが危険な人間の象徴だとされる文化を知っています)
How you not fuckin’ with cash?
どうやったら金を気にせずに生きてけるんだ?
God gave you what you could handle
神は君に乗り越えられる試練しか与えないんだ (ここでも”handle”というバイクに関連した単語を使っています)
Gave you what you could handle
乗り越えられる試練しかね (聖書コリント人への第一の手紙10章から)
I got the grip like the handle
だから俺はこのハンドルを握るように、自分の道をコントロールするんだ
And I’m bikin’
バイクに乗ってね
I’m bikin’ with me and my Daniel
俺のダニエルと走るんだ
(ダニエルはカリフォルニアで有名なバイクのショップのこと。おそらくここで買ったバイクのことを彼はダニエルと呼んでいるのでしょう)
Hades got the angels
ハデスが天使と出会ったみたいにね
TV’s got the angles
TVが天使をゲットしたみたいにさ
I’m brakin’… got…
俺はブレーキをかけることにするよ…
[Verse 3: Frank Ocean]
Bikin’, I’m bikin’, I’m bikin’ slow-mo
スローモーションみたいに走るんだ
Maybe the four wheel excitin’ us mo’
4つ車輪があればもっとエキサイトするかもね
I’m cold when the temperatures dip below 70s
70Fを下回れば、寒いって思っちゃうね
(Fは温度を表す記号。度にすると21℃らしいです。近年カリフォルニアの温暖化が進んでいることを皮肉ります)
How can I be burr around L.A. coast?
どうやってLAの海岸で宝石を着けてられるんだ?
The diamonds is plural, the Tiffany brooch
ダイアモンドは純正、ティファニーのブローチもね
On my lapel, at the table, I’m givin’ a toast
襟にはラペル、テーブルで乾杯をして (ラペルは襟織のこと)
The first wedding that I’ve been in my twenties
最初の結婚式に出たのは20代の時だった
Thinkin’ maybe someone is not somethin’ to own
思うに、人は誰かが所有するものじゃないのかもな (結婚のこと)
Maybe the government got nothin’ to do with it
政府はどうでもよかったのかもな (LGBTの結婚の合法化についてでしょう)
Thinkin’ maybe the feeling just comes and it goes
思うに、感情は簡単に変わってしまうんだろ (離婚してしまうカップルは大勢います。恋愛感情は一時のものだと。彼はシングルマザーの家庭で育ったことも影響しているかもしれません)
Think I want me a lil’ one that look like my clone
まるでクローンみたいに、小さくなりたいよ
Me and my baby can’t do on our own
だって俺と俺のベイビーでは、子供を産むことはできないから (男性同士では、子供を産むことができません)
I landed a trick, got my impossibles
トリックに乗ったんだ、インポッシブルって技だぜ
(スケートボードのトリック、インポッシブルは非常に難易度が高い技。つまり不可能を可能にすることができると)
I’m fuckin’ with Addy, I’m watchin’ my dose
アデロールを使ってんだ、その錠剤をずっと近くでみてるよ
(アデロールはADHDの治療薬、ドラッグとしても用いられます)
24 hours like they never close
24時間ずっとね、この目は閉じないんじゃないかってくらいさ
I’m bikin’, I’m bikin’, I’m bikin’ these blocks, yeah
バイクでブロック(地区)を走り回るんだ、エイ
Since Ben Baller sold all his ice up at Slauson, ooh
SlausonでBen Ballerが全部宝石を売り切っちまってから
(Ben Ballerはレコード会社の代表で、宝石をSlausonというロスのモールで売っていました。フランクオーシャンも2011に彼から宝石を購入したそう)
I’m bikin’ uphill and it’s burnin’ my quads (obstacles)
坂を登って、腿が焼けちまいそうだぜ
I’m bikin’ downhill and it sound like a fishin’ rod
坂を下ると、釣り竿みたいな音が鳴ってる
(車輪が回る音が、釣り竿のリールを回す音に似ていることから)
Savage, I’m bikin’, yeah
サベージだろ、気持ちいいよ、エイ
[Verse 4: Tyler, The Creator]
From Coldwater to the Shaw
ColdwaterからShawまで行くぜ
(どちらもLAの地名。Coldwater CanyonとCrenshaw Boulevardのこと)
Alcoholic way I handle the bars
アルコールが入ったまま、ハンドルを握る
(Jay-Zのバースと同じように、barを二つの意味で使っています。リリカルなラップと、バイクのハンドルのこと)
This a PK, PK Ripper
これはもう、PK、PK Ripperみたいだろ (Pk RipperはBMXのライダー)
Nah, you can’t fuck with the boy
いや、お前は俺とは関われないぜ
That’s my problem, yeah, I got ‘em
自分の問題は自分自身で解決するって決めてんだ
My tire smokin’ when I stop
バイクを止めると、タイヤからはスモークが
Okay, nobody fuckin’ with me
オーケー、誰も俺には関われないね
My accolades hang from my neck
賞賛の証なら首から吊り下がってるぜ
(タイラーは首にアルバム『Cherry Bomb』のネックレスをかけています。このネックレスもBen Ballerで作ったそう)
Pedal, I drown in the heat
暑さに溺れるほどに、ペダルを漕ぎ続ける
My sapphires drown in my sweat
俺のサファイヤが汗で溺れちまいそうだ (ネックレスのことでしょう)
White mags, but I jet
白のmags、でも俺はぶっ飛ぶぜ
(magsは自転車のタイヤにつける装飾のこと。装飾を着けてタイヤが重くなっても、彼には関係ないということ)
Jackson, I’m savin’ the streets
ジャクソン、俺はストリートを救ったぜ
(ディズニーTVショー” The Famous Jett Jackson “で、主人公がストリートの人々を救うことから。先ほどのbut I “jet”とJett Jacksonをかけています)
I’m Roger Rabbit in the air
俺は宙に舞うロジャー・ラビットさ (映画・ディズニーキャラクターです。トゥーンワールドのあれですね)
I don’t care, Big Willie Style, yeah
気にしないよ、Big Willerスタイルさ
(先ほどのJay-Zのラインから。またウィル・スミスのデビューアルバムの名前もこの『Big Willer Style』)
Nigga one wheel, one wheel, one wheel
車輪は一つだぜ、片方だけさ
Nigga one wheel, I fishtail downhill, yeah
車輪は一つさ、ダウンヒルをドリフトするんだ
I rose my rate, brand new brakes
気分は最高だよ、新しいブレーキもつけて
Why I name it Slater? Ask my date
なんでバイクをSlaterって呼んでるかって?俺のデート相手に聞いてみなよ
[Chorus: Frank Ocean]
I don’t get weak in the knees
もうビビったりしないよ
Hundreds spread out like a fan
金なら何百ドルだってあるから、まるで扇子を広げるようにね
Vert feel like some Gucci sandals
グッチのサンダルみたいに、自由自在さ
Open the sky, get a handful
空を切り開くんだ、この手にいっぱい掴んで
Torso marked up like a vandal
胸にはタトゥーが入ってる、野蛮な奴みたいにね
How you not fuckin’ with cash?
どうやったら金を気にせずに生きてけるんだ?
God gave you what you could handle
神は君に乗り越えられる試練しか与えないんだ
Gave you what you could handle
乗り越えられる試練しかね
I got the grip like the handle
だから俺はこのハンドルを握るように、自分の道をコントロールするんだ
And I’m bikin’
バイクに乗ってね
I’m bikin’ with me and my Daniel
俺のダニエルと走るんだ
Hades got the angels
ハデスが天使と出会ったみたいにね
TV’s got the angles
TVが天使をゲットしたみたいにさ
I’m brakin’… got…
俺はブレーキをかけることにするよ…
[Outro: Frank Ocean]
Got, got me fucked up
参っちまうよ
Got a million dollar bike
Got a million dollar bike
何百万もするバイクをゲットしたんだ
Got, got me fucked up
Got me fucked up, up
参っちまうね
Million dollar bike
何百万もするバイクだってさ
Got, got me fucked up, up
参っちまうよ
Million dollar bike
何百万もするんだ
Got, got me fucked up
参っちまうよ
Got a million dollar bike
Got a million dollar bike
そんなバイクを手に入れたんだ
Got, got me fucked up
Got me fucked up, up
参っちまうよ
Million dollar bike
何百万だぜ
Got, got me fucked up, up
参っちまうね
Million dollar bike
何百万もするバイクだぜ
(AND1の映像)
(12 O’Clock Boys)
(余談: フランクとタイラーがバイクに乗っているのは想像できたんですが、「ジェイ・Zは乗らないよなぁ」と思っていたらありました。ジェイ・Zも自転車に乗っていました)
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